能ある鷹の地味子ちゃん KEFINE Delci
こんにちは。あら50りっぷです。
はじめてのブランド KEFINEを味見してみることに。AliExpressでメーカーリリース第ニ弾のDelciを購入しました。正直 KEFINEの超シンプルすぎる地味な外観は好みではありませんが「KEさんが人々をFINEにするために?(真偽は不明)」作ったブランドの音とはどんなものかと俄然興味がわいてしまいました。
KEFINE では先にリリースした14.5mmの平面駆動ドライバー搭載の Klanar が人気ですが、今回のDelciはシンプルな10mm 1DDモデル。振動板にはDLC(ダイアモンドライクカーボン)+PU(ポリウレタン)振動板を使用。Delciの名前の由来も「DLC」振動板から来ているとも言われていますね。
Delci のシェルはCNCアルミ合金製でとても軽量です。形状は異なりますがMoondropのイヤホンともよく似た質実剛健なシェルで、カラーもガンメタリック一色の割り切り。小さく丸いロゴが中央に配置されているだけの地味すぎるデザインです。きっとマジメなメーカーなんだろうな、と日本人として親近感を覚えてしまいます。言われてみれば日本のオーテクのヘッドホンデザインにも似ているように思えてきました。
形状は角の丸いミニマルデザインで KZ ZSTx に匹敵するコンパクトなサイズです。最近ではスイッチ付の大柄なシェルが目立つようになりましたが、Delciは超小型で厚みも抑えられているため装着もスムーズです。ただ個人的に、一体成型されたノズルの角度、長さがなぜか自分の耳に合わず、浅目のイヤピだとシェルが皮膚に擦れて痛いし、深すぎると耳から出っぱるしで、結局いつものAudio-technica finefit に換装することで安定しました(純正だと短かすぎてシェルが痛かったので、ボクにとっては交換必須でした)
中華イヤホンの格安モデルと比較すればDelci はほんの少し高価なので、付属品のクオリティーも高くて当然なのですが、純正で0.78mm 2pinの4芯銅線ケーブルが付属します。鈍色二色の美しい編み込み銅ケーブルの被膜は、見た目がJUZEAR CLEARに付属してくる美しい銅ケーブルと酷似しています。あちらも非常に優れた音質のケーブルだったので、今回Delci の購入に踏み切った理由もこのケーブルにあると言っても過言ではありません。リケーブルなど必要ないくらいベストなケーブルなのでしょうか? 楽しみです。
音質について
まず10mm DDの振動板にDLC(ダイアモンドライクカーボン)+PU(ポリウレタン)が採用されていることから想像できるのが、中高域が硬質なサウンドであることと、低域の沈み込みが十分確保されていることでしょう。実際にDelci の低域は重低音には届かないものの、豊かで深い響きでしっかり臨場感も感じられます。
当初、箱出しでは高域はやや暗めで明瞭度に欠ける感覚がありました。でも2日間かけて20時間ほどエイジングするにつれて音がクリアに変化してきました。とはいっても刺激的な刺さりのないやや控えめに感じられる優しい高域です。オール金属シェルということもあり余計な残響が抑えられているので、芯の感じられる高域がレスポンスよく聴こえてきます。
ボーカル帯は高域、低域と比べれば一歩奥まって聴こえますが、強烈に主張してこないわりにしっかり存在感があります。DLC振動板らしい解像度の高さと硬質な音表現、PU振動板による音の厚みまでがしっかり感じられてとても艶のある中域です。
特筆すべきは音場のつかみやすさと定位の良さで、ボーカルを囲む楽器群の配置がきちんと明確にモニターできることです。Delci のカテゴリーはリスニングイヤホンでしょうが、モニターイヤホンとしても通用するだけのすぐれた定位感を装備しています。
見通しの良さと透明度という点では寒色カリカリのBA搭載機には及びませんが、刺激の少ないチューニングは長時間聴いていても心地よく聴き疲れすることがありません。キレやスピード感を重視するより音の芳醇さ、深さに重点を置いて音楽に没入できるように設計されているようです。女声ボーカルを聴いたときには声が煌めいて感じられるほどでした。
低域は、ミッドベースはやや抑え気味ながらサブベースの響きが十分にあるので、ベースそのものの量感を不足に感じることはありません。チューニングは弱ドンシャリからナチュラル傾向で耳障りに感じる雑味は皆無です。チルタイムに何時間でも聴いていたくなるようなニュートラルなサウンドは、とても心地良いものです。低域だけが膨張したりブーミーにならないので、中高域の分離がきちんと把握できて耳に届けられるのも Delci の優れた特徴です。そういう意味ではバラードやヒーリングミュージックにも向いていると思われます。
KEFINE Delci は派手な迫力や演出はないものの、原曲そのものを味わう醍醐味があり、リスニング用にもモニター用にも使えるイヤホンとしてもきっと重宝されるでしょう。見た目は地味で質実剛健な外観も、視点を変えればプロ機材のように見えないこともないし、気がねなく使い倒すのにはオール金属で強度のある Delci が向いているかもしれません。重低音ズンズン派のボクにしてみれば、もう少しだけミッドベースの厚みがあれば100点なんだけどな~とは感じてしまいましたけどね。まあそれは贅沢な望みです。
エイジングでもう少し高域の明瞭度が上がるまで、しばらく外に持ち出してみようと思います。お気に入りになるかどうかはそれから考えてみても遅くないでしょう。
地味子が隠し持つ爪の一端をチラリと見せてくれるその瞬間を楽しみに…
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