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18-19 PL 第32節 Arsenal × Newcastle

前節マンチェスター・ユナイテッド戦からおおよそ3週間ぶりとなったプレミアリーグ。アーセナルは今節でコシェルニー、ジャカが負傷、さらにトレイラが3試合出場停止の2試合目で欠場となっている。
そして今節の手前で開催された他のプレミアリーグで、CL出場権を争っているスパーズが敗れたためアーセナルがこの試合で勝利を勝ち取ることができれば3位へ浮上する。CL出場権を勝ち取るために是が非でも勝ち点3が欲しい試合だ。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第5節 Newcastle×Arsenal

■チーム概要

【HOME】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:3-4-2-1
ボール保持:3-4-2-1
ボール非保持:5-2-3

【AWAY】
・ニューカッスル(監督:ラファエル・ベニテス)
フォーメーション
基本:3-4-3
保持:3-4-3
非保持:5-4-1

■前半の試合展開

互いに3-4-3気味のフォーメーションでミラーゲームとなったこの試合。スタートから主導権を握ったのはアーセナル。
あまり前線からプレッシングを行わないニューカッスルは、ミドルサードでは3-4-3、ディフェンシブサードでは5-4-1のブロックで守備を行う。それに対してアーセナルはCHに入ったゲンドゥージとラムジーを中心にビルドアップ。FW-MFのライン間に顔を出しDFからのボールを引き出す。ニューカッスルのプレッシングが弱くここで2人が前を向ける状況が多かったのはアーセナルにとってポジティブだった。そして両WB(特に右のナイルズ)が幅を出しつつ相手WBを深く引っ張ることでニューカッスルのCH脇にスペースを作り、そこへ2シャドーのエジルとイウォビが顔を出してビルドアップの出口となる形が多かった。
そこからはラカゼットを中心に2シャドーが流動的にポジションを変えながらニューカッスルの敷く5-4のブロック打開を試みる展開。

対するニューカッスルは、まずはしっかりとブロック守備を行って我慢。ボールを保持出来た場合はショートパスでつなぎつつも無理に前へは出さず、アーセナルがプレッシングを行った場合は後ろへ下げてアーセナルの前線を引き出しつつ前線のサロモン・ロンドンにロングボールを供給し、セカンドボールを2シャドーのアルミロンやペレスが回収、またはそのままフィニッシュまでつなげる狙いが多く見られた。

前半12分。ラムジーのDFライン裏へのフィードからラカゼットが粘りコーナーキックを獲得する。そのコーナーキックを蹴るのはエジル。ニアへキックしたボールをコラシナツが頭ですらしてファーサイドへ。そこへ入ってきたフリーのラムジーがゴールへ蹴り込み先制!と思いきや、手前でソクラティスが相手の腕を引っ張っておりファウルが取られて残念ながらゴールは取り消しに。おそらく準備してきたセットプレーで狙い通りの形だっただけにもったいなかった。ただ、ソクラティスのプレーは実際にファウルだったので、このノーゴールはジャッジが正しかった。

その後もアーセナルがボールを保持し、時折ニューカッスルがカウンターを狙うという構図は変わらず。試合はアーセナルが主導権を握ったまま進む。
そして30分。ようやく試合が動く。アーセナルがニューカッスルを押し込んだ状態でミドルサードのゲンドゥージからバイタルエリアのラムジーへ。ラムジーはこのパスを斜め後ろにいたラカゼットへフリック。これでラカゼットがDFのラインの裏へ抜けて前を向いて勝負を仕掛ける。ラカゼットは相手DFのをかわせず止められるが、そのこぼれ球をラムジーがそのまま左足を振り抜きシュート。ボールはきれいに右ポストへ当たりゴールへ吸い込まれ、アーセナルが先制に成功。ラムジーのワンタッチフリックからシュートまで、とてもきれいな流れだった。

その後、少しニューカッスルが前がかりになるものの、アーセナルがゲームをコントロールする状況は変わらず。シュートはわずか3本と少ないながらもポゼッションは約75%を握り、相手に主導権を渡さずにそのまま前半が終了する。

