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琉球対島根 忘備録

あまりに面白い2試合だったので振り返ってみたい。かなり個人的な見方が含まれます。

ビッグゲーム 前節

琉球は土日にアウェイで大阪に1-1とし、水曜日に引き続きアウェイで京都と対戦した。前半は競った展開ではあったが、今村がスリーポイント6/7(85.7%)と大爆発🔥
後半のディフェンスもかなりの強度で京都の得点を13点、14点とし、87-71と快勝した。

一方の島根は土日に川崎をホームに迎えた。ビュフォード、マーティンを怪我で欠き連敗してしまう。水曜日はアウェイで今シーズン未勝利の富山との対戦であった。初勝利を目指す富山であったが、そこはさすが島根。外国籍を欠いても安藤27点、ケイ27点と圧巻のパフォーマンスを見せ、勝利をおさめた。

島根としては富山には当然のように勝利。前年王者である琉球を倒すと意気込んで望むバイウィーク前の試合となった。

だが、琉球は前節から既に島根を見据えた戦いをしていたのだろうと思われる。

小野寺のプレイタイム9:36

このように小野寺のプレイタイムは前節9:36と短いものであった。代わりに長いプレータイムだったのはキャプテン田代。今シーズン最長となる17:34の出場であった。

怪我の影響かプレータイムが伸びない田代
この中で佐賀戦は延長である。京都戦の長さが際立つ。

京都戦のプレータイムを見る限り、安藤を抑えるのは小野寺ということで決めていたとしか考えられない。

激闘の歴史

桶谷琉球はヘナレ島根と対戦するのは11回目である。過去の試合結果は下記の通りである。

2021-22
3/11 87-76 H島根 勝利
3/12 74-92 A琉球 勝利
4/23 93-82 H琉球 勝利
4/24 71-68 H琉球 勝利
セミファイナル
5/21 94-85 H琉球 勝利
5/22 72-70 H琉球 勝利

2022-23
11/26 96-86 H琉球 勝利
11/27 68-80 A島根 勝利
1/11 80-81 A島根 勝利
4/12 72-87 A琉球 勝利

ここまで琉球7勝、島根3勝であるが非常に競った試合が多い。また、このカードの特徴の一つとして大きく選手が変わっていないことも注目点であろう。

2022.3.11の両チームスタメン
島根
ビュフォード
安藤
ケイ
白濱
ウィリアムス

琉球
並里→群馬  ※4月以降の試合は岸本
コー→群馬
エバンス→広島
今村
クーリー

恐ろしいことに島根は2シーズン前から不動のスタメンと言って差し支えない。一方の琉球も並里、コーの移籍があったが今村、クーリー、岸本、外国籍と大きくは変わっていない。お互い手の内を知り尽くしており、試合を分けるのは積み上げ部分の差。開幕から間もない時期の対戦ということで昨シーズンからお互い大きな差はないと思われた。だが琉球にとって対島根において大きな問題が残った。それはコーの移籍だった。

コーフリッピンの移籍で輝く小野寺祥太

コーは昨シーズンファイナルで琉球に優勝をもたらした選手である。所属した2シーズンでは2ndユニットのPGの役割など、様々な活躍をしたが、特に富樫勇樹、河村勇輝、安藤誓哉、齋藤拓実といった得点力、突破力に優れた選手のマークマンになることが多かった。
またPGだけではなく得点源の選手につくことも多かった。いわば、ディフェンスのユーティリティプレイヤー。今シーズン、そのコーフリッピングは移籍しており残る選手で対策をしなければならなかった。
開幕第3節。相手は日本代表河村勇輝率いる横浜ビーコルセアーズ。ゲーム1で河村のマークマンになったのはヴィックローであった。序盤からディフェンスが噛み合わず89-66で完敗。だがそのヴィックローは怪我でゲーム2を欠場してしまう。
そこでゲーム2でスタメンとされ、河村のマークマンになったのが小野寺であった。河村には23得点を許すもチームは88-70で前日の負けを取り返した。
試合後の会見では桶谷HCは冒頭に小野寺の活躍について言及している。

今日はビックローと田代が出れない中で、出れるメンバーがステップアップしてくれた。
スタートのところ、日本人選手のところを変えて小野寺のところが昨日はちょっと小野寺が出てる意味が無いような使い方をしてたんで、今日はもう小野寺を河村くんにあてて、河村くんの仕事をさせないということで、それが1番ハマったのかなと。

OUTNUMBERのBリーグチャンネルより

横浜戦のゲーム2の結果を受けて、相手のエースガードにつく1stオプションは、以前からディフェンスに定評のあった小野寺となるのは自然な流れであった。更に安藤誓哉のプレータイムはリーグでもかなりのものである。そこから、前節の京都戦では島根戦のキーマンとなる小野寺の疲労を溜めないことにチャレンジをしたと見ることができる。

