学習方法について

学習方法について(すぷっち父)

今回は私が学習について学んだことを書きます。

息子(すぷっち)に教える以上、根性論は極力排除しようと考えました。
私自身、根性論や体罰によって大好きだったスポーツが嫌いになるという、あまり思い出したくない経験をしているからです。学習についての本や論文、論考などを読み込んだ結果、学習方法について私はあまりにも無知でした。

以下、参考に書籍や資料です。とにかくいっぱいあります。正直、しんどかったです。

書籍の一覧
• ベネディクト・キャリー『脳が認める勉強法』
• ピーター・ブラウン, ヘンリー・ローディガー, マーク・マクダニエル『使える脳の鍛え方』
• 中室牧子『学力の経済学』
• ミセス・パンプキン、 ムーギー・キム『一流の育て方』
• 今井むつみ『学びとはなにか?』
• ポール・ドーラン『幸せな選択、不幸な選択』
• 岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』
• 岡本茂樹『いい子に育てると犯罪者になります』
• 岡本茂樹『凶悪犯罪者こそ更生します』
• shizu『発達障害の子供を伸ばす魔法の言葉かけ』
• 今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』
• 今井むつみ『言葉と思考』
• 今井むつみ『言葉をおぼえるしくみ: 母語から外国語まで』
• 安西祐一郎『問題解決の心理学』
• 筒井 美希『なるほどデザイン』
• ポール スタラード『子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ』
• ロバート・D. フリードバーグ『子どものための認知療法練習帳』
•L.B.ニルソン, 『学生を自己調整学習者に育てる:アクティブラー二ングのその先へ』

インターネット上の資料の一覧

○ 熊谷恵子(筑波大学)『算数障害とはいったい?』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/70/70-17-20.pdf
○ 多鹿秀継(神戸親和女子大学)『小学生の算数文章題の解決過程 』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/70/70-13-16.pdf
○ 小塩真司(早稲田大学)『心理テストは信用できるのか 』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/68/68-13-16.pdf
○ 明和 政子(京都大学)『霊長類としてのヒトの子育てを考える 』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/62/62-9-12.pdf
○ 上原 泉(お茶の水女子大学)『記憶を追う――幼少期からの縦断研究』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/62/62-23-24.pdf
○ 為末 大(株式会社 侍)『スポーツにおける体罰の背景――根絶に向けて取り組めること』http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/77/77-17-20.pdf
○ 篠塚一貴(理化学研究所脳機能総合研究センター)、清水透(南フロリダ大学)『比較神経科学からみた進化にまつわる 誤解と解説』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/75/75-17-20.pdf
○ 村上宣寛『運動は心に効くか』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/53/53-25.pdf
○ 松本敏治(弘前大学教育学部)『発達障害児におけるSTRAW の読み成績、ディスレクシア特徴、音読速度、RAN、音韻分析および視覚処理についての研究』 http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/1822/1/BFEduHirosaki_101_121.pdf
○ 林 光緖(広島大学)『授業中の居眠り』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/53/53-27.pdf
○ 伊藤絵美 (慶應義塾大学大学院社会学研究科)『認知心理学と認知療法の相互交流についての一考察:“問題解決”という 主題を用いて』 http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN0006957X-00000040-0001.pdf?file_id=36775
○ 楠見 孝(京都大学)『良き市民のための批判的思考』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/61/61-5-8.pdf
○ 村上宣寛(富山大学)『運動は心に効くか』 http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/53/53-25.pdf
○ 大石 敬子(国際医療福祉大学言語聴覚障害学科), 斎藤 佐和子(国際医療福祉大学クリニック言語聴覚センター)『言語発達障害における音韻の問題 ―読み書き障害の場合―』
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/40/4/40_4_378/_pdf
○ 宮入 八重子(東京都広尾病院)、 大石 敬子( 東京都多摩療育園), 佐藤 美子(すみだ福祉保健センター)『言語発達遅滞児の構音と読み書きの発達について』https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/33/4/33_4_290/_pdf
○ 杉浦淳吉(愛知教育大学)『センター試験にみる心理学』http://www.psych.or.jp/publication/world_pdf/53/53-5.pdf
○ 熊本市立田原小学校『平成22年度 教育研究論文 「思考力」を高める読解指導の工夫 ~「話す・書く」を中心とした言語活動の充実を通して~』http://www.kumamoto-kmm.ed.jp/kyouikuronbun/pdf/22nen/tabaru.pdf
○ 平澤紀子(岐阜大学)『発達障害者の行動問題に対する支援方法における応用行動分析学の貢献 : エビデンスに基づく権利保障を目指して(<特集>エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端)』https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjba/23/1/23_KJ00005587364/_pdf
○ 山田裕子(東京学芸大学連合大学院教育学研科)、宮下一博(千葉大学・教育学部)『認知行動療法的アプローチによる 青年の心理社会的』 http://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900066959/13482084_57_25.pdf
○ 『『不適応な行動パターン』を効果的に変容させる解決志向アプローチのカウンセリング』  http://charm.at.webry.info/200708/article_11.html
○ 『学習障害スクーリングテスト』https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_f/F-107/f-107_06.pdf
○ 伊藤 素江(ベネッセ教育総合研究所)『批判的思考力とは何か』 http://berd.benesse.jp/assessment/topics/index2.php?id=2578
○ 須藤康介 (明星大学教育学部助教)『小学生の努力主義の形成要因と帰結 ―「頑張ればできる」勉強観の功罪― 』 http://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey_on_learning_report_3.pdf
○ 伊藤崇達 (京都教育大学准教授)『小・中学生の学習への動機づけは、保護者のどのようなかかわり方によって高まるか?ー保護者の学習観をふまえて』 http://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey_on_learning_report_1.pdf
○ 熊本大学『基盤的教育論』  http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/index.html
○ 岩手県立大学 鈴木克明 『教育・学習のモデルとICT利用の展望:教授設計理論の視座から』 http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/ksuzuki/resume/journals/2005a.html

