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ディープな北信濃グラベルライドメモリー

奥信濃という言葉がある。秘境感があって好きな言葉だ。奥信濃というと、どうやら長野県の北部の真ん中に国道18号線が南北に走っていて、その東側に有る中野、飯山方面を指す呼称らしい。今回紹介する4年前のライドは、国道18号線の西側、長野市北部から一旦新潟県妙高市に北上して再び西側の長野県北安曇郡小谷村との県境に有る乙見山峠(隧道がある)を超えるコースなので、北信濃と表記させて頂く。西側の戸隠、鬼無里を含めた小谷村方面は一般的になんと呼ばれているのだろうか?どこを探してもその地域限定の呼称は見当たらない。安曇野市まで南下してしまえば、大北地方(たいほくちほう)という広い範囲の総称はあるがその場合、戸隠、鬼無里は外れる。長野県は「信州」や「信濃の国」と呼ばれ、地図をみると南北に長く、信州、信濃の「信」を取り東信、中信、南信、北信と4分割され、(西信というのが無い)長野市の東を含めた地域は北信、西側は何故か中信となっていて、しかも天気予報の区分で言うと、北と南に分けて、北部、中部、南部と3分割されているのでとてもややこしい。

mamamajiuko.com から拝借


何にしろ冬になると、特に隣接している新潟、富山県境は豪雪地帯で何処も冬季通行止めとなる。主要幹線道路以外、除雪はされず自然融雪となり、その後必要に応じて道が整備される。その為開通が8月下旬になる事も有り、そして11月には再び閉鎖されてしまう。それが2020年10月にラウンドしたグラベルロード「林道妙高小谷線」である。一枚の写真とGPSデータが残っていたので、改めて振り返ってみた。


 2020年10月5日

SuperXを手に入れた最初の秋だった。せっかくのシクロクロスバイク、舗装路ばかりでどこかグラベルロードでも走りに行こうと…そうだ!妙高から乙見山峠超えで小谷に降りて、白馬経由でラウンドしてみようと思い立った。概要は下記の地図で反時計回りでラウンドした記録である。

距離140.09km  時間11:30:58  総上昇量2069m


この地域は何度も山スキーや沢登り、縦走など四季を通して慣れ親しんだエリアである。当時、月曜日休みが取れたので静かなランドネとなるはず。でも天気がイマイチで雨覚悟で決行したがやはり甘くは無かった。自宅を出ると長野市を脱出する為、上水内郡飯綱町との峠「坂中峠」をイッパツ超えるが正確にはトンネルが開通したので、旧道は使わず有難くトンネルを通過。そして信濃町に入り、関川を渡ると新潟県妙高市の杉野沢集落となり、ここから再び本格的なヒルクライムが始まる。雨が降り始めてきてカッパ着用し、雨で濡れるより蒸れた汗でぐっしょり。一応GORE-TEXなんだけど無意味。寒くてヤバいかもと笹ヶ峰の駐車場にビジターセンターが有り、軒下で濡れた身体を摩りながら乾かした。こんな日でも火打山へ登るであろう登山客がいた。

笹ヶ峰駐車場に有るビジターセンター 、火打山の登山口にあたる
yukiguni-journey.jp から拝借

30分程休憩しただろうか、天気は回復する予報なのでスタートする。黒沢橋を過ぎたあたりから青空が見えてきて、太陽の日差しは暖かくて本当に有り難かった。此処からお待ちかねのグラベルロードの始まりとなった。その昔笹ヶ峰ダムが建設されると乙見湖ができ、その湖岸道路のアップダウンを繰り返すと、真川と鍋倉谷を合わせたところに有る杉野沢橋を渡る。ここから乙見山峠へと距離9km高低差359mの登りとなる。

杉野沢橋
tozanguchi-p.com から拝借


乙見峠までのグラベルロードは登り地獄だった。途中渓流釣師と出会ったり、深い渓谷からは妙高山、火打山、天狗原山の稜線から続く焼山が見事だった。

唯一残っていた渾身のワンショット 林道の途中にて(流石に構図を考えていた)

なんとか「乙見山峠」迄登り上げて一息ついた。隧道を抜けると暫くダートが続いたがそのうちに舗装路となった。暫く続く深い渓谷のダウンヒルは、「フォッサマグナ」糸魚川静岡構造線という日本列島地溝帯の真只中で、16.7kmの長いダウンヒルを満喫した。

青線が糸魚川静岡構造線、赤線が中央構造線、青線に囲まれたオレンジ色の部分はフォッサマグナ Wikipediaから拝借


登りもきついが下りもきつかった。途中、金山登山口に着くと、その昔、笹ヶ峰から金山谷を遡行して、天狗原山のピークを踏んで、ブナタテ尾根を縦走して夜になってしまい、真っ暗な林道をデポしておいたMTBでラウンドした山行を思い出した。あの時は本当に精魂尽きた。金山登山口から5km程降ると、雨飾荘のある県道114号川尻小谷糸魚川線に突き当たる。ここまで来ると観光客や登山者も見かけほっとした。

一度は泊まってみたい山奥の温泉宿
雨飾荘のwebsiteより

さらに1.7km程降ると硫黄の匂いが立ち込めてきて、右手に小谷温泉山田旅館が見えてきた。この付近には源泉が4ヶ所あり、その中の一つ山田旅館は小谷温泉大湯と名乗られている。

小谷温泉大湯山田旅館 江戸時代建築の本館
ここは大渚山周辺に山スキーに来た時に何回かお風呂に浸かりにきた。
山田旅館のwebsiteより

山田旅館を通過すると、道も広く整備されトンネルをいくつか潜るとR148に出た。左折して2車線の狭いトンネルで大型車両が頻繁に通るので怖かった。此処から白馬迄ダラダラと長い登りが続いてバテてきた。白馬駅を通過すると、1998年に開催された長野オリンピックの主要幹線道路として整備された 「オリンピック道路」を辿り、道の駅 中条で休憩。カツ丼やカレーライスに目もくれず、郷土料理の「おぶっこ」を頂いてパワーチャージして、長野の自宅迄ペダルを回す事ができた。

道の駅中条のwebsiteから
なんの事はないただのうどん料理である。

距離142km   時間11:14`17  獲得標高2271m

 Bird's-eye view(GPSの動画)

あとがき

自転車にはブルベという言葉がある。
ブルベとはノーサポート・自己責任の長距離サイクリングイベントで、タイムや順位には拘らず制限時間内での完走をすると認定がもらえます。 ブルベ(仏語 Brevet)は認定を意味します。 参加者は事前に公表されているルートに従って走行し、指定されたチェックポイントを時間内に通過しゴールを目指します。基本は200キロ、300キロ、400キロ、600キロ。 1年に4つの距離を完走すると「シューペル・ランドヌール(SR)仏語」と認定されます。制限時間は、600kmまでは15km/hで(平均速度ということか?)
200km:13時間30分
300km:20時間
400km:27時間
600km:40時間
食事や睡眠時間、信号ストップなどすべて含めたトータルの時間です。600kmを超えると少しずつ制限時間はゆるやかになります。ブルベは順位やゴールタイムを競う競技ではありません。クルマや歩行者と一緒に一般公道をその国の交通ルールに基づき走ります。大きな自転車の大会の場合、交通規制やサポートなどがありますが、ブルベではそのようなことは一切ありません。僕はまだ200km+しか経験がないので、次の目標は300kmを目指そう。僕はランドヌール(Randonneur/旅人)を目指そう。
                   


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