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【25歳__金融空手家】空手元日本代表/人生をかけた転職/外資系金融営業マン/未経験から業界トップに躍り出た秘訣とは

 あなたには「夢中」になれるものがあるか。夢中とは何なのか。そもそも、夢中になる必要はあるのだろうかーー。

 今回は外資金融会社で営業マンを務める傍ら、空手指導者としての活動を行い、“二足の草鞋キャリア”を歩む、今尾 光氏(25歳)にインタビューさせて頂いた。今尾氏は4歳で空手を始め、中学生の頃から日本代表にも選抜されるなど、空手家としての未来を渇望されていた。しかし、一つの現実が立ちはだかる。空手を含めるスポーツ界には、派閥問題が蔓延っており、いわば、純実力主義の哲学が通用しない“場合”があるのだ。
 
 日本王者の座に立ったことのある当時大学2回生だった今尾氏は、オリンピックに出場し世界チャンピオンになることを目指し、その為の日本代表選考に臨んだ。その選考会の試合では確実に勝ってみせたのだが、一方で今尾氏には"属する派閥"が明確に無く、それが起因し虚しくも代表に選ばれることはなかった。
 「挫折というか、その瞬間に呆れてしまった」と当時の心境を語るように、モチベーションを見失ってしまい、次の舞台へと切り替えることが出来ず、大学を卒業後もそれとなく就職を決めてしまった。

 しかし、そこから「人生を本気で変えたい」と、今尾氏のセカンドステージが始まるのであった。


中学から空手日本代表に選出。しかし夢は不条理によって絶たれる



ーー本日は時間を取って頂きありがとうございます。改めて今のお仕事を教えて下さい。

今尾:「今は外資金融会社で営業をしながら、空手指導者として空手界に携わらせて頂いています」

ーーこれまでの人生を簡単に振り返って頂けますか。

今尾:「一言で言うと『空手』ですね。4歳から初めて今までずっと空手に携わっていますし、日本代表にも中学から選んで頂いていました。それこそ今も仕事をしながら空手の指導をしているので、ほんとに『人生=空手』といっても過言ではないですね」

ーー今は外資系金融会社で働かれているとのことですが、「日本代表」に選出されるほどの水準をお持ちならば、空手道一本で食っていくという道もあったと思います。

今尾:「結論から言うと、20歳の時に行われた日本代表選考で落とされてしまって。それがハッキリとした実力選考だったら良かったんですけど、連盟や派閥の事が少し絡んだうえでの落選だったみたいなんですよ。で、その瞬間に呆れたというか、もう空手日本代表としての夢は捨てようと決めたんです。それに、空手にはプロという境界線が存在しないので、生活面で生計が立てにくい。だったら社会人として仕事をしっかりやっていこうとかなと」

なんとなく就職先を選んでしまった社会人一年目を経て転職



ーーどの業界にもそういった悪しき風習があるのですね。その後、次のステージに向けて上手く切り替えることが出来たんですか?

今尾:「正直言うとあまり切り替えることが出来ていなかったですね。空手は自分の為にも親の為にも4年間しっかり続けたんですけど、卒業後の就職先もなんとなく決めてしまって。営業がしたい。だったら不動産に行こう。みたいな」

ーーなるほど。ということは社会人1年目はあまり能動的になれなかったのですね。

今尾:「いや、僕もずっと体育会系でやって来ましたし、メラメラした状態で社会人1年目を迎えて、最初こそ良かったんですよ。
ただ、人間ってやっぱり弱いもので、周りの環境に流されてしまったといいますか。自分は視座を高く持っていたつもりだったんですけど、どこかで妥協してしまっていたんですよね。弱さが故に周囲と同じ視座まで下がってしまって。その時から、自分の人生におけるピークが現在(今)ではなくなり、空手で輝いていた学生時代(過去)になってしまっていたんです。知らぬ間に現状の自分に誇りを持てなくなったし、格好悪い自分が一年間ずっと続いていた状態でしたね」

ーーそこからどのようなアクションを起こされるんですか?

今尾:「これからどうしようかとモヤモヤ考えている時に、空手繋がりの縁があって、SNSを通じて現在務めている会社の先輩とお会いすることになったんです。そこで仕事の話とか、人生の話とかを相談していくうちに、更にその会社の上司の方とお会いさせていただくことになって。その出会いが僕にとっての転機で衝撃的な出来事でもありましたね。二人とも僕と同じ20代なのにも関わらず、貫禄とか、持っている雰囲気が全然違っていて。こんな先輩方に指導されたら僕はどうなるんだろうと。成長するしかないんじゃないかと。そうして今の外資系金融会社に転職しました」


ーー会社の方に誘われたということですか?

今尾:「いや、自分で志願をしました。ほんとに自分の人生を変えたかったので、ここで働かせてくださいと」

ーーすごいですね。スムーズに入社することは出来たんですか?

