身元保証書がかわりました


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2020年4月の民法改正により、身元保証書の取り扱いが変更になりました。
これまで、賠償額は記載せず、署名をもらう形となっていましたが、改正により、賠償額の上限を記載することになりました。

2020年4月以降に締結した身元保証人書に、賠償額の上限額の記載がない場合は、無効となります。
※それ以前の身元保証書は、賠償額の上限の記載がなくても有効です。


●賠償額を記載することは不利?

賠償額の上限を記載すると、リアルな金額が記載されるため、身元保証人に署名してもらえないのでは?と人事の方からご相談頂きましたが・・

実際は、これまでは記載がない=つまり、青天井だったということなので、上限が設定されることは、従業員にとっても不利益ではありません。


●いくらと設定したらいい?

いくらでも、会社が自由に設定できます。

ただし、金額が高すぎると、身元保証人になってもらえない可能性もあります。
また、従業員にも、不信感を抱かせてしまうかもしれません。

では、いくらか・・??

正解はありませんが、
① 現実的に払える額か?
② 本人の業務内容から、発生するであろう損害額はいくらか?

これらを加味して決められるといいかと思います。

個人的には、一般の職員であれば、
年収1年分程度が限度かなと考えています。


年収の1年分といっても、
手当はどうするのか?
賞与は入れるのか? 
など、あやふやなままでは、実際に起きてしまった際に困ります。

・基本給の〇ヶ月分
・月額給与〇ヶ月分(○○手当も含む)
・○○円(年収相当額)

など、具体的に計算できる金額を記載しておくようにしましょう。


●実際の賠償額は、裁判で決まる

賠償額の上限を設定したので、いざ損害が起った場合に、上限額まで本人負担してもらえるのか?

それは、ノーです。

実際は、裁判所が
使用者の過失の有無や労働者の任務など
一切の事情を考慮して、合理的な額を決定する、とされています。


また、会社は、従業員の仕事内容や勤務地が変わる場合や、従業員の過失で身元保証人に責任が生じる恐れがある場合は、身元保証人に通知しなければならないとされています。

通知を怠った場合は、裁判所の決定する賠償額で斟酌される事情となりますので、ご注意ください。

●身元保証の期限

原則3年です。
期間を定める場合は、最長5年です。

自動更新は無効となります。

入社時に書いてもらって、とりあえず署名もらって終わり、というように、形骸化している会社様も多いかと思います。

これを機会に、今一度、見直ししてみてはいかがでしょうか?


ぬまた


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