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【ワンマンライブ@夢のちまた】レコードと馬出派の音楽家に囲まれて

誰かのためでないとしても生まれた歌は走らせたい

今年6月にライブをした「夢のちまた」でワンマンライブをすることになった。
4~5組のブッキングライブでもなかなか誰も見に来てくれないのに無謀だとは思ったけど、6月のライブのあと、この場所で歌ってみたいと思った。
そして、店主であるジンロウさんに聞いてもらいたい歌がたくさんあった。
「アコースティックのつまらんやつを聞くのは本当、地獄」と笑いながらも真剣に言われて、
「僕はどうなんだろう。地獄じゃなきゃいいが」と思った。
それを確かめるにはやるしかなかった。

チラシを作り、告知をする。
「僕の音楽に時間とお金を投げ込んでくれる人がいるのか?」という基本的な悩み(というか病気)をみんな持ってるはず。
でもそんなことには負けていられない。

二部構成で、短編集と長編を

どんな構成にしよう。
いつも迷う。いつもは対バンのメンバーを見ながら、その中で「雰囲気は同じ路線で、でも独自色を、もしくは正反対のことをやって鎮めこむ」ことを考えるんだけど。
実際その日の対バンの演奏を聞いて選曲を変えることも多々ある。
でもこの日は「対バンは自分自身」

だったら「短編集作家のサニー」VS「フォークオペラ変人サニー」をやろうと思った。

第一部は聞いてくれた人からの感想によくある3つのテーマに絞ってやってみた

【異国】
スカンジナビア
白樺の森
彗星の夜

【青春】
ワンルーム
海を見に行こうぜ
水曜日
ギター
ルビーの街

【生活】
PKO
あと少しやすんだら
夜中のガソリンスタンド
ミラーボール

日本語で聞き取りやすく歌う。そのことを一番大事にしてる。
「ロックぽくないよね」って言われるけど、綺麗な発声で届けたい。僕がかっこよくあることよりも、物語を伝えたい。
僕の作った物語の登場人物は僕の支配下にはないことが多い。
キャラクターを作って、シチュエーションを作って、放り投げる。
そこからキャラクターが自然に動いて足跡を残す。それを整理して歌にする。それが僕のソングライティング。

中学生の時に英語の塾の先生が「英語を好きになるためにはまずブルーススプリングティーンのリバーを聞け」といった。
レコードを買って聞いてみた。
それまで「音楽」として聞いていたものが「映画」になったような衝撃。
日常生活でつまづく人たち、叶わない思い。
そんなものにとても惹かれた。

そのあとはキンクス。
「英国人が憧れるアメリカの情景」という捩れ曲がった音と、これまた「意思をひっくり返した時に蠢いてる虫のような人たち」の物語に惹かれた。

僕もこんなふうに「物語」を作りたい。
その気持ちだけでずっと作ってる。

このどうしようもない世界を鳥瞰し、墜落し、下水道から見上げ、回転する前のBARに忍び込み、SNSに毒され、キャラクターを産む。


サーカスという憧れ、畏敬、異形のものたち

子供の頃から「サーカスに売られて旅をする」という妄想をしてた。カルピス劇場的な(笑)
旅なんか苦手なんだけど、旅の歌を歌う。
リアルじゃなくて、憧れ。

  • サーカスがやってきた

  • おれのサーカス(座長の歌)

  • でも時々(こびとのマリーの歌)

  • 54321(催眠術師の歌)

  • 海で生まれた(人魚の歌)

  • 私の生きがい(ジャズシンガーの歌)

  • てのひら(空中ブランコの少女の歌)

  • 赤い鼻と赤いルージュ(ピエロと空中ブランコの少女の歌)


数年前からフォークオペラと銘打って、組曲を作ってる。
未完成なものもあるし、途中で収集がつかなくなってしまったものもある。
ひとつの物語があって、複数の登場人物がいる。
結果、組曲になる。THE WHOというよりはやっぱりKINKSのソープオペラ(笑)

サーカスの役者たちの物語はやるたびに曲が増えていく。
だってそこには全てがあるもの。
憎しみも差別も愛も生き甲斐も。
スポットライトと影という両極端の世界。

今夜も高らかに開演のベルがなる。
玉乗りピエロの空中ブランコの少女への想いは叶うことはないだろう。
でも日々が続く。
街から街へ、浮き草のように
どろどろの荒地の上に建てられたテントの中で。

聞いてくれた皆さん、ありがとう。

馬出ブローインで戦ってるミュージシャンの皆さんが皆さんが多く観にきてくれた。僕の好きな音楽をやってる人たちが。
その小屋のボスまで(冷や汗がドッと出た)
天覧試合の様相だった。
詩人の二人も。
言葉に厳しい、音楽に真摯な人たちの前で。

何よりも厳しいジンロウさんの前で、いま自分にできることを全部やった。

エラーもたくさんあったし、ダブルプレーも、ポテンヒットも。
でもそれが試合ってもんだから悔いはない。

まだまだ聞いてほしい歌が本当にたくさんあるので、また機会をいただけると嬉しいな。

そのためには「聞いてくれる人」を作らないと。やり方を曲げはしないけど。

聞いてくれた10人のお客様。
本当にありがとう。
リピーターになっていただけるよう精進します。

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