現代モダンのジャンドについて(カード詳解2)

●はじめに

 今回はクリーチャー以外についていろいろ見ていきたいと思います。

 前回↓
・現代モダンのジャンドについて(カード詳解1)
https://note.com/sura_345/n/n9006c320fa24

●ソーサリー・インスタント

・《外科的摘出》

画像9

 主にコンボデッキ用にとるカードの一つです。インスタントでかつ、マナもいらないのはかなり奇襲性の高いカードです。モダンでは数枚のキーカードに依存しているデッキも少なくないので、そのようなデッキにハンデスからこのカードで勝負を決めることも可能です。苦手な土地コンボ系も土地破壊カードと組み合わせてキーパーツの土地をデッキから丸々引っこ抜くことも可能なので、かなり汎用性に満ちたカードの一つです。また、相手のドローステップにこのカードを撃つことで、もし引いたカードがこのカードで対象にとったカードなら手札から追放できるので、実質ハンデスとしても機能するといったテクニックは覚えておきましょう。
 ただし、墓地対策としては非常に弱く、アドバンテージは基本的に得られないのでその点は注意です。また、紙ではあまり起こり得ませんが、ライブラリーや手札・墓地からカードを追放するのは"任意の枚数"です。つまり、墓地のカードを対象にとるだけとって何もしないというのも適正なプレイです。主にMOで、対象に取ったはいいものの、クリックミスで何もしないで処理を終えてしまうということもあるので、これも注意しましょう。

・《血の長の渇き》

画像1

 1マナの除去で、マナコストが2以下のクリーチャーかPWを破壊できるほか、キッカーコストを追加で払えばクリーチャーかPWをコスト関係なく破壊できます。ソーサリーなのは引っかかりますが、《死の影》や《スカイクレイブの災い魔》や《損魂魔道士》など対象に取るクリーチャーには困らないうえに《レンと六番》を1マナで倒せるのは非常に大きいです。キッカーもそこまで重くはないので、近年の軽量除去ではなかなか使い出があるカードだと思います。

・《塵へのしがみつき》

画像20

 インスタントで墓地のカード1枚を追放できます。その追放したカードによってライフゲインかドローかが変わるカードになっています。以前は《ウーロ》対策に使用していましたが、それが禁止になって以来あまりこれの姿を見かけることはなくなったような気がします。しかし、脱出をもっているため、墓地のカードを使用するのはほかのカードと干渉してしまいますが、何度も使いまわせるのが魅力です。除去したクリーチャーを追放して3点ゲインも馬鹿にはできませんし、今は《夢の巣のルールス》を採用したアグロデッキも多いため、クリーチャーを墓地から追放するというのも相手の戦略をわずかですが阻害することにもつながります。

・《夏の帳》

画像2

 スタンダードやパイオニアではもう禁止されていますが、モダンではなぜかまだ使用できます。主にサイドボードに忍ばせておき、《致命的な一押し》や《思考囲い》、各種カウンターへの防御カードとして投入します。カードを引ける上にクリーチャーや手札を守れる1マナのカードはさすがに強力です。しかし、《血編み髪のエルフ》との相性は良くないためそこの兼ね合いが難しいカードでもあります。また、《ヴェールのリリアナ》の-2能力と-6能力は対象に取る必要があるため、このカードでも引っかかります。気をつけましょう。

・《無情な行動》、《喪心》など

画像7

 黒の各種優秀な除去カードたちです。基本的にはこれらで倒せないカードはモダン環境にほぼ存在しません。そのため追加の除去としてこれらが選択肢として挙げられます。似たカードとして、《終止》はクリーチャーの種類を問わず何でも破壊し、さらに再生を封じるためこちらを優先するリストも存在します。除去が足りないな、とか大型クリーチャーも見れるようにしたいといった方にはこれらも考えてみてはいかがでしょうか。