■後半の試合展開

後半は両チームともに選手交代なく、フォーメーションも前半と同様の形でスタート。お互いに戦い方を変えなかったため、当然ながら結果も変わらない。前半と同様にアーセナルがゲームをコントロールしながら押し込み、時折ニューカッスルがカウンターという構図は変わらず。

そして、アーセナルは60分にこの試合初めの選手交代。イウォビに変えてオーバメヤンを投入。エジルをトップ下に動かしてフォーメーションを3-4-1-2へ変更する。
その後67分に両チームともに選手交代。ニューカッスルはヘイデンに変えてキ・ソンヨン。アーセナルはどこかを痛めてしまったように見えたラムジーに変えてエルネニーを投入する。

ニューカッスルが前がかりになってきたことと、ラムジーがいなくなったことで前へ顔を出す選手がいなくなったことで、アーセナルは前半ほど相手陣地へ押し込むことが出来なくなってくる。ただ、そんな中でも試合自体はコントロールしており、ニューカッスルに決定的なシーンは与えないまま試合は進む。

そして83分、アーセナルに待望の追加点。先制点と同じような形でゲンドゥージがミドルサードから楔のパスを供給。パスを受けたラカゼットはアウトサイドでボールを浮かせつつ中のオーバメヤンへワンタッチパスし、そのままDFラインの裏へ走り抜ける。オーバメヤンは浮き玉をそのままヘディングでラカゼットへリターン。DFラインの裏へ抜けたラカゼットは、GKが出てきたことろを落ち着いてループシュートを決める。アーセナルは仲良し3人組のパス交換から貴重な追加点を生み出した。

2点をリードしたアーセナルだったが、その後も時間稼ぎすることなくWBを高く上げて攻める姿勢を崩さずゲームをコントロール。そしてそのまま試合が終了し、アーセナルが2-0で勝利を収めた。

■試合結果

Arsenal 2 × 0 Newcastle

■得点
30分:ラムジー
83分:ラカゼット(アシスト:オーバメヤン)

■交代
61分:イウォビ → オーバメヤン
67分:ラムジー → エルネニー
67分:ヘイデン → キ・ソンヨン
75分:リッチー → ケネディ
77分:ペレス → 武藤
84分:エジル → ムヒタリアン

■まとめ

終わってみれば試合開始から終了までほとんどの時間帯でアーセナルが主導権を握り続けた今節。特にCH2人の活躍が大きかったように思う。中でもラムジーは際立っていた。
ビルドアップではニューカッスルのFW-MF間に顔を出してボールを引き出す。プレッシングに来れば簡単にCBへはたいて動き直し、プレッシングが無ければ前を向いて全体を押し上げる。この判断が非常に良く、チーム全体に良いリズムを生み出していた。

また、相手を押し込んだ状態からラムジーが積極的にスペースへ侵入し、オフェンス面で変化をもたらしていたのも大きい。先制点はそんなラムジーのプレーから生まれたし、ラムジーが退いてから少しアーセナルのオフェンスが停滞したのを見てもそれが表れていたように思う。
昔のように上がったら上がりっぱなしという事もなく、全体のバランスを見て前線のスペースが無い時にはセカンドボールを回収できる位置にポジショニングして2次攻撃3次攻撃へ繋げていたし、常に主導権を握り続けることが出来たのはこのCHの活躍が大きかった。
特にラムジーは縦横無尽に走り回り、攻守に渡って貢献度が高かった。この選手がシーズン終了後に移籍してしまうのが本当に惜しい。

今節をモノにした事でアーセナルは3位に浮上。このまま勝ち続けることが出来ればCL出場権を勝ち取れる。トップ6との対戦は全て終わったとはいえ、プレミアリーグに簡単な試合は無い。特にアウェイゲームが多く残っている事を考えると全く油断出来ない状況だ。

次節はアウェイ、エバートン戦。難しい試合になるだろうが、CL出場権を考えるとここも勝たなくてはならない。