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正月早々「Room No.9」の感想 - 2024/01/02 日記#222

・ヘッダー cr. Steam

・良いゲームだった。本当に。

・念のため書いておきますが、成人指定のBLゲームです。

・旅行先でホテルに向かうはずが、何者かによって「〇〇しないと出られない部屋」に閉じ込められてしまった親友2人のお話。

・「(施験者は)お前のことどうしたいんだよ……」という台詞で、このゲームをプレイする我々に対して問われているんだな、とメタ目線で苦しくなる作品だった。

・普段からね、我々は色々してるでしょう。友達同士、ライバル同士、先輩後輩、上司部下、同級生、時には兄弟。ありとあらゆる関係性に性的接触を持ち込み、キャラクターに性愛や恋愛感情を付与する。その行為に対して、親友という関係性をブチ壊すような試練を与えられている2人からの警告というか。

・彼らを苦しめているのは他でもないプレイヤーである我々であり、普段から創作しているBLも、見方を変えれば大地と誠二のようにもう二度と引き返せない道を、自分の快楽のために意図も簡単に歩ませているのではないかと。

・そうは言いつつ、面白いものは面白いわけで、その関係性の破綻すらもエンタメ、萌えとして楽しんでしまう側面もこのゲームのプレイ体験として正解だろうが、決して後味がいい作品ではなかった。

・その後味の悪さこそ私が求めているものでもある。本当に申し訳ないことに。

・大多数の人はそう簡単に同性の友達には恋愛感情も性的欲求も抱かないし、そういう気持ちがない状態で触れ合うのは相当なストレスであること、もし感情があったとしてもたくさんの葛藤があって行動には移せないこと、我慢して我慢してはち切れてしまうこと、離別を選ぶこと。普段のBLではすごく簡単にその境界線を越えさせているけど、本当は2人のように紆余曲折様々な考えや感情があった上で色んな結末にたどり着くし、そういうのをしっかり描いてくれる作品に出会いたいなと思った。今のところそれらを書くのが上手いのはやはり木原音瀬さん。

・以下ネタバレ

・腕一本くらいなくなっても生きていける、って台詞にちょっと戦々恐々とした思いを抱いていたけど、まあ手のひら釘刺しくらいで(くらいで?)終わったので思ったよりグロ要素はなかったな、というのが印象に残っている。

・次の指切断はまあ、確かに誠二のキャラ設定だとそこまで出来ないだろうな。もう少しグロ側に振り切ったルートがあると思っていた。いや、なくて良いんですけど。

・すべてのエンディングを回収するとスタッフからのコメントが開放されて、声優さんのコメントで「どっちのエンディングが幸せなんでしょうね」と話しているところがあった。

・私も完全に同意で、もちろんゲームとしては親友エンドがトゥルーエンドなんだろうけど、例えどれだけ仲が良かったとしても、いや仲が良かったからこそ、こんな経験をしながらも本当に親友として隣に居続けることは2人にとって幸せなんだろうか、と思う。色んな苦行を乗り越えて絆が深まるというのは創作でも現実でもよくあることだけど、これは乗り越えていい試練じゃない。最悪の思い出には蓋をして生きていって欲しいと思ってしまう。でも、2人にとっては隣にいないことの方がそのきっかけを思い出して辛いんだろうか。

・そもそも、あの部屋に閉じ込められてしまった時点で、この2人にトゥルーエンドは存在しないが正解なんだと思う。絶対にもう二度と取り返しがつかない。それなら、いっそのこと狂い切ってしまった方が楽なのではないかと思う。凌辱エンドは怒涛のエロスチルに疲れ果ててしまったけど、正直に言えば私は滞在エンドが一番好きだったかも。

・このゲームのクライマックスがエロでもグロでもなくスカトロなことにびっくりした。あのシーンは全ルート共通でどうあがいても避けられないし、一番多くのスチル差分が用意されているので、間違いなくメインのシーンはあそこなのだと思う。

・人間の尊厳を破壊する最終手段って、快感や痛覚という肉体的な苦痛ではなく、それらを行う精神的苦痛でもなく、日常的に誰もが100%しなければならない排泄行為というのは、確かにその通りだなという視点だった。

・本当に大変なことに、私はスカトロは地雷とは言わないまでも興奮もまったく覚えないが、この作品をプレイしてからというもの、以前よりも抵抗感は薄くなってしまっている。いや、俄然まったく積極的に見たくはないけど。もちろん、スチルの描写はオンで見ましたよ。

・この作品、出会う時期を間違えたら性癖に多大な被害を受けるだろうな。発売時から知っていて、かなり時間が経ってからプレイするに至った今回の経緯も、意味があったんじゃないかと思うくらいに。私は多分軽症で済んだ方だと思う。大地と誠二が私達の快楽のために背負わされた大きな大きな枷を、プレイヤー側も業として抱えていかないとね。

・ところで、ボブゲってどうしてこうも変態作品ばかりなんだろう。


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