バイウィークまでのプレータイム上位順
安藤がリーグ最長で36:57と長時間プレーしていることがわかる


島根の奇襲

両チームのスターターは下記の通り
琉球        島根
岸本        安藤
小野寺       津山
今村        晴山
ダーラム      ケイ
クーリー      ニカ

ここで会場にいる全員が驚く奇襲ビュフォードが行われた。1Q残り7:15のことであった。欠場を続けていた島根の絶対エース、ペリンビュフォードがコートに復活したのであった❗️

入場時、遅れての入場。アップの段階でもビュフォードは全体練習に参加せず。シューティングは若干実施していたがピアス、ネックレスをしたまま。一方でもう1人の欠場選手であったマーティンは会場にあらわれ事前にストレッチを行うなど、混乱を生じさせるまさに奇襲を仕掛けてきたのだった。

島根の奇襲は成功した。1Q5:43には2-13と11点のリードを奪った。しかしホームの琉球もその後は冷静に対処し、1Qは17-23と島根6点リードで終えることとなった。40分×2日=80分にわたる死闘の1本目は島根が制した。


安藤対小野寺 
小野寺対島根ディフェンス

島根のオフェンスは安藤、ビュフォードの超強力な2人に対しヘルプによると捌いてキックアウトスリー、ニカへの合わせといった展開がされる。
起点のひとつである安藤はPPG20.1であり、琉球も過去に何度も痛い目に合っている。その安藤を15点、3アシストに抑えたのは小野寺のディフェンスが効いており、簡単にボールを持たせてプレーをさせなかったからだと見れる。前半は12点取られているが、後半はフリースローによる3点のみ。終盤には安藤に対しクーリーのブロックショットが2本炸裂したこともあり、安藤にはこの試合はやられなかった=よく守れたと評価できる内容だった。

一方の小野寺のオフェンスではゲーム1で10点。
FG4/7 3P2/4と高確率で決め切った。
琉球を相手に守る時にはどうしても小野寺を軽視せざるを得ない。バスケットでは全てを守ることは理想であるが、そんなことは不可能である。相手の強いところ、味方の弱いところをヘルプし合いながら守るようになるが、3Q序盤ではマークを軽くせざるを得ない小野寺を起点に一挙8-0のランに成功した。空けても仕方ない選手の活躍は島根のディフェンスに混乱をもたらした。

ドライブからダーラムへの3Pのアシスト
岸本からのアシストでオープンでの3P
コーナーからのドライブでの2点

タイムアウト以降、小野寺を自由にはさせられなくなった。ヘルプディフェンスの鬼であるビュフォードも簡単にヘルプにいくこともできなくなり、オフェンスの主役である今村、ダーラム、クーリーが得点を取りやすくなったのは、間違いなく小野寺の活躍によるものであった。



長時間出場の代償

3Qが終わり56-61と島根がリードし4Qへ。
ここで琉球はこの日初のツインタワー、カークーリーを起用する。この2メートルセンターズはとにかく走る。61-61で迎えた同点の場面での速攻のシチュエーションもクーリー、カークともにリング下にダッシュ。結果的にクーリーがオフェンスリバウンドをもぎ取り得点に繋げ63-61と2分で5点差をひっくり返した。
また、このカークーリーは4Qニックケイの疲労を明確なものにした。とにかくリバウンドが取れない。試合の勝負所での4Q、ケイのリバウンドは1つのみであった。クーリー、ダーラムのマークを続けていたケイは4Qで電池切れになってしまったのは仕方がないことであった。
残り1分、75-75に追いついた今村のフローターの場面も疲労で説明するのは簡単だがそう見えてしまう。ヘルプディフェンスが異常に速い、ブロックを何度もしているビュフォードが目の前にいてブロックに飛んですらいない。
また、75-75残り40秒の場面
ここでヘナレHCは出ろ、出ろとニックケイに指示を出している。だが、出れないニックケイ。
なんで?疲れているから。
ダーラムからフリーの岸本にボールが通った瞬間にはヘナレHCには次に起こる場面がわかっていたようにしか見えない。決め切る岸本が凄いのだが。

島根のTO後のオフェンスもパスのズレがあったことを考えると40分近く出場を続け完璧にプレーすることがいかに大変なことか、ニックケイ、安藤の凄さがわかる試合となった。

ゲーム1終了

激戦は80-77で幕を閉じた。誰もがわかる好ゲームであり、どちらが勝ってもおかしくない内容であった。琉球の選手が試合後喜びを爆発させていたことからもいかに重要な試合と位置付けていたかがよく分かる。


アイアムウィナー


ゲーム2まで書こうと思いましたが、疲れたので。いいねなど反響があれば書こうと思います。
なくても書くかもしれません。

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