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【2022年もありがとうございました!】「オノマトペの魅力で食卓を変える」日めくりカレンダー制作記

こんにちは。Surface&ArchitectureのUXデザイナー、台湾出身の陳です。

今年最後のjournalは、2022年のSurface&Architectureの一大プロジェクトであった日めくりカレンダーの制作記をお届けしたいと思います。

今年の10月に、Makuakeにて弊社のオリジナルプロダクト「日めくりカレンダー2023『365食のオノマトペ』」の予約販売を実施。皆さまのおかげ様で、達成率400%を超えました。本当に心から感謝しています。

販売が終わりましたが、この場で日めくりカレンダーを作った背景などを少し話せればと思います。

なぜ日めくりカレンダーを作ったのか?

ここ数年、台湾で日めくりカレンダーが流行っています。普通のカレンダーではなく、「歴史、本、猫、漢方薬」など特定のテーマがあるカレンダーです。なぜ急に流行ってきたか、本当の理由は分かりませんが、テクノロジーの早い進化、過多の情報に追われている忙しい日々の中で、毎日一枚の紙をめくらないといけないアナログの日めくりカレンダーが、「ちゃんと日々を過ごしてね」とリマインドしてくれる存在になります。

さらに、近年はパンデミックにより、新しい世界に触れるチャンスが減っています。すぐそばに置ける日めくりカレンダーが、そのきっかけになるのが理由なんじゃないかと推測しています。

少なくとも、自分はこのような理由で、「日めくりカレンダー良いな、欲しいな。社内でオリジナルカレンダーを作ったらどうだろう?」と社内で思いを共有し、共感してくれるメンバーを募りました。

体験をデザインするS&Aが目指したカレンダー

オリジナルカレンダーを作ることを決めた後、「どんなカレンダーにするか」については、メンバーと話したり、既存のカレンダーをリサーチしました。豆知識を一日一個教えてくれる「知識系」、特定のテーマにした「偏愛系」、毎日一つのタスクを与えてくれる「アクション系」など、様々な面白いカレンダーがありましたが、体験をデザインするS&Aならではのカレンダーはどんなカレンダーなのか?を考えていました。

単純に一枚の紙をめくって、「ふん〜」と終わるカレンダーではなく、次のアクションに繋がったり、変わらない日々に刺激を与えたりする、自分の世界を少しずつ広げるきっかけになるような日めくりカレンダーを届けたいと思いました。

感覚を表現する言葉「オノマトペ」

出てきた多数のアイデアの中で、「オノマトペ」というキーワードに目を向けました。

日本語は他の言語よりオノマトペ(擬音語・擬態語)が3〜5倍あると言われています。日本人が普段当たり前のように使っているオノマトペは、外国人にとって手強い存在です。似ているのがいっぱいあって違いがよくわからないし、ほとんど漢字もないので、意味の推測ができません。

最初はオノマトペをひとつひとつ理解しようと苦戦していましたが、社内での「様々な材質の触感をオノマトペで表す」ワークショップを通して、「こんなに些細な違いで、言葉で表せるんだ!面白い!」と驚きながら、頭で考えるのではなく、感じたままに言葉にしていく感覚を覚えてから、オノマトペに惹かれていきました。

オノマトペは、たったひとつの単語から、どんなモノなのか、どんな感情なのか、どんな様子なのか、あらゆるイメージが浮かび、またそのイメージを誰かと共有できる奥深い日本語です。私はこの面白さ、奥深さをもっと伝えるためにオノマトペの魅力を「日めくりカレンダー」を通して伝えたいと思いました。

オノマトペの魅力で「食卓を変える」日めくりカレンダー

オノマトペという軸が決まりましたが、何千個のオノマトペから、どう選べば良いかという問題が出てきました。結果、「食」にしました。

それは私が、食べることが大好きなこともありますが、何気ない料理中や食事中にオノマトペを意識していると見え方、感じ方に変化が生まれたからです。

お湯の沸騰は、最初は「ふつふつ」、次に「ぽこぽこ」、最後は「ぐらぐら」に変化している!

