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絵になる美しい街並みを創造するための粉本/キャナルタウンウエスト/兵庫県神戸市兵庫区駅南通り/神戸らしさを追求した街並み

 

    神戸の都心、三宮の西方に位置するJR兵庫駅の南側にあった貨物駅跡が整備事業地区として計画や設計が進められていた初期の段階で、その設計に参画させてもらった。既に進められていたのは超高層棟を5本建設し、屋外空間を多く確保する計画であったが、神戸には似合わないと思い、担当した西側ブロックについては屋外空間が少なくなり、建物で窮屈になるが、3本の超高層棟の内、最も西に位置する1本を残し、他の2本を中央に新たに設けた東西に貫く街路骨格となる歩行者専用路の両側に建ち並ぶ高層棟に置き換えて、出来るだけ気持ちの良い界隈性のある神戸らしい街並み景観が形成できるよう、変更させてもらった。このデザイン手法は、ヨーロッパの美しい中世都市で誰もが美しいと感じる「街路の先に教会や城門の塔をアイストップに見せる空間構造」に倣ったもの。
    両側に分節して建ち並ぶ神戸に相応しい個性的な館の間に設けた煉瓦敷きの、それも運河を併設した歩行者専用路を西に向かって歩けば、西側に残した超高層棟の1本が、東に向かって歩けば東ブロックの1本がアイストップになる、いわば一幅の絵に見える空間が連続して堪能できる。

 全体の設計については数多くの設計者が参画することから、変化と調和が適度に織りなせるようマスターアーキテクト方式というデザインの誘導策を採用したこと、更には個々の設計者が手腕を発揮したこともあって土木学会から「良質な景観デザインが創造された」とする評価を受け、土木学会デザイン賞優秀賞を受賞。

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