ニッポンおもひで探訪をネタバレ有で考えたい

先週一部の界隈ではめちゃくちゃザワついていたんですけど、見ました?
「ニッポンおもひで探訪」

なんかおもしろいテレビ番組に精通されたインフルエンサーが注目されていて、テレビでオンエアされるやいなや「これは見た方がいい」ってなってたりしてました。佐久間Pのオールナイトニッポンとかでも取り上げられてそれで知った方もいると思います。

とはいえ、この番組を見た人が暗黙のルール的にネタバレを伏せているんですよね。事前知識を持っていると初見時の衝撃を持てなくなるんじゃないかって。それでTwitter(Xとは言いたくない)ではネタバレを伏せた書き込みばかり目立ちます。で、オンエアから1週間立ってTVerも終わったのでネタバレ書きたいです。書かせてください。

U-NEXTでは配信やっているので見たい人はリンクから飛んでください。


要約(ネタバレあり)

前半10分

旅人役の宍戸開さんが山間の集落に訪問。

第1村人(小川でイワナ釣りをしているお爺さんと少年2人)と交流。
「子供の頃は杉の木からなる実を使った杉鉄砲で遊んだ。杉の木が多く、免疫がつくのでこの集落には花粉症の人はいなかった」→平気で鼻をかむ少年。

第2村人(お爺さん)「マムシを捕まえようとした、食べると肝が美味しい」

第3村人(村のおかみさん3人)「美味しいもの食べて」と郷土料理を勧め、相席成立。山暮らしの知恵がつまったたけのこ汁、ぜんまいの煮物、ビスケットの天ぷらを振る舞う。「高級品はないがあるもので」。→おかみさんの話し方が若干棒読み。時が止まったままのカレンダー。

200年以上の歴史のある神社では秋祭りの準備が進む。
お祭りでは、獅子神楽が奉納され無病息災・五穀豊穣を願う。
町にすむ長治さんは獅子舞を担当しており、本番が近付きに連れて緊張した表情を見せる。

「都会に行くと人の目が日数立った魚のような目している。山の子供たちのほうがいきいきしている」
「お祭りになると花が咲いたようになる」

長治さんのインタビュー

宍戸開さんがお祭りの本番を見学し「踊りを覚えてやっている。これが代々続いていくといい」と感想。

村から旅立つと集落の「離村記念碑」を目撃する。

後半10分

かつて110人が暮らしていた沓津集落は、1972年に最後の住民が離村し、今は誰も住んでいない。

廃校に集められた元住民。取材者・木村Dにより「思い出を再現して映像に記録する企画」と説明される。

・高度経済成長期に衰退、生活の維持が困難で離村が決定。
・保存会が年に数回草刈りや雪下ろしをして環境を維持している。

長治さんは最後まで集落に残ったが、再興せず。少年時代から集落を愛しており「なんで今」と腹が立つ。「命を何に使うか考えたら山に使いたい。」

獅子舞や悪魔祓いの衣装は元住民1人が大切に保管しており、保存状態も良い。しかし肝心の振り付けが分からず、記録も残っていない。
元住民の長老・小林さんに依頼しレクチャーを受ける。

「テープに残せばいいが時代が時代だからできなかった。何か残したいと思って頑張った。」「最後の奉公しなきゃ。」

長老・小林さんのコメント

住民たちが1ヶ月できる限りのことを尽くして、沓津集落での遊びや料理、祭りを再現。旅人役のタレントと相席をするという設定で映像として残した。

「亡くなったおやじも喜んでいると思います。」
「とにかくできたってことは嬉しいですわ。」
「諦めた方がいいと思った。獅子とか思い出せなくて。思い出ができたよかった。」
「若い衆が立派にやってくれたからよかった。さもないと消滅してしまうもんね。だから一生懸命にやってやったんだ。」

