連載『数学はなぜ嫌われるか』5章「おんなじことを言い換えるのが数学!」

「『1+1』と『2』って、どうちがうのよ!?
おんなじもんだろ!?
どうせおんなじなんだろ!?
それなのに、なんで『1+1』をわざわざ『2』って書き直さなきゃいけねえのよ!
おんなじこと何回も書かせるんじゃねえよバッキャロウ!!!」

――これは。
ある人物の、心の中だ。
その人物の心の中をすんどめが代弁すりゃあ、どうやらこんな具合になる。
奴が数学を憎み、呪い、蔑み、数学の存在を全否定しやがるのには、こういう“理由”があったみてえだ。
この、ある人物ってのは、何を隠そうすんどめの実兄・だしぬけパターソンだ!
さあ、いよいよクライマックスだ。
数学嫌いの言葉にこそ数学の本質が隠されてるっていう本連載。
数学嫌いの中の数学嫌いであり、従ってこの世の誰よりも数学の本質をその心に宿していやがる謎の野郎・だしぬけパターソンがついに登場だ!
奴のドタマん中にフォーカスすることで、数学ってもんが本当はいってえどういうしろもんなのか、白日の下にさらしまくるぞ!
さあ世界じゅうのみんなで、今すぐ兄貴のオツムをのぞいてみようぜ!!

1.だしぬけパターソンの憎しみ

わが兄・だしぬけパターソンは、ガキのころから数学を憎んでた。
そうさ、憎んでたんだ。

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