今尾:「普通に入ることは出来たんですけど、当時は『お前じゃ厳しいんじゃないか』と、なかなか貶されたりしていましたね。『仕方なく採用してやる』みたいなスタンスだったと思います」


 人生を好転させるべく、転職を決断した今尾氏。当初は成績を期待されるほどの人材ではなかったが、転職一年目から会社全体の中での「上位2割」の成績を打ち立て「入賞」。二年目には全国保険マン125万人のうち「約5%」しか達成していない基準をクリアし、「MDRT」への入会を果たす。
 まさしく、"業界未経験"から"業界トップ"の境地に躍り出てみせた。

未経験から業界トップに躍り出た秘訣は「夢中」と「正しい努力」


ーー未経験から転職され不安はなかったのですか?

今尾:「いや、めちゃく不安でしたよ。ただ、それ以上にどうしても変わりたかった。そして変わる為には勝負するしかないと思ったんですね。不安も原動力になるということです」

ーーなるほど。そこから今の成績を出されるまでにはどのような道のりがありましたか?また、どのような意識を持って仕事に臨まれて来ましたか?

今尾:「当時の僕には実力が無かったけれど、支社の先輩方は皆さん優秀で視座の高い方達ばかりでした。この人達に付いていけるように、がむしゃらに活動量を増やせば、自分もそこに辿り着けるのではないかという想いでやっていましたね。そこにコミットしていくうちに夢中になったといいますか」

ーー「活動量」を増やす為に、具体的にどのような意識を持たれていましたか?

今尾:「僕は"頑張っている"時点で二流だと思っていて。例えば知識を蓄える方法はそれぞれのやり方があると思うんですけど、その方法よりもスタンスが大事なんです。気持ちの持ちようが大事。というのも、『努力』している人間よりも『夢中』になっている人間の方が遙にパフ―マンスは高いじゃないですか」

ーー分かります。ただ今尾氏のように一つのことに「夢中」になれる人は良いですが、中にはその「夢中」を探すのに苦労している人もたくさんいるかと思います。

今尾:「なるほど。確かにそうかもしれないけど、まずは本気で人生を変えたいのか。本気で環境を変えたいのか。その気持ちが確かにあるならば、後は難しいことを考えずに直感のままに行動していくのみです。そうしていくうちに自分のやりたいことや、夢中になれるものが見つかるし、そこからまた新たな情報を汲み取って、きっかけを掴む力みたいなものを手に入れることが出来ると思うんです。夢中に勝るものはないですからね。
とにかく本気で人生を変えたいのであれば、どんどん行動していくことが大事だし、そもそも本当に人生を変えたいのかを自分の問いてみるのも良いかもしれませんね」

ーーたしかに。今尾氏は自身の行動を確実に結果に繋げられていると思います。「行動=結果」の方程式を手に入れる為にはどのような「夢中」が必要だとお考えですか。

今尾:「僕がずっと意識していることなんですけど、ただの努力は誰にでも出来るということ。ただ、本当の一流は『何を努力するべきかを考える努力』を誰よりもやっていると思っていて。目的や目標に対して正しい努力をしないと、望む場所に的確に行けないんですね。例えばテスト範囲があるのに、テスト範囲外ばかりを勉強したところで成績にはピンポイントで反映されないじゃないですか。それと一緒で、行きたい所へ行く為の正しい努力を出来るように考えることが大事だと思っています」

ーー「正しい努力」が大事だということですね。ありがとうございます。それでは最後にこれからのビジョンをお聞かせください。

今尾:「まず20代のうちは、僕が憧れて来た先輩方のようになれるように走り続ける。そしてプレイヤーからマネージャーへのジョブチェンジをしたい。というのも、ただ商品を売るだけではなく、一つのチームをマネジメントしながら一人でも多くの人生に影響を与えたくて。自分に訪れたような"転機"を今度は与えられるような人間になりたいんです。
後は空手に関していえば、将来的には空手界に貢献できるような更なるアクションを起こしていきたいですね」

ーーたくさんの貴重なお話ありがとうございました。


 
 人間は時に「努力していることに満足してしまう」という錯覚に陥ってしまうこともあるが、それも立派な"気付き"であり、努力(行動)を始めていなければ、その後悔すら感じることもない。
 
 仕事やお金に対する価値観は多種多様だ。お金を稼ぐのも良し。仲間と楽しく酒を飲むのも良し。その両方を追いかけるのも、もちろん良し。
 ただ、今の現状に納得がいかないのであれば、環境や人のせいにせず、自らの行動によってその歯車を狂わせないといけない。一回や二回のアイデアで人生が変わることはほぼ無いが、そのアイデアと行動から派生された「一次情報」をもって、次の策を練ればいいのだ。

 たしかに今尾氏からは先天的な地頭の良さやパーソナリティの魅力が随所に感じられたが、それは「正しい努力」を愚直に繰り返してきた「成果物」であり、誰よりもその姿を熱望したからだろう。
 人にはその数だけの「生き方」があるはずだ。

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