「心が通う記事」とは、どういうものか。

世の中にはたくさんの「記事」が存在して、そのすべてに、作り手の様々な想いがギュッと詰め込まれている。その想いの伝わり方は、読む人によっても異なるけれど、「心が通う記事」というものはやっぱり存在するのだ。

私は、子育てメディア「コノビー」で、主に育児に関する体験談マンガの編集をしている。毎月、何十本もの記事を担当しているのだけれど、先日送られてきたある「ラフ」を読んで胸がギュッ…となった。

引っ越したばかりの慣れない環境で、日中は幼い2人の子どもをほぼ1人きりで育てながら、在宅での仕事もこなすママ。疲れがたまってふと横になっていた時、2人の子どもがそれぞれ「とんでもないこと」をしてしまい、イライラが限界に達したママは、ついに……。

この状況だけでも、今まさに子育て中の自分と重なることがいくつもあり、記事にどんどん引き込まれていく。限界に達して、ついに爆発してしまうところまでは、展開として何となく想像もできた。だけどそのラフが私の想像を超えていたのは、イライラが爆発してしまったママが、ふと鏡に映る自分の姿に気付いたシーンの描写だ。

言葉で説明するよりも、ぜひ実際に読んでもらいたい。

追い詰められたママのイライラは、子どもに向かう。それを救ってくれたパパの言葉

ラフを受け取った編集者は、その記事の最初の「読者」だ。私はこの記事を読み進めながら、いつの間にか、かつての自分の姿を投影していた。

私にも、同じような経験がある。すべてにいっぱいいっぱいで、イライラがどんどん膨らんでいき、愛しいはずの我が子に向けて爆発してしまった。ようやく冷静さを取り戻した時、自分は何てことをしてしまったのだとひどく後悔し、ひとり泣いた。

この記事で鏡に写っているのは、その時の自分の姿なんじゃないだろうか。仕事中にも関わらず、私はこのラフを読みながらポロポロと涙が止まらなくなった。

体験談マンガの役割のひとつは、誰かの体験を読むことを通して自分の経験と重ね合わせ、その気持ちを客観視できることだ。今回の記事の場合、それに加えて、この「鏡」に当時の自分の姿を投影するという二重の役割があったように思う。

そして何より、なかなか人に言えないこの体験を、こんなにもリアルに描いてくれたライターさんに心から感謝している。記事として発信するのは勇気のいることだったと思うし、当時を思い出しながら描くだけでも、かなり気力が必要だったと想像できる。

このnoteを書いている1月19日現在、この記事は8万PVを超え、公式TwitterやFacebook等にもたくさんのコメントが寄せられている。その多くが「この気持ち、すごく分かる」「私も同じような経験がある」「今、まさにこの状態」といった声で、「私だけじゃないと知って、救われた」というコメントも多い。

そしてもうひとつ、「何度も読み返している」というコメントも複数ある。私は記事を作る時、「たくさんの人に読まれる記事にしたい」と願い努力することは多いけれど、「1人の人に何度も読んでもらえる記事にしたい」と思ったことが、実は少なかった。

何度も読みたいと思ってもらえる記事ーー。それは、作り手の想いが読者にしっかりと届き、心を通わせることができる記事なのではないだろうか。

この記事の最後に、ライターさん本人が「当時、SNSで流れてきた『母の爆発』の記事を読み、私だけじゃないんだと知ってホッとした」ということを書いている。今、この記事を読みながらまさに同じ経験をし、救われている人がたくさんいることが嬉しい。

作り手と読者の心が通い合う。その瞬間にここにいられたことをすごく幸せに思う。編集者としても、1人の読者としても。

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かおり

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