・《ウィザーブルームの命令》

画像3

 大好評発売中『ストリクスヘイヴン』のカードです。命令の名を冠するだけあって、4つのモードから2つを選択できます。主に使用するのは1番目と4番目のモードでしょうか。1番目は土地を探すのが基本ですが、《クロクサ》を探したり《タルモゴイフ》のサイズを上げたりと副次的な効果も期待できます。4番目のモードは2点ドレインとささやかですが、ジャンドに入るカードでは珍しくライフを回復できます。2番目のモードや3番目のモードも戦況によって使い分けられるので、見た目以上に器用なカードでした。特に2番目のモードで破壊できる主なカードは下記のように強力なカードが多いので、《突然の衰微》が無いならこれを使用してみるのも悪くはないと思われます。
・《レンと六番》
・《霊気の薬瓶》
・《安らかなる眠り》
・《探検の地図》
など

・《エムラクールの囁き》

画像10

 一時期《カラスの罪》と共に試していたカードの一つです。昂揚達成時にはあの《トーラックへの賛歌》に変貌するハンデスです。ただ、通常時は無作為に1枚だけハンデスとあまりにも効率が良くないです。《ミシュラのガラクタ》等と組み合わせれば2ターン目に撃つことも可能ですが、基本的にはおすすめできません。

・《リリアナの勝利》

画像11

 《悪魔の意図》をマナコストも効果もそのままにした上で対戦相手を対象に取らず、リリアナがいればボーナスで1枚ハンデスがついてきます。かなりお得ですが、モダンでクリーチャーが1体だけという状況は少ないため、なんだかんだ採用枚数は抑えられがちです。しかし、最近は《裂け目の突破》や《変身》デッキのように大型クリーチャーの踏み倒しコンボがちょくちょく結果を残している(2021/05~)ため、このカードを採用するデッキも少数ですが存在します。

・《戦慄掘り》

画像4

 ソーサリーですが、クリーチャーかPWのどちらかを2マナで屠れます。《血編み髪のエルフ》から捲れた場合は、ソーサリーである弱点はある程度補えるためソーサリーというのはあまり弱点とは感じません。環境に致命的な一押しや稲妻で倒せないクリーチャーやPWが多いなら、このカードも十分考慮に入ると思います。
 競合するのは、《終止》や《大渦の脈動》あたりでしょう。テンポがあまりよくないので、アグロにはこのカードでは間に合わない場合もあります。流行りである青赤果敢の《嵐翼の精体》などを倒すことができますが、それだけでは《終止》や《暗殺者の戦利品》で事足りてしまうので、そこは自分のデッキとメタゲームとの相談が不可欠です。

・《屍呆症》

画像8

 コンボデッキ用サイドカードその2です。《外科的摘出》の場合は事前準備(ハンデスなど)が必要な点と、相手の《外科的摘出》を重ねられたり、墓地が追放されている状態などでは無力になってしまいますが、このカードの場合はキャストして通ってしまえば、一番嫌なカードを根こそぎ追放できます。さらに、基本でない土地も指名できるので土地コンボ系も見られる非常に優秀なカードです。相手の手札からカードが追放された場合はその数ぶん2/2トークンをあげてしまいますが、こちらは除去が豊富なうえたかだか出てきても2体程度のこのトークンはどうでもいいことが多いと思うので、些細なデメリットといえるでしょう。
 欠点は、《神聖の力線》や《夏の帳》で防がれてしまうところです。対戦相手を対象に取る必要があるため、そのようなカードで阻止されてしまう可能性があります。そのため、奇襲性という点では《外科的摘出》のほうに軍配が上がります。

・《活性の力》

画像5

 モダンホライゾンで登場したピッチスペルサイクルの緑です。効果は2倍《帰化》で、ピッチで撃ってもアドバンテージ損がないのがかなり良い点です。《安らかなる眠り》や《虚空の杯》や《楽園の拡散》などを見れる上に、苦手な《神聖の力線》や《血染めの月》を破壊できたり、呪禁オーラに対しては無類の強さを発揮できたりします。環境にどれだけ破壊したいエンチャントやアーティファクトが存在するかが採用するかの分かれ目かと思います。
 ちなみに、アーティファクトだけを見るなら《古えの遺恨》や《溜め込み屋のアウフ》のほうが取り回しが効くのでおススメです。

