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伴走型DX推進で"泥臭く"バリューを発揮する法

1. はじめに

本noteはいまコンサル業界で乱立している「伴走型DX支援」に関して、約1年間携わったスタッフとしての学びを書き記したものである。
同業界のコンサルタントの方(特にStaff層)にとって、伴走型DX支援にアサインされた方がサバイブできるような気付きを一つでも提供でき、プラクティカルに行動が変われば望外の喜びである。

2. 伴走型DX支援とは?

具体的な定義はないが、本文章では著者の実体験に合わせ、以下と定義している。

『クライアント先にコンサルタントが常駐し、クライアント先におけるDX検討・実現に向けた推進をクライアントと一緒になって企画~運用まで支援する』

多くのコンサルファームやSIerでまさに旬といえるような支援形態である。ゆえにプロジェクト数、アサインされるコンサルタント数も多くなる傾向にあると推察。
(コンサル中途や新卒入社の方はまず最初に突っ込まれる可能性が高いと心得てくだされ)

3. 伴走型DX支援でのバリューを発揮する法

伴走型DX支援の場合、テーマ等によってもポイントは変わってくると思いますが、そのような場合でも外れないと思われるStaff層のコンサルタントがバリューを出すポイントは大きく3つあると考える。

(1) 何はともあれ先回り
クライアントと一緒に業務をすることが多くなるが、業務は当然クライアント側の方が詳しい。積極的に議論をリードするにも空気感などもつかめていないと実施しづらい。となると、まずはクイックヒットではあるが先手先手で動くことが有効だと思う。

特に大企業だとスピード感がファーム内のみで動くときの感覚値1週間くらい時間軸が違う。「明日水曜日まで」が、「来週の水曜日まで」でOKのような感じだ。
(裏返しで、だからDX進まないのかということも言えるのであるが...)
そのため、日程調整や準備が後手後手になっても捌けるのであるが、それを敢えて、ミーティングが終わった後にラップアップミーティングを設定し、次までのアクションをさっと関係者で合意して、動き出すということを実施するだけでクライアントからかなり重宝される。

少しコンサル経験があれば、所作となっていると思うが、実はクライアントには新鮮に映るし、簡単だと思うので効果覿面なので実践してほしい。
 
(2) クライアントが知らない事・興味ある事に関する情報収集・リサーチ
社内にナレッジDBやリサーチチームがあるようであれば、そうしたリソースをフル活用して、クライアントが気にしていることを「軽く調べてみますね」といって共有してあげるとよい。これは非常に刺さっていたし、喜ばれた。ハマればクライアントからの満足度も高いので+αのバリューを出しやすいポイント。がっつり示唆出しまですると、自身の負荷になってしまうと思うのでクライアントの期待値を下げつつ、さっと出してあげるような感じでできるとGood。
もし、同じファームが他部署等にも入っているようであれば内部でこそっと情報連携しておくのも有益。

(3) クライアントのテンションが上がるような行動をとる
寝技っぽいですが、結構効果的なアクションをいくつか。

挨拶の仕方、メールの書き方、ミーティングの席順等で自身の経験と比べ、変わっているなという部分(違和感がある部分)は大切できるとよい。クライアントの文化であれば、それは「Put yourself in his shoes」的な感じで馴染むように努力する。

一人でランチやコーヒーブレイクしに行きそうなときには「一緒によいですか?」と一声をかける。オフィスを離れると、意外に率直に思っていることを伝えてもらえたり、こちらも言いやすい部分があるので是非(最初はこれも仕事だと思って行動してみるべし)

4. 具体的なケースの振り返り

4.1 プロジェクト背景
某グループにてグループ内のDX戦略を推進・実現するため、DX組織が立ち上がり、強力にDXを加速させていくことを掲げた。
外部からのDX人材を積極的に採用しており、DX組織の人員拡大傾向にあった。
しかしながら、グループ各社の視点からすると、
「従来は自社のIT部門や情報システム部で実施していたことはどうすればよいか?」「今後はどのようにDXを進めていけばよいか?」「どこまでをグループ一丸となって実施し、どこからは自社の権限があるのか?」が不透明となっており、不(不安・不満・不平)のスパイラルに陥っていた。
そこで各社と関係性構築や情報提供を目的にハブ組織(本noteでは"DXハブ"と定義)が立ち上げられた。とはいえ、何をどこから実施していくかも決まっておらず、クライアント業務を整理しながら伴走支援していくことになった。
実際にはマネジメント層への報告は実施していたが、各社とのコミュニケーションは実施できていなかった。

4.2 プロジェクトの目的&ゴール
目的:グループでのDXを加速するために、グループ各社とDX組織のハブとなり、課題の吸い上げ・整理、および課題解決を支援する。

ゴール:クライアント業務の標準化及び高度化 

4.3 主な実施内容・反省
4.3.1 議事録・議事メモ
クライアントは大企業という側面もあり、かなり縦割りであったため、同じグループであってもなかなかフランクにコミュニケーションを取ることができなかった。ヒアリングを実施することも各社や各組織に嫌煙されたため、まずはミーティングに参加して議事録・議事メモの要員として情報収集をスタートした。
議事を取ることはやぶさかではないのであるが、如何せん細かい(大企業ゆえか、都合のよいように書き換える場面もしばしば...)ため、複数ミーティングに入っているうちは議事だけで1日が終わってしまう状況であった。

