ア デイ イン ザ ライフ

今春から(正確には今週から)新しい保育園に新メンバーとして転園した息子が、その園で進級した園児達大勢によって既に出来上がっているコミュニティに入れず苦しんでいる。

息子はまだ3歳だ。
うまく言葉で表現できないことがほとんどだろうし、ましてや今までと全く違う世界に急に放り込まれるわけである。
慣らし保育期間なのでお昼に家に帰ってからは溜まりに溜まったフラストレーションを手当たり次第おもちゃや絵本を妻やテレビに投げつけることで爆発させ、部屋は悲惨な状況になっていた。
普段はひょうきんもので家族の誰よりも明るい性格の息子が荒れに荒れている。

親としては子の悲しむ顔を見たくないし、新しい友達を作って楽しく毎日を過ごしてもらいたい。
正直泣き喚かれるのも精神的に疲れるのでなんとしてもゴキゲンに通ってほしい。妻も同じ願いだ。

そこで朝の登園前、お守りと称して息子の手の甲にマジックで息子の好きな戦隊ヒーロー、ルパンレンジャーを描いた。
知らない子や新しい先生に見せてあげたら?と少し誘導してあげて。

するとその夜、今日は新しいお友達とおしゃべりして手をつないだと報告してくれた。
息子にとってはとてもとても大きな進歩だ。僕は泣きそうだった。もちろん妻も。
それに加え、僕の手にも描いてもらう!と見知らぬ子からのリクエストもいただいたとのことだった。
正直デッサンは学生時代トップクラスに得意だったと自負している僕としてはとっても嬉しい。

しかしそこは一進一退な日々。上手く効果を発揮しない日もあるようだ。

ただ、夜寝る前に泣きじゃくっていても、明日は何描いてほしい?と聞くとスッと泣き止みリクエストを伝えてくる。
翌朝再確認し、iPhoneで検索し、模写をしてあげる。
といっても所詮マジックでささっと描くイラストに過ぎないのだけれど。

朝、マジックで息子の手の甲に描いてあげている中、ふと思った。

この行為、デザインの仕事と意味合いとしては変わらないのでは?と。

どうしたらいいのかわからないクライアントがいる。僕はコミュニケーションのとっかかりとなるものを、僕の得意技でつくる。そうすることによってギアはうまく噛み合い、スムーズに歯車は回り事が運ぶようになる。

どうしたらいいのかわからない息子がいる。僕はコミュニケーションのとっかかりとなるようにヒーローを得意技で息子の手の甲に描く。そうすることによって小さな世界で(息子にとってはとても大きな世界で)会話が生まれ、上手く事が運ぶようになる。

短絡的かつ完全に父の勝手な妄想でしかないが。

しかし、だ。
とっかかりを作ってあげる。コミュニケーションの生まれるきっかけをつくってあげる。これは立派なデザイナーの仕事だ。
この文脈でいくと世のお父さんお母さんみんなデザイナー論になるが、デザイン思考とか言うしね。ちゃんと解決の手段として機能していると思うし(たぶん)。

実際のところは妻が事細かに息子の様子を連絡帳に記し、先生に伝えてるからこそ、息子の新しい保育園での生活が少しでも上手く運ぶようになっているのだとは思う。

でも父親としては息子の新しい環境での友達作りのきっかけのひとつは手のお守りのおかげもあると少しくらいは思いたい。

✳︎✳︎✳︎

誰にとっても、毎日は新しい日々の積み重ねである。
その1日はある人にとっては気分軽やかな1日であり、ある人にとっては重くのしかかる1日でもある。
息子にとってのここ1週間の毎日は間違いなく、後者の1日であろう。

こういった時、父は息子の手の甲に好きなヒーローのイラストを描くことくらいしか能がないのである。

新しいお友達が一人でも多くでき、安心して笑顔で楽しい毎日を過ごせるようになるまでは描き続けてあげようと思う。これしか得意技がないから。

だから今日も明日もお守りを。
頼んだぞ、ルパンレンジャー!



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

最後までお読みいただきどうもありがとうございます。

スキありがとうございます!
16

日々のこと・気づき

1つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。