・《選別の儀式》、《滅び》

画像6

 《神々の憤怒》という赤い全体除去もありますが、あえてこれらを紹介します。憤怒の場合はドレッジに対して有効ですが、《オーリオックのチャンピオン》を倒せなかったり、大型の生物を倒せないという弱点が存在します。
 一方、《滅び》の場合は《神の怒り》と同様に再生を封じつつ、すべてのクリーチャーを破壊できるのがやはり強みです。4マナと重いですが、リセット呪文は《ヴェールのリリアナ》や《レンと六番》あたりが残ってくれればほぼ勝ちなので、とても強力です。《選別の儀式》は対シャドウなど、マナコストが小さいパーマネントを一掃したうえにマナを出せるので、《タルモゴイフ》やリリアナを再展開しやすいというメリットがあります。
 どのデッキを重く見るかによって全体除去の採用カードの種類・枚数などは変わるので、一概にどれがいいとは言えないところが難しいです。4マナという重さを嫌うなら憤怒や《コジレックの帰還》も考える必要があります。

●プレインズウォーカー

・《最後の望み、リリアナ》

画像14

 +1でクリーチャー弱体化、-2は墓地肥やし&クリーチャー回収、-7はゾンビを毎ターン生成し続ける紋章を獲得します。《レンと六番》の登場前はしばしばメインやサイドで姿を見かけましたが、現在ではほとんど採用されなくなってしまいました。それというのも、彼女のプラス能力がレンのマイナス能力とほぼ同じであること、レンのほうが早期に着地できることが非常に大きな要因です。プラスでクリーチャーを除去できればいいのですが、できなかった場合はただ忠誠度を上げるだけの行動になりがちです。プラスで奥義には近づきはしますが、そうなると同じマナコストでもある《ヴェールのリリアナ》のほうが相手のリソースを明確に削れるという点において分があることになります。しかし、除去の撃ち合いによって盤面にクリーチャーが残りにくい試合では、このカードのほうが強いときもあります。

・《反逆の先導者、チャンドラ》

画像16

 カラデシュで登場した能力を4つ持つチャンドラです。どの能力も腐りにくいというのが魅力ですが、やはり勝てる奥義とアドバンテージを得られるプラス能力が素晴らしいです。この衝動的ドローは土地を置くことができませんが、追放したカードをターン中に使用しなかった場合は対戦相手に2点のダメージが飛ぶので、ライフを十分詰めていればこれだけで勝利できます。また赤赤を出す能力も、出てすぐのターンに《稲妻》で相手のクリーチャーを焼くことも可能です。次のターンからは土地の枚数+赤赤がある状態にもなり、取れるアクション数がとても多くなります。
 マイナス能力は消費が大きいですが、4点火力は稲妻圏外のクリーチャーも見れるので悪くはありません。
 奥義は呪文を唱えるたびに5点を好きな場所に飛ばせます。相手が20点でも4回キャストできれば勝利のため、神聖の力線でもない限りはほぼ勝ちの紋章です。
 欠点はやはり悠長な点が大きいです。能力はどれも強力ではありますが、押されている状況を返すほどの力はありません。マイナスでクリーチャーを倒せると言ってもタフネス5以上は倒せませんし、呪禁持ちは当然触れません。ヴェールのリリアナのマイナスとはここが非常に大きな差異と言えます。

・《生命の力、ニッサ》

画像13

 こちらも同じくカラデシュで登場したニッサです。5マナとかなり重いですが、そのぶん能力は強力です。プラス能力は土地をアンタップ&速攻付与、そして次のターンまで5/5に変化させます。次のターンまでというのがミソで、ほとんどの場合は殴りに行くことが多いですが、殴らないで壁としても立たせることも状況によってはできます。また、アンタップすることを生かしてインスタントを構えることなどもできます。カウンターの乗った《怒り狂う山峡》をクリーチャー化することで5/5以上にすることも可能なので採用する場合は覚えておきましょう。
 マイナス能力は墓地からパーマネントカードを回収できます。要はソーサリー、インスタント以外ならなんでも回収できます。たいていの場合はクリーチャーやPWを回収し、相手に圧をかけに行くために使用します。
 奥義は6なので、プラスした次のターンにはもう撃つことも可能です。土地が出るたび追加のドローは言わずもがなとても強力ですが、プラスでガンガン攻めたほうがいい場面もかなりの割合あるので、どちらがいいかは臨機応変に。