マネージャーがクライアントに全部やります的な発言をした点が失着であったと思う。
結局、”高級筆記用具化”を担っていた感が否めなくなてしまった。
そして、やり始めてしまうと止めることが難しいのは世の常なので、これは何としても阻止すべきであったと反省。もしくは見直しポイントを設けて、どうするかを再考するような形にしたほうがベターだったと思う。ほかにも軽重を付けるような動きを積極的に実施したほうが、いわゆる「考えること」に時間をさけたので有意義だったと思う。
もっとマネージャーに食ってかかってもよかったかもしれない。切実に反省。

4.3.2 ナレッジ共有&リサーチ
自社のナレッジDBやリサーチチームを利用し、グループの各社や組織が必要としている情報をクイックに取り纏めて共有した。
自発的に(議事録爆弾という)制限がある中で、価値提供するにはどうしたらよいか?を考えてアクションを取れた点がよかったと思う。
クライアント視点からしても、大手コンサルの1人当たりの単価は業務支援の場合に死ぬほど働くくらいしか、普通に実施していたらペイできることはないと思う。そうした観点からも上記のアクションを取れたことは良かったのではないか。

実際に対面のクライアントからもよい感触を得られ、各社の困りごとに関してアプローチできたので良かったと思う。
もう少し欲張ると、その後のフォローアップまでできたらよかったと思った。具体的にはそのインプットをどのように利用し、クライアントの次のアクションに繋げたのか等。

4.3.3 課題・タスク一元管理
スタート時点はExcelで課題管理表を作成し、課題対応していくサイクルを回していたが課題と、それ以外のタスクも含めて一元化し可視化することで各チームの平準化を図りたいとのクライアントからの要望があった。
そこでクライアントが契約しているタスク管理SaaS(e.g. Redmine, Jira, Backlog)を利用する方針となった。

こういう新たなツール導入や運用検討はマネージャーは手を出さないので、積極的に手綱を取りに行くのが吉。特にシステム知見がない人は臭いものに蓋状態なので実施すると、クライアントからもマネージャーからも感謝されやすい。
付け加えると、「新しいことを学ぶ、取り組むときには”頭から行くべし”」と尊敬するパートナー/マネージングディレクタから教わった。要は、つべこべ考えておらず、やると決めてはじめてしまうほうが結果としてうまくいくという事だ。まさにその通りだと思う。

4.3.4 コミュニケーションプラン検討・策定
各社とのコミュニケーションを考えていくうえで、組織図・各組織で取り組んでいること、並び支援しているクライアント部署と各社との関係性がどのような状態となっているかを整理した。そのうえで半年後、1年後にどのような状態を目指すかを議論した。

気を付けるべき点は、「あるべきはこうです!」と一辺倒なるのではなく、現状整理・関係構築の方向性は出しつつも、クライアントからも意見を引き出し、一緒になって検討を進めていくことだと思う。
クライアントもあるべき姿は百も承知であるが、何かしらの理由やしがらみがあり、出来ていないのではなく、敢えてやっていない事も往々にして存在する。
そのあたりの温度感を汲み取ってあげることで納得感のある、一緒に作り上げたプランができ、いざ実行段階になった際に動いていただきやすいと思う。

4.4 総括
試行錯誤して動いてみたが、やはり大企業のDXを伴走しながら進めていくことは非常にチャレンジングであると感じた。
プロジェクトの目標である課題整理・解決のスキームの運用や、各社とコミュニケーションを円滑にするためのプラン策定までは実施でき、感触的には合格点だと思う。

とはいえ、他にやるべきことはなかったのかを少し考えたい。大きくは以下の2点が思い浮かんだ。同じようなシーンに遭遇した際には今回の経験を活かして問題解決できるようにした行きたいと思う。

・支援する部署としてのMission/Vision/Valueが不明確であったので、それを再定義するような提案を実施していくべきであった。
それがないと、上司のさじ加減で右往左往する羽目になり、結局やるだけ無駄だよね、ということをクライアントが言い出すことが多かった。
実際にDXハブのBoss(部長級)はThe サラリーマンであり、周りからの意見でコロコロ意見を変えることが多かった。

・定常業務を肩代わりしていた部分(業務委託的な)があったため、その業務(議事録作成等)に追われて落ち着いて考えることができずに、提案できなかった側面があるのでクライアントと話して役割分担を再定義すべきであった。

5. おわりに

大企業がDXを伴走するPJにアサインされた場合には、思ったように進まないことがあることを念頭においてほしい。しかし、我々コンサルタントの努力が日本企業のDX、ひいては競争力を伸ばすことに寄与していることを信じて支援していければと思う。


以上

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