収録終了後のコメント

宍戸開さんが地図を開くと、地図にあった集落名と住居記号が消滅する。

いろいろ

諸々蓋を開けてみると、町ブラを通じて地域の魅力を紹介するドキュメントのように見えた前半部は地域住民やそのご家族が自らが廃村になった集落でのかつて(人が住んでいた頃)の文化や風習の再現を通じて映像に残す取り組みであった。それを普通のドキュメントのように放映して最後にメイキング映像を通じてネタバラシしていたという仕組みでした。

特徴的だと思ったのは前半パートの絶妙な不穏さですね。
「花粉症はいない」と豪語⇨平気で鼻かむ みたいなフリからのオチでツッコミどころを演出する「相席食堂」みたいなノリ(ツッコミ不在なので相席ではないが、雰囲気は似てんなと思った)とか、お祭りに同伴してみる「奥様ッソ」要素とか、民放攻めドキュメントバラエティあるあるがブチ込まれていて、その不穏さからフェイクなんだろうなとは分かる仕組みになっているのも感じました。
それくらい興味を惹く独特な映像じゃなければならない。ただ、フェイクドキュメンタリー番組ではないので、放映されたものをそのまま受け止めていいはずなのに、過度に深読みされた考察が行き渡ってそうだなとも思います。

そして後半パート。放送枠が20分しかないからか、ビスケットの天ぷらを振る舞ったところまでの説明がないんですよね。「高級品はないがあるもので…(振る舞う)」っておかみさんが言っているのが全てで、当時も地域の特産品とか郷土食みたいなものではなく、おかみさんの創意工夫された手料理でお客さんを振る舞っていたのかなと思います。おかみさんがテレビを意識してネタでビスケットを揚げたっていう訳ではないでしょう。特産品のなさが地域の人口増加=存続に至らなかった原因って味方もあるのかもしれないです。なんとなく前半だと水ダウ「名探偵津田」で津田に「猛毒の形をしたキノコ汁」を振る舞うあのシーンを彷彿とさせた思い出し笑いだけが先行しそうにも感じました。まあたまたま放送時期が被っただけだけど、
(ぜんまいの煮物めちゃうまそうだった。ビールor日本酒で優勝したい)

奥様ッソや名探偵津田を彷彿とさせるシュールな映像で届けた理由。それだけ限界集落の文化の喪失の危機感を明確に伝えたかった強い意図を感じます。それだけに、住民参加のコントとかモキュメンタリーなだけで消費されているとちょっと悔しいというかモヤモヤしてます。
そして、限界集落を盛り上げるのではなく閉じる選択をする自治体はますます増えるでしょう。都市に集中する時代、移住促進!空き家支援!って盛り上げるのだけが正しいわけではなくて、そういう選択をせざるを得ないからするというケースも出てくると思います。インターネットに書いた情報は一生消えないと言われている時代ではありながらその時に集落の文化や人が住んでいた記録を残す方法がまだ認識されていない。その中でこの取り組みがきっかけになったのかなと思いますし、これからもっと増えればいいなあと思います。

「これからもっと増えればいいなあと思いますじゃあないんですよ。何小学生みたいなこと言うているんだ。そんな綺麗事は」って思う人もいるでしょう。でもNHKにはそれを撮影したそのままの素材を残すことができたの、それを撮っただけでもとんでもない凄いことじゃない??って感動したんですよね。後半パートで流れていたように当時を知る者のレクチャーだけだったら引き継げなかったのかもしれないし。

あの番組で流れて人々が見たのは不穏な映像に編集された1番組は、社会問題に関心をもてた、それだけではなく歴史的な映像素材も残せた。そこに胸が熱くなりました。まあ地域に入って迷惑だけをかけた黒歴史もあるので筆者は、悔しさも感じますね。

おわりに

実感した胸熱感想を一気に書くと散文になるな、ChatGPTに要約してもらいたいなと思いますが、書きたかったので書きました。夜になってしまったので寝ますおやすみ!!起きたら整理できるかな

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