●エンチャント、アーティファクト

・《高山の月》

画像15

 トロンなど土地コンボ系によく採用されるサイドカードです。土地タイプと能力を失うため、トロンの複数マナを生み出す能力や、ヴァラクートのダメージを与える能力は機能しなくなります。1マナと非常に軽いため、1ターン目に置いたり、中盤あたりで展開を阻害しにくいのが良いカードです。しかし、爆発域などで対応されやすいので過信は禁物です。

・《血糊の雨》

画像12

 ジャンドは極端にライフゲインをされてしまうと、たいてい負けます。クリーチャーで対戦相手のライフを0にするのが大原則のデッキなため、時間を稼がれてもたもたするうちに相手の盤面が完成するなんていうことも珍しくはないです。
 そのため、そのライフゲインを根本から否定するこのカードを採用する場合もあります。《稲妻のらせん》で相手に3点ライフロス、《創造の座、オムナス》の1回目の上陸誘発で4点ライフロス、《機を見た援軍》に至っては6点のライフロスです。実際そこまで決まることは稀ですが、置いておくと相手の動きを抑制できるのでかなりピンポイントですがハマれば強力な一枚です。
 ただ一つ注意しなければならないのは、"絆魂を持つクリーチャーからの戦闘ダメージ"ではこの能力は誘発しないということです。《ワームとぐろエンジン》などには無力なので、その点は注意しましょう。

参考:MTG Wiki 血糊の雨/Rain of Gore 
http://mtgwiki.com/wiki/%E8%A1%80%E7%B3%8A%E3%81%AE%E9%9B%A8/Rain_of_Gore

・《影槍》

画像17

 設置1マナ、装備2マナの装備品です。性能としては、+1/+1とトランプル&絆魂を得るとかなりコストパフォーマンスに優れている装備品といえます。《タルモゴイフ》に装備すれば突破力とライフゲインの両方を一気に得ることができるので相性は良いと思います。また、起動型能力も《太陽冠のヘリオッド》などの破壊不能のパーマネントや呪禁オーラに対して非常に有効です。問題なのは、やはり装備品特有のマナ食い虫なところと、ドローソースに乏しいデッキなので都合よく引けるかどうかは分からないというところです。

・《真髄の針》

画像18

 1マナととても軽く、起動型能力を一つ封殺するカードです。対戦相手のPWやコンボのキーパーツ、はたまたフェッチランドを指定して探せなくさせたりと、用途は多岐にわたります。非常に便利なカードですが、ジャンドはもともとパーマネントに広く対処が可能な色のため、このカードが必要になる機会があまりないのが現状です。PWなどの置物は《暗殺者の戦利品》や《大渦の脈動》で対処できますし、起動型能力に頼るコンボデッキも数が多くありません。そのため、ジャンドでこのカードはそこまで強く採用したいカードではないと思っています。

・《倦怠の宝珠》

画像19

 クリーチャーのCIPを誘発させなくさせます。自分のクロクサのディスカードが誘発しなくなりますが、同時に生贄に捧げる誘発もしなくなるので、手札から2マナキャストで定着することになります。ほかにも、モダンは強力なCIP持ちのクリーチャーは多いです。
 《瞬唱の魔導士》、《難題の予見者》、《原始のタイタン》、《ニヴ=ミゼット再誕》、《創造の座、オムナス》、《石鍛冶の神秘家》などなど。
 基本的に、相手のデッキに強力なCIP持ちがいると分かった場合にサイドインすることが多いです。特に、《原始のタイタン》はCIPが誘発してしまったときにはもう手遅れな場合もあるため、それを阻止するためにも採用されるときがあります。

●結び

 今回はクリーチャー以外についてつらつらと書いてみました。こうしてみると、かなりの数を入れたり抜いたりして試してましたね……。ただこうやって試行錯誤の連続で正解を手繰り寄せるみたいなことは嫌いじゃないので、今後もカードを紹介できるようにいろいろ試したいですね。
 あと、定期的に記事を見直して「あれもあったな」とか思い出したら記事に付記する形で書いていこうかと思っています。

 最近はモダンホライゾン2のプレビューも始まって、ジャンドに新人が入ってくるのかとか、環境をまた壊さないかとか、怖さ半分期待半分といった感情で眺めています。前回が前回なだけに、残念ながらまた何かやらかしそうと思ってます。(もう既にやばい奴が見えてる気はしますが。)

それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?