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ワンダーエッグ・プライオリティは失敗だったのか、見直してみた

 ワンダーエッグ・プライオリティという2021年1月から3ヶ月放送していたアニメをご存知だろうか。

 日テレとNTTドコモによる合同会社とアニプレックスによる製作(この場においては出資と権利者を意味する)でCloverWorks(アニプレックスの完全子会社でアニメ制作会社)による制作で作られたアニメだ。

 CloverWorksとしては深夜アニメとして初の単独オリジナル作品(共同作品としてはtriggerとの『ダーリン・イン・ザ・フランキッス』、単独制作としては児童向けの『のりものまん モービルランドのカークン』が存在する)である。
 原案・脚本家は家なき子や101回目のプロポーズの野島伸司が担当している。


 さて、このアニメは僕は失敗したという認識でいる。
 PVを見て貰えばわかるが近年のインフレするアニメでも、クオリティは上位に食い込んでいると言っても過言ではないだろう。

 しかし失敗した。
 失敗はいろんな要素で存在するが、アニメで述べられる失敗は興行的面と、端的におもしろかったかということだろう。
興行的側面を外部の人間が論じるにはデータが足りないためここでは述べない。
 ここで述べるはおもしろかったかだ。

なぜこんなことをするのか

 11話までは非常に好評だった。このアニメが失敗と目される理由は終盤の12話、そして本放送後に放送した特別編によるものが非常に大きい。
 実際放送を見た僕自身もファッ!?ウーン…という顔をしたものである。

 作品というものは不思議なもので、見たときによって案外評価が変わる。
 どんだけ映画館でクソだなって思っても、しばらく経って家で見ると自分の思ってたクソってほどではない、いやそこそこ良作の域という場合だってあることだろう。

 実際に放送してだいたい3年くらい経った。
 色々あってdmmtvに加入してこの作品を見かけた。
 このアニメを僕は失敗だと思っているけれど、失敗というにはあまりにも惜しい作品だと思っている。
 3年経った今、見直せばこの作品は面白いと胸張って言えるんじゃないかと思ったのだ。

どういうアニメなのか

 ワンダーエッグ。それは君の欲しいものが入ったエッグ。夢のような、現実ではないエッグの世界で割ると自ら死の世界に近づいた女の子が出てくる。4人の少女たちはそれぞれ、少女たちが助けたい自殺した女の子を助けるため、その女の子を『見て見ぬふり』や『アンチ』、トラウマや恐怖の象徴であるワンダーキラーから救い出す────

登場人物

大戸アイ

 オッドアイで内気でひまわりのような引きこもりの14歳の少女。
 オッドアイが祟っていじめられていたが、転校してきた小糸と親友になる。が、しかしある日突然小糸は自殺した。小糸を助けるためにアイはエッグを割る。
「トサカに来たぜ!」

青沼ねいる

 口数が少なく、合理的思考を好む少女。
 14歳にしてジャパンプラティという大企業を務める才女で、自分を刺し自殺した妹を甦らし、傷の疼きを鎮めるためエッグを割る。
「度肝を抜いてあげる!」

川井リカ

 金髪にピンクのメッシュの元ジュニアアイドルの少女。
 熱狂的ファンのちえみを心の中で財布、デブとバカにしていたが、ちえみが自分のために万引きしている姿を目撃。出禁を言い渡したその後亡くなったことを知り、後悔の念からエッグを割る。
「あなたのハートにズッキュンバッキュン!」

沢木桃恵

 ボーイッシュな少女。同性にもてる。
 はるかという少女から恋愛的関係を迫られるも拒絶、その後はるかが自殺したことから、正しかったのか悩みエッグを割る。
「おとといおいで」

アカ/裏アカ

 エッグ世界にいるトルソー姿な人たち。エッグを売っている。

結果(以下ネタバレ)

 全体を通して感想を述べるなら、わりぃ、やっぱつれぇわ

 だって話が終わってないんだもん。
 12話で一応メインキャラの助けたかった人たちを生き返らせることには成功したが、特別編で自分たちのことを覚えていないことが発覚し、ねいるは行方不明。11話で出てきた少女たちの自殺の元凶的存在であるフリルというキャラなんて出て気もしない。残った三人もそのうちに疎遠になり、アイはねいるを助けにまたエッグの世界へと戻っていく──

 打ち切りかのような尻切れトンボ。
 これをいいアニメだとはちょっと僕には言えない。

輝かしい11話

 でももう一度見てもいいとこもある。というか話の根幹が畳まれてないところがマイナスなとこであり、広げてるところは間違いなく傑作だった。
 その最たるものが11話である。
 桃恵とリカは助けたかった少女をとうとう助けることに成功したはいいもの、突如現れた大谷育江声の異形にお助けキャラを殺害され死の恐怖を植え付けられる。そんなことも知らないアイはエッグの世界で裏アカに遭遇。語られるすべてのはじまり……
 てな話なんだが、そのSF的で無機質な感情むき出し過去語りがめちゃめちゃにおもしろい。映像的面でもキレキレで、この話のためだけにこのアニメは存在していると今ならそう結論付ける。

(でもこの話があったから終わりも期待しちゃったって面もある)

最後に

 話はまとまらないけれど11話はやっぱりおもしろかったので僕の中でトータルはプラスな気持ち。

 おしり

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