見出し画像

スポーツマネジメントは役に立つのか

サッカー現場に携わる際、「スポーツマネジメントで何が出来るの?」と言われることがよくあります。確かにスポーツマネジメントという学問に興味を持っていますし、その関連の話をするのが好きです。ただ、スポーツマネジメントとは具体的に何者で、対象のチームやコミュニティ、社会に、どのようなメリットをもたらすことが出来るのかを明確にイメージすることが出来ていませんでした。
  
大学生の頃からスポーツマネジメントという学問に興味を持ち始め、先生やスポーツ関係者の方々に恥ずかしながら自ら会いに行き、様々な論文や書籍の力を借りて、勉強し続けてきました。昨年にはJFA公認スポーツマネジャー資格grade2も修了(本講座も受けたい)し、今もスポーツマネジメントという学問に対して興味を持ち続けています。が、それでも、上記の問いに対して明確な答えを即答することが出来ていませんでした。
   
しかし、僕が「スポーツマネジメントに興味を持ち始めた当時の出来事」を振り返ってみると、そこに一つの答えがあるでは。そう思うようになってきたのです。
   
というのも、スポーツマネジメントに興味を持ち始めた時は、なにも「あ、俺はスポーツマネジメントに興味がある。その道に進みたい」と、突然に興味が降ってきた訳ではありませんでした。
   
そこにはそのような「キッカケ」を“あえて”与えてくれた人がいたのです。そしてそのキッカケが、当時の僕自身の視野を広げ、日々の生活をより楽しくしてくれましたし、今の人生にも影響を及ぼしています。
   
ここに「スポーツマネジメントが出来ること」の一つの答えがあるのかもしれません。
   
「キッカケを与えてくれたその人」とは体育学部の教授なのですが、サッカーで鳴かず飛ばずだった僕に対して、「スポーツにはプレーする以外にも色んな関わり方があるよ」と、様々な事例やエピソードを交えて話をしてくれました。その話が新鮮で面白く「スポーツをすることだけが答えではないのかもしれない」と思い始め、そこから、「スポーツマネジメント」と書かれた書籍をお借りし、そこに並べられた理解し難い文字たちを追い続けました。
もし、その話が、学問的にもエンターテイメン的にも面白みに欠けていれば、その後、その分野に興味を持つことはなかったのかもしれません。
   
そうしてスポーツマネジメントに興味を持ち始め、その過程で、それまでに持っていた「スポーツは“する”ものだ」という強い固定概念が払拭され、スポーツは「する」だけではなく、「みる」こともスポーツだし、「支える」こともスポーツなんだと。そのどれかが欠けてしまうとスポーツは成立しなくなる、ということを徐々に理解し始め、それら「する・みる・ささえる」を理解し、デザインすることがスポーツマネジメントなんだということを知りました。そうして、この道に進みたいと思うようになったのです。そのようなキッカケがなければ、僕はスポーツマネジメントという学問に触れることはなかっただろうし、プロサッカー選手になれなかったあと、継続してスポーツに関わり続けることはなかったでしょう。
   
つまり、冒頭の問いである「スポーツマネジメントに何が出来るの?」に対しての現時点での僕が持つ答えは、携わる人々に「生涯スポーツに関わるための“手段”を提供」し、「コミットするスポーツコミュニティの継続繁栄に貢献する」です。
   
僕はスポーツマネジメントに出会うことによって、サッカーを「する」以外に「みる」「ささえる」手段(知識であり視野)を知り、生涯を通してスポーツに携わろうと思えるようになりました。知識が無ければ、その関わり方もイメージすることが出来ず、スポーツをプレーする人だけが社会に貢献できるといった固定概念を持ってしまうのです。しかし実際はそうではなく、みる人も社会に貢献できるし、ささえる人も貢献できるというのが、スポーツマネジメントの考え方です。
   
そういった手段であり、知識であり、視野を持った人材を一人、二人と増やし、巻き込むことが出来れば、そのチームやコミュニティにもたらすメリットは計り知れないでしょう。様々な可能性を秘めてくるようになると思います。
   
僕に手段を与えてくれた教授のように、出来るだけ多くの人たちに、生涯スポーツ人生を送ってもらうために、「キッカケ提供」を行い続けることがスポーツマネジメントに出来ることではないか。これが「スポーツマネジメントに何が出来るの?」に対しての一つの答えです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?