文部科学省の指導要領
文部科学省 『学習指導要領「生きる力」』 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/

以上です。

読み込んだわけではないのですが、一通り読みました。

学習方法について
学習方法は以下の通りに行います。
主な3つの勉強法
1. 想起練習:(テスト効果):想起する、小テストを行う
2. 間隔練習:時間を開けて再び学ぶ、テストをする
3. 交互練習:同時に他の練習を行い、脳を慣れさせない

その他の学習方法
1. 多様練習:類似する複数の問題を同時に行う
2. 規則練習:物事の一般的な規則
3. 生成練習:答えや解き方を教わる前に自力で試してみる
4. 省察:学習を振り返り、良かった点や悪かった点、伸ばしたい点など発見する
5. 精緻化:自分の言葉に置き換えたり、次に試すことを具体化する 5. 精緻化:自分の言葉に置き換えたり、次に試すことを具体化する

すべてを行うわけではありませんが、これらのうち一つは利用するとお考えください。

学習中の注意
1. テキストの再読を控える
 読み慣れてしまい、分かった気になる。再読の必要があれば想起練習を行う。
2. 集中練習をしない(ブロック練習、一夜漬けのような詰め込み)
 満足度は高いが、長期的に身につかない。その日の学習満足を軸としない

しかし、息子がしたいときはすればいいというくらいのゆるさです。
個人的に満足したいときはやってもかまいません。

私の禁止事項
1. 体罰と暴言の禁止
2. 親という立場を教育に利用しない
3. やらせるのではなく、本人がやりたくなるように工夫をする。またその技術を息子が自分に使えるようにする
4. 学習方法を実践する
5. その日の学習度よりも、後日の学習度の維持・向上を目指す
6. できないことを一緒に悩む

