豊島美術館が素晴らしかった。想像をはるかに超えて。

豊島美術館が素晴らしかった。想像をはるかに超えて。

タイトルのとおり。

2010年にできた美術館なので今更感があるかもしれないが、やっと行くことができ、それが本当に素晴らしい体験だったのでnoteを書こうと思う。

(※ネタバレみたいなものを含むのでまだ訪れたことのない、これから行きたいと思っている方はご注意ください)

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四国は高松港から豊島港まで高速船でおよそ35分。豊島港から自転車で30分ほどのところに建築家・西沢立衛、アーティスト・内藤礼によって2010年に作られた豊島美術館。

“瀬戸内海に囲まれ、漁業が栄え、自然豊かな檀山、美しい棚田が広がる豊島唐櫃に位置する豊島美術館。明神山を取り囲むように設けられた遊歩道に沿って進むと、やがてアートスペースのエントランスが現れます。柱ひとつないアートスペースは、膜のようなコンクリートで覆われたシェル構造で、天井にある二箇所の開口部から、周囲の風、音、光を内部に直接取り込んでいます。内部空間では、一日を通して「泉」が誕生しています。その風景は、季節の移り変わりや時間の流れとともに、無限の表情を伝えます。豊島美術館は、美術、建築、環境がまさにひとつとなって、私たちに生きることの喜びを喚起させる場です。”
※入館時にもらえるパンフレットより

美術館は主に、地面から湧き出る水と、それらを包む建築の2つで構成される。
全体の作品名としての総称を『母型』と呼ぶ。

僕は雑誌に掲載された写真数枚のイメージと、『母型』という作品名だけを前情報として頭に入れ美術館を訪れた。

チケットを購入し、山の中舗装された遊歩道を瀬戸内海を眺めながら進んでいくと、アートスペースのエントランスが口を開けて待っていた。

エントランスをくぐると、大きなハンカチをフワッと宙に浮かし四方をゆっくり下げることで出来る柔らかい膨らみの中にいるような広大な空間が目の前に広がる。
(中は撮影禁止なので気になる方は豊島美術館で画像検索してみてください)

公式サイトによると、広さ40×60m、最高高さ4.5mの空間に柱が1本もないコンクリート・シェル構造、とのこと。
いわゆる直立した壁はなく、床の全方位からごく浅い角度で天井が生まれている。

その広大な空間の床に、コンクリートにできた気泡と見分けのつかない小さな穴がいたるところ無数に空いており、そこから水が一定の間隔をおいて絶えず湧き出ている。

床の仕上げも天井同様コンクリートなのだが撥水加工がなされているのか、水は表面張力を保ったまま、体感できぬほどの僅かな傾斜をまるで生きているかのように形を変えながら傾斜の終わりへ向かって移動する。

それらの水は途中留まっている水と次々と融合し、最終的には空間の両端に大きな泉を形成する。
小さな水たちは絶えず四方八方から大きな泉を目指して進み、やがて融合し泉を大きくする。
泉の上にはぽっかりと大きな穴が空いており、風や環境音を取り入れつつ、差し込む日差しが泉の水面を煌びやかに照らしている。

上を見上げると穴にゆるやかに張られた白い紐がゆうっくりと揺れ風の存在を示していたり、天井から細い糸が垂れかすかに揺らめいている。

それらの風景すべてを心地よいな綺麗だなと思い眺めているとき、僕は気がついた。

大きな泉を目指す無数の水。それらを受け入れる大きな泉。
これは受精の瞬間、生命誕生の瞬間ではないか。

『母型』の作品名のとおり、大きな胎内を通して僕らは生命の誕生を目の当たりにしているのではないか。
天から降り注ぐ太陽光を浴び煌めいている2つの泉は、アダムとイヴなのではないか。と。

静かに湧き出る水と、厳しい下界からそれらを(僕らをも含め)優しく守るように包む圧倒的な大きさを誇る薄い膜のような建築。

静かな空間の中で水だけが音もなく生まれ、融合し、泉は大きくなり、照らされ、輝く。

圧倒的な“静”の中、小さな“生”がまさに今、湧き出、育まれている。
その小さな“生”を巨大な胎内空間で体感するというコントラストは強烈で、ミニマルな構成群は余計にイメージを喚起する。

『生が止めどなく生まれ静かに時間を押している。』


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もちろん、これらは全て僕の勝手な想像に過ぎない。
しかし、魂が震えたことだけは確かだ。

圧倒的な体験を伴って根源的なものに触れた時、魂は震える。

そしてそこに説明はいらない。
感動とは魂が震えることだ。

豊島美術館が世界一の美術館と称される理由。
それはいずれまた戻る日常への合間に、水が湧き泉をつくるかのごとく、魂を震わせ、心臓をひときわ潤すからではないか、と僕は思う。


いやぁ、アートって本当にいいもんですね〜。


#アート #現代アート #建築 #西沢立衛 #内藤礼 #豊島美術館 #旅

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最後までお読みいただきどうもありがとうございます。

ッドーーーン!!!!!!
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