人生のスタートラインにて

相当昔の話だ。就職して1年過ぎの20歳頃の職場に遡る。職場の先輩が仕事をテキパキと行うのみならず上司への機転を利かせることも抜群で人気者であった。一方私は正反対で仕事の取り組みも何もかも手遅かった。一緒に働くようになってしばらくして一つ年上の彼がだんだん口も聞いてくれなくなってしまった。ある意味当然かも知れない。間に合わない後輩だったに違いない。さすがにこれには自身閉口して毎日へこむ日々を暮らしていた。
昼の休憩時間の職場食堂での食事時間も同様であった。彼がいつも食事を終える時私はまだ半分も食べ終わっていない。せめて食事にかかる時間だけでも早くすることを考えた。それには自分が彼に対抗して早く食べれるものは何かないかと。毎日毎日彼が和風定食を食べている時、私は炒飯だけを食べることに決めた。スプーンでその焼飯を口の中に入れ、そしてお茶で流し込む。その繰り返しだ。ラーメンや餃子など手間のかかるセットものは頼まない。ひたすら無駄口をたたかず食べた。しかもこの料理は油をしっかり使うせいか腹持ちが良い。
ある日年上の同僚が定食を終える頃、私もタイミング良く食事を終えれるようになった。その日彼からこう言われた。「キャッチボールでもしないか?」この日から不思議なことに彼との関係も上手く行きだした。仕事は職場一の彼ほどではないにしても、これ以降徐々に業務スピードがアップしてきて人間関係全て上手く行きだした。
早食いは万人におススメ出来ない。もういい歳となった今は出来るだけ健康面からユックリと噛み楽しく話しながら食べるようにしている。そして思い出あるこの料理は伴侶がいない時に食べることがある。自分で作ってみたが私の求めるものから程遠い。結局味の良い冷凍ものに頼る。いちばん気に入っている「ザ★チャーハン」は相変わらずスピーディにあっという間に食べ終わってしまう。人生のスタートラインに立っていた自分が懐かしく思い出される。初めはつまらない競争心だったかも知れない。でも食べるチャーハンの味は今でも変わらない。
#チャーハン大賞

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

4

brayamav

投稿作品

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。