学習中の注意としてあげている「テキストの再読」を意外だと感じたり、疑問に感じるかたが思います。書籍によれば「読み慣れてしまうと、人はわかった気になる」という認知が問題のようです(流暢性の処理)。また集中練習は本人の満足度も高く、成果も出やすい反面、認知や反応を思い出すのが簡単になり、学習の接続性がなくなるそうです。(『使える脳の鍛え方』より)
事例ではバッティングの練習が紹介されていました。球種ひとつひとつを段階的に集中練習した人と、複数の種類を混ぜて練習した人とで、バッティングの成果を比較します。六週間後には顕著な違いがあらわれ、後者のほうが成績が優れていたそうです。
そのため、私の禁止事項に『その日の学習度よりも、後日の学習度の維持・向上を目指す』を入れています。

発達障害の資料を多く読みましたが、とくに診断を受けているわけではありません(ほかにも数冊読みましたがタイトルを忘れてしまいました)。彼はストレスを感じると眠くなる、怒られるときに寝てしまう、などがあったため、可能性が0というわけではないと思います(息子にも説明済み)。機会があれば私も含めて一度診断を受けてみようという話はしています。
「発達障害に気づくことができればラッキー、発達障害でなくてもまあラッキー、なんにしても行ってよかった、と思うようにしよう」と話しています。
発達障害の書籍や資料は学びや認知についての多くの気付きが与えてくれたと同時に、発達障害の研究者、製品開発者の方々には頭が下がる思いでいっぱいでした。発達障害について学ぶことは非当事者にとって、すでに見慣れた情報や概念を細かく観察することができます。なぜそう認知するのか、できないのかを考えなければいけないようです。集中練習と同様、私の禁止事項に『できないことを一緒に悩む』を入れています。

問題解決も役に立ちました。
問題解決思考の本はすでに多く出版されています。ジャンルや方法も多いため、しばらくの間は視覚的に認識できるものに絞り、おもにデザイン方面から彼にアプローチをかけてみたいと思います。まずは問題を整理するという簡単なところからスタートとなります。

そして学びについて理解したことが3つあります。

ひとつめは『簡単な学習方法は存在しない』
ふたつめは『学習方法を間違えると時間だけを浪費する』 
みっつめは『教えるほうこそサボれない』

簡単な学習方法は存在しませんが、私たちはテレビや本などで「わかりやすい」と感じることが多くあります。入門書は、イラストや伝わりやすい言葉を駆使して書かれているため、とても理解しやすく、初心者や再学習をする人にとって有益です。
しかし、学問はあるレベルを超えると、専門性が高まり、言い換えは難しくなります。
その「わかりやすさ」にはもう一つ大きな問題がはらんでいます。それは先程も申し上げたとおり、「わかった気になる」という大きな錯覚を起こすことです(流暢性の処理)。
ある物事について知識がなければないほど、また自分の知識の確かさに批判的でなければないほど、視野の狭い判断をしてしまいます(ダニング=クルーガー効果)。プロの口が重く、初心者の口が軽いのはこのあたりでしょう。

『知識によって発生した無知とどう向き合うか』というのは長期的に付き合わなければいけない問題です。ここにも簡単な解決方法ありませんでした。テストや省察を行い、改善を繰り返し、他の知識や異なる見解に真摯でなければいけません。
また『学習方法について私が分かった気になっているのでは?』という根本的な問題が発生します。耳どころか心臓が痛いです。
「やるなんて言わなければよかった」「息子よ、塾で頑張ってくれよ」と思わないわけではないですが、その呪詛は私に向けるべきことです。とにかく、私もやるしかないので多読乱読、仮説、挑戦、検証、省察、再挑戦を繰り返すしかありません。

ある概念を理解しているかどうかの判断の困難さは、
• 熊谷恵子(筑波大学)『算数障害とはいったい?』
• 今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』『言葉と思考』
から学びました。
算数障害は先天的なものと後天的なものとに別れるようですが、ここでは概念を理解する、理解したと判断する困難さについ書きます。
数の概念(数概念)は一度に手に入れるわけではなく、段階的に手に入れるようですが、その理解度を把握するのは非常に困難です。小学校の算数は数の数えかたや繰り上がりなどを徐々に学びますが、正しい手続きさえ行えば、理解していなくとも結果が得られてしまいます。つまりテストをしても、点数の結果と数概念の理解度は一致していない可能性があるということです。

