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漠然と世界に憧れていた

田舎生まれの僕は広い世界を夢見ていた。

高校生の頃、窓の外に見える満天の夜空を見上げながら、遠くへ行きたい、もっと遠くへ、と夢見ていたことを時々思い出す。

何がしたいという夢は無かったかも知れない。遠くへ行きたい、広い世界を見たい、それが当時の漠然とした願い。

その第一歩、島根から静岡の大学へ入学した。世界地図を広げたら小さな一歩だったが、生まれ故郷を離れることが出来た。
その卒業後、静岡から東京へ。その頃には遠くへ行きたいという思いは少なくなっていた。今を生きることで精一杯だった。
東京は狭い場所だが、その中に入ると縦の階層というか、自分のポジション取りというか、土地そのものに住むというより、どの階層に生きるかみたいなことに捉われる。マーケットの世界に飛び込んで、半ば溺れていた。

今、四十半ばになり思う。フラットに行きたいところに行けば良かった。世界はフラットにつながっている。目の前の道をまっすぐ歩けばよかった。上とか下とか考えずに。行ってみたいところに、気の向くまま行ってみれば良かった。

勝手に作りあげた、ヒエラルキーみたいなものに捉われ、じたばたした若い頃。行きたいところに行けば良かった。シンプルに真っ直ぐに。

これからでも、遅くはない。憧れを抱いたのなら、飛び込めばいい。目的も無く、理由もなく惹かれることは、やってみてその意味が分かる。

漠然とした憧れの先にあるもの、今からでも遅くは無い。確かめに行こう。