味噌汁を作った日、私は自分をほめてあげたくなる。今でも。

時々、夕食に味噌汁を作る。その度に、心の奥がちょっとチクッとする。

双子の娘たちがまだ2歳くらいで、息をつく暇もないくらいドタバタしていた頃のこと。なんとなくつけていたテレビ番組で、とあるお母さんが子育ての話をしていた。

もう、どんな番組で、どんな方が話をしていたのかも覚えていないのだけど…。確かお子さんが4人か5人くらいいて、私よりもっと年上の女性だったと思う。「子育てはとにかく大変だから、お母さんは無理しなくていいんだよ」というような話をしていて、まさに大変な思いをしているところだった私は、密かに耳をダンボにしながらその話を聞いていた。

その時、その女性がこんなことを言った。

「夕食だって、どうしても忙しい時は、お味噌汁だけでいいんですよ。」

どうかがんばりすぎないで、肩の力を抜いて良いんだよーー。そんなあたたかいメッセージだったということは、話の前後からも充分すぎるくらい伝わってきた。でも、当時の私には、この言葉がチクッと胸に突き刺さった。

味噌汁か…。ハードル高いなぁ…。

だしは粉末を使うにしても、いろんな野菜を用意して、洗って、切って、お鍋でぐつぐつして…味噌をとくのが、すごく面倒だなぁ…。

私にとって、味噌汁はまさに「家庭の味」だ。四国で暮らす母方の祖母が、地域特有の麦味噌を手作りしていたので、私は幼いころからずっとその味噌の味で育った。他県で暮らすようになった今も、味噌だけは母から送り続けてもらっている。

味噌汁は、お母さんの味。忙しいお母さんも、味噌汁だけはがんばって作るものなんだな。

今の私には、それを作る余裕もないな…。味噌汁も作れないお母さんでごめんね…。

それからしばらく、私は味噌汁を作ることをやめた。「最低限、味噌汁だけは作らなきゃ!」と呪文のように唱えてしまいそうな自分が、なんだか怖かったのだ。そんなこと、文字通りに受け止めて気にすることなんてなかったのに…。

今となっては半分笑い話だけれど、それでもやっぱり、味噌汁を作るたびにあの時の気持ちを思い出す。そして「よし、今日は味噌汁を作った。私がんばったなー!」なんて思ったりする。

それまで当たり前のように身近にあったものでも、誰かのふとした一言がきっかけで、ガラリと「価値」が変わることもある。見える世界がすっかり変わることもある。

言葉というのは、それくらい影響力があるものなのだ。

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かおり

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