ジュージューと餃子を焼き、パリっと羽根を割り、アツアツのまま口に運び、ハフハフと食べる。そしてビールをごくごく、ぷは〜〜っと飲むとなんだか美味しい!

生きるために欠かせない「食」は、日々心身をつくる大切な営みでありながら、忙しさから画一的、また受動的になってしまいがち…。オノマトペがもたらす小さな発見やワクワク感、ちょっとした感動という感情は、自分だけの感性を思い出させてくれる「感度のリマインダー」となり、心身をより豊かにつくる食へと変えていきます。

またオノマトペには、季節に寄り添った情景を感じさせる表現も多いです。例えば「すくすく」は成長している様子を表す言葉ですが、雪解けを迎えいっせいに芽吹く山菜など、春の健やかで力強い風景も脳裏に思い浮かべることができます。

季節ごとの「食」にまつわるオノマトペを365日分を用意し、春夏秋冬4冊のセットとして収めました。オノマトペという言葉によって日常への感度が高まり、何気ない食生活を豊かな「食体験」に変える、そんな願いを込めた日めくりカレンダーをデザインしました。

制作クレジットとしてプロジェクトメンバーそれぞれの想いも紹介します。

プロジェクトメンバーからのコメント

◆ ディレクション|岡村祐介
感じたことを言葉で表現する。そのつながりに意識を向けることは、感じる力を研ぎ澄ますことに他なりません。365のオノマトペの一つ一つが「食べる」ということをより豊かに感じ、暮らしを丁寧に味わうガイドです。そんな1日の始まりを作るカレンダーをお届けします。

◆ ディレクション|陳佳宜
食と日本が好きな台湾人。日本語は話せますが、オノマトペだけは苦手でした。今回のプロジェクトを通して、オノマトペに対する理解が深まり、日常への感度も高まりました。私みたいな外国の方だけではなく、日本の方にも「普段当たり前のように使っているオノマトペの魅力」を伝えられたら幸いです。

◆ アートディレクション・デザイン|永山希美
ひとつひとつのオノマトペの意味を分解していくと、驚くほど感覚的な言語なんだということ、そしてその懐深さに改めて気づかされました。オノマトペの意味は、ある程度指針はあるものの、本人の感覚や経験によりその解釈はさまざまです。みなさんにもその懐深いオノマトペを、愛らしいイラストや文字といっしょに楽しんでいただけたら嬉しいです。

◆ 編集・ライティング|大橋真紀
オノマトペは、日本語の「言葉あそび」のひとつ。言葉は「或ることを言うと或ることが言えない」という有限性をはらむ不自由な媒体です。しかし「言葉あそび」はその有限性から少しだけ解放してくれる「希望」だと思います。オノマトペから、感じ方の自由さと、日本語の自由さを教わりました。日々、自由な感性を発見できる365食のオノマトペを召し上がれ!

パートナーさま

◆ イラスト|こいずみめい
フリーのイラストレーターとして、書籍の装画や挿絵等、雑誌、広告のお仕事を中心に活動。4コマ漫画、絵本、雑貨、テキスタイルデザイン等も手がける。
web:www.meikoizumi.com
instagram:https://www.instagram.com/mei_koizumi/
instagram 4コマ漫画:https://www.instagram.com/mei_hyohyohyo/
twitter:https://twitter.com/mei_koizm

◆ 印刷|有限会社篠原紙工
1974年創業。製造部分だけではなく、デザインの段階からクライアントと一緒に本やプロダクトを作り上げていく製本会社。本質をさぐり、チーム力とチャレンジ精神で、話題となる本やプロダクトを日々世の中に送り出している。
HP:https://www.s-shiko.co.jp/

オマケ:みんなで大梱包大会!

最後に、実は一番大変だった⁉︎梱包大会の様子です。

S&Aのメンバー総出で、ひとつひとつ心を込めて日めくりカレンダーの梱包をしました。また、今年もまだまだ続くコロナ禍で、メンバー全員で集まり何か作業をするということもとても久しぶりで良い時間となりました。


以上が日めくりカレンダー制作記でした!

年明けには「クラファン体験記」を配信予定です!
2023年もjournalをよろしくお願いします。


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