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~あなたが通る道は何点?歩行者にとっての快適度を評価してみよう~


<3行まとめ>

1.人が快適に通行できる道とはどういうものかを、6つの指標で評価するスマホアプリ。
2.自分が評価した道の改善後の風景を作って見せてくれたりもする。
3.そうした改善後の画像をつなぎ合わせて三次元のデータにできれば、アップグレードされた自分たちの街全体をシミュレートできる。

(この記事はSustaina Amalgasと5人の仲間たちによる会話録として記述しています。)

1.Redの提案

◆Red:今回はRedからの提案です。今、日本の街なかでも、無電柱化を少しずつ進めたり、歩道を拡張したりしてますが、これをもっと大々的に広げたいと思ってます。そもそも道は子供からお年寄りまでみんなのものだし、何も通行するためだけにあるものでもない。なのに、車が主役であることを前提とした「道」の考え方を変えたい!と思ってます。
☆Hiyori:具体的にはどういうことをしたいの?
◆Red:冷静なツッコミありがとう。具体的には…、やっぱり歩道を拡張して、無電柱化して街路樹を植えて、みんなが安心して歩けて気持ちよく過ごせる空間を増やしたい
〇Sansan:Redの考えには賛成できるけど、それって公共セクターの仕事じゃないの?このSustaina研究所での研究テーマになるかしら?
◎Sustaina:民間セクターによる #ビジネス になるように考えてくれたらいいんだけど、とりあえず自由に話し合ってくれたらいいわよ。糸口は見つかるだろうから。
▲SA-661:そうですね、まず、世界的にも人間たちの多くは都市に住むようになっていて、今世紀の半ばにはおよそ3分の2が都市に住むようになると言われています。そうすると、その都市の中で電車やトラム、バスなどの公共交通機関がしっかり機能していれば、多くの人が車を保有する必要性は減ると思いますし、日本の場合、そもそも人口が減っていますから、車の通行量が減っていくと考えると、Redさんの言っていることがやりやすくなる環境にはあるといえます。
■Hakatoko:道を歩行者向けにリフォームして行うビジネスの例として、以前に「こもれびプロジェクト」を検討しましたよね。#SDGs の目標11(住み続けられるまちづくりを)や目標13(気候変動に具体的な対策を)を意識して、街の通りに木を植えたくなる仕掛けを考えましたが、もっとその前提となるところをRedさんは考えているのですか?
◆Red:さすがHakatoko王子よ、そのとおりだ。街の中の道といってもいろいろあるし、全部を一気に無電柱化したり植樹するのは難しい。それに歩行者にとって快適な道にするといっても、一つのパターンだけがあるわけじゃなくて、工夫の仕方はそれぞれの道に応じていろいろだと思ってます。だから例えば、自分の家の前の道が歩行者にとってどれぐらい快適といえるかを評価して、どういう点に着目すればより快適になるかを教えてくれるスマホアプリってのはどうかなと思ってます。
〇Sansan:そのアプリを使って街じゅうの道を評価しまくって、データを蓄積したら、都市計画や街づくりにいかせそうだし、不動産屋さんにも有益そうね。
◆Red:Sansanさん、そのとおりっす。みんながそのアプリを使ってくれるようにする必要があります。
◎Sustaina:ありがