「怒る」と「主張する」の違い

幼少期から、私の周りには怒っている人が多かった。

小学校の担任は、よくブチ切れて教室のドアを外れるまでバンバン叩いたり、冗談抜きで毎日怒鳴っていたし、
中学校の担任は、これまたブチ切れて教室の前に置かれている事務机(相当重い)をちゃぶ台返ししていた。(この時、教育実習に来ていた可愛い先生が泣いていたのを覚えている。気持ち、わかる。)

怒っていた理由は忘れたが、多分いつまでたっても静かにならないだとか、課題を忘れただとか、そんな理由だった気がする。小中学生のすることなんてたかが知れている。

今になって考えると相当ヤバい教師たちだったのだが、当時は常識などわからなかったのでこれが日常だった。

私が以前付き合っていた人も、気に入らないことがあると店でもどこでも構わずキレる人だった。マジでなんで付き合ってたんだろう。

母も当時は色々あり、酷い時は毎日小さなことでブチ切れていた。

そんなこんなで、私はそれらを反面教師にして「怒る」ということが大嫌いになった。

純粋に怒っている人というのは傍から見ると滑稽だし、ストレスを与える存在だったから。

そこから芋づる式に、クレームを言うこと、対立した意見を言うことなども全て「怒る」というカテゴリーに入れて、今まで封印してきた。

しかし、最近になって「怒る」ことと、「主張する」ことは別々に分けられることなのだと思わされる出来事があった。

先日、小さな酒屋さんでリキュールを買った時のこと。
ローズのリキュールで、オシャレさに一目惚れして買ったのだけど
その日の夜にそれを飲もうと栓を開けて、コップに注ごうとしたら……出てこない。
逆さまにしても出てこない。
なんと、中で全て固まっていた!

これには驚いて、その時一緒にいた彼氏に
「出てこないよ〜笑」
なんて笑い話にしたら、
「明日、お店に相談しに行ってみれば」
と返された。
私は面白い事故にでも遭ったと思って普段なら諦めて捨ててしまうのだけど
この時は確かにそれもそうだな、と妙に納得して、素直に翌日酒屋さんにリキュールを持って行ってみた。

中で固まっていたことを伝えると、レシートもないのにすぐに
「これは返金だ!笑」
と言って返金してくれた。
違う店で買ったものなんじゃないか、レシートがないと、とか、揉めるのかなあと思っていたのでこれには拍子抜け。
お酒って固まることもあるんですね〜なんて雑談しながら、お金を受け取る。
すみませんと謝られてしまったので、また来ますと言って店を出た。

店を出て、気が付いた。
クレーマーは嫌い。怒ることも嫌い。
だけど今回は、ただありのままの事実を伝えて、和やかな雰囲気のまま返金という対応を受けられた。

そっか、怒ることと、正しいことを主張することって、全くの別物なんだ。

そう思うと、ふっと肩の力が抜けた気がした。

当たり前のようなことで、今までずっと気が付けなかったこと。

これからは、優しく丁寧に「主張して」いこうと思う。

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