また、概念を理解するのに適した年齢があるようです。
子供が左右の概念を手に入れるのは5歳からと今井むつみさんの著作に書かれていました。左右は相対的であり、後ろを振り返れば左右は逆転しますが、子供にはできないそうです。

これは彼の幼児時代を振り返ってみても納得できます。

彼が4歳くらいのことでしょうか、散歩中のできごとです。
「ここを右に曲がるよ」と声をかけてから右に折れ、次の曲がり角でも「右に曲がるよ。どっちが右だったかな?」と質問をしました。彼に聞くと彼は困った表情を浮かべて、後ろを振り返ったあと、直進方向を指差しました。
「なるほど、さっき右に曲がったから、今進んでる方角を「右」だと判断したのか。つまり彼にとって右は東西南北の絶対軸なんだな。子供は面白いな」とのんきに考えていました。

つまり私は、相対的左右を理解できない年齢にも関わらず、彼を試したことになります。当時の彼は問題の意味すら理解できない年齢だったはずで、非常に混乱したと思います。大人が話すことの意味が理解できないとき、子供は怖がります。
今となっては彼がどういう気持だったか知ることはできませんが、実はとても怯えていた可能性はあります。子供を混乱させたり、怖がらせたりすることは容易ですし、それを利用して子供を虐待することもできます。概念理解に対する私の考えが甘ければ、彼を傷つけかねません。
考えすぎかもしれませんが、十分に注意したいと思います。

話を戻します。

概念を理解するには適した年齢があり、概念の理解度を把握することも困難であるということです。とりあえずの指針が必要になります。数概念の理解は熊谷恵子さんの『算数障害とはいったい?』にあった日本LD学会研究委員会の『計算や推論の困難に関する気付きの項目』を利用したいと思います。
また算数だけでなく、他の学習についても多角的にチェックする必要が出てきたので『学習障害スクーリングテスト』も利用します。このチェックを表を私なりに噛み砕き、アレンジを加え、彼も使いやすいチェック表に変えていく予定です。(大丈夫かな?)

彼は小学生なので、まず、わかりやすさが求められることは当然です。そして同時に、専門性へと進んでいくための基礎知識を身につける必要もあります。

個人の物覚えにはタイプがあるとよく耳にします。タイプに合わせると理解しやすいということでしょう。しかし、彼に学習障害がなければ、個性にあわせた教育ではなく、科目の性質に合わせることを優先します。指導法と科目が合致していれば関係なく好成績を上げた実験結果が出ているそうです。

『わかりやすさ』が求められる場合、初心者向けの本に加え、例えば話、イラスト、インフォグラフィックを利用することにします。『専門性への基礎知識』は教科書や辞書のような定義の説明と簡単な質疑応答を小テストとして繰り返す予定です。

また彼自身が生きやすくなるように認知行動療法も取り入れていきます。しかし、この話はまた今度で(疲れた)。

今後の私の課題です。
1. 現状の学力の把握
2. これからの学習スケジュールと学習教材を見つける
3. 学習に適した環境作り
4. 子供が使いやすいスケジュール・タスク管理
5. 子供自身の目標設定
6. さらに学習方法ついて学ぶ

私なりに真面目に文章を書いてきましたが、本当に面倒くさくて、心が折れそうです。誤字脱字ありましたら申し訳ございません。他にも本を読んでいるはずなので、抜けが見つかったらその都度、追加していきます

長文を読んで頂きありがとうございました。
次回から息子の文章も載せる予定です。

最後に一般財団法人日本行動分析学会、熊本大学大学院、国立支援特別総合研究所、国立情報学研究所、千葉大学、日本心理学会、発達障害教育推進センター、ベネッセ教育研究所、文部科学省、J-STAGE、KOARA、関係者のみなさまが多くの知識を公開してくださっていることに心から感謝の気持ちと御礼を申し上げます。

中学受験の参考書を買います(すぷっち)