音の楽しみ。遊びのグルーヴ。

先週水曜配信の自由大学メルマガに掲載してもらったコラムを、このnoteにも転載させていただきます。DIYミュージックのキュレーターとして最近考えていることを書きました。ご一読いただければ幸いです。

〜自由大学教授・キュレーターによる連載コラム〜


「音の楽しみ。遊びのグルーヴ。」


 「音楽」という言葉を使ったときに人が想像するものは千差万別。商業ベースの、盤に収められた「販売されている」音楽作品もあれば、何かをしている最中によく鼻歌してしまう歌や、いつも自分が聞いている(が、しかしほとんど意識はしていない)自分自身の足音ですら音楽としてとらえうるだろう。録音されて販売されるまでもない、日々の遊びのようなものとしての「音楽」。
 ここ100年ほどの間、私たちは録音し、盤に収められた音楽作品を堪能してきたけれど、最近では音楽作品もデータになってより手軽に“配布”されるようになった。こうして、デジタルであらゆる“録音された音楽作品”がこれまでよりも手軽に手に入るようになったことで、本来の音楽ってこういう、かなり民俗的、かつ誰もが手にしうるコミュニケーションツールだったのかも、と感じることも増えてきた。
 自分自身、これまで「音楽」は商業的なエンタテインメントとして楽しむことがほとんどだったが、もう少しきちんと振り返ってみると、たとえばここ10年ほどで自分が参加する音楽フェスティバルの種類が変化してきていることにも気づいた。有名なアクトを観るために人々が集まる、というようなものでなく、もう少し小さな、一夜か二夜限りの村祭りをみんながつくるかのような音楽フェスにばかり通うようになった。また、よくライブを観るバンドも、参加するメンバー次第でアメーバ的に形を変えることができるような「楽団」的なものにシフトしていっている気がする。
 音楽フェスティバルにしろ、録音物である音楽作品にしろ、音楽の演奏・披露形態にしろ、こうして自分たちの手で自由にとらえなおして遊んでみる精神の感じられるものが、最近またとても面白いな、と感じている。
 自分で作るという過程自体を遊びながら、アウトプットし、そのアウトプットに惹きつけられた人がまた少しずつ集まってきて、いつしか村の楽団になっている、というようなグルーヴのある現場。それって「音」の根源的な楽しみ方なんじゃないのかな、と。最近は思ったりしている。


(参考:DIYミュージックコンピレションブックレット内 「コミュニケーション再編時代。自分のためのワンダーランド」http://diy-music.com/DIYMUSIC_vol1_booklet.pdf


(担当講義:DIYミュージック)


++++ オススメの本 ++++
わたしの本棚
ピンヒールははかない(幻冬舎刊)
著:佐久間裕美子
http://amzn.asia/ivjhhIl
3年前に出た『ヒップな生活革命』で、自らの住むアメリカで起こりつつある、人々の暮らしへの新しい意識をとことんルポで追っていた佐久間さんが、身近な、アメリカで暮らす友人女性たちの生き方にまつわるエピソードをまとめた一冊。私自身ももともと“ピンヒールは(ほぼ)はかない”で、いつも走り出せるようなTシャツにGパンにスニーカーというような格好で過ごしているのですが「女性であること」のとらえ方にここまで共感を覚える本にやっと出会えた、と思えました。既存のフェミニズムにいまいちピンと来ない人にこそ読んでみてほしいです。

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