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オーパーツ (1分小説)

「お前のイタズラか?棺の中に、単3電池が入っていたぞ」

ホワイト教授は、ファラオの棺から、SOMYと印字された電池を4つ取り出した。

「いいえ」

「じゃ、どうして、何千年も前に作られた棺の中から、電池が出てくる?今、世界で初めて、オレたちが棺を発見し、オレたちが開けたのに」

教授が、派手なロレックスをつけた腕で、棺をコツコツと叩いた。

「まてよ。これは、もしかして、オーパーツ(その時代の文明には、ありえない遺物)かもしれんぞ!」

そして、震える指先で、持っていた懐中電灯の電池を、全部抜いた。

「お前の明かりも、いったん、OFFにしてくれ」


ピラミッドの洞窟内は、真っ暗になったが、教授がSOMY電池に入れ換えて、ONにすると、ふたたび明るくなった。

「まだ使えるぞ!」

懐中電灯を、私に手渡す。

「きっと、ファラオ以上の発見ですね」

私がスイッチをOFFにすると、洞窟は、また真っ暗になった。



【40年後】


『世界的考古学者のホワイト教授、ピラミッド調査中に行方不明。助手のブラウン氏は、3日後、無事救出される』

色あせた、40年前の記事。

私は、デスクで一人、あの日の、暗闇での格闘を思い出していた。

一世一代の、チャンスだと思ったんだ。

ああでもしないと、教授の座なんて、何十年たっても巡ってこないから。

ホワイト教授も、従順な私が、まさか、裏切って、攻撃してくるとは思ってもなかっただろう。

必死で、抵抗していたな。



若い助手が、勢いよく、研究室に飛び込んできた。

「ブラウン教授、ファラオの棺が、とうとう見つかりました」

いよいよ、この日が来たか。

「棺の奥から、隠れるように、こんなものが出てきたんですよ」



助手は、ロレックスの腕時計を、大切そうに見せた。

・・・ホワイト教授め。


「オーパーツだな。


『ミイラ』も含め、私が、全責任を持って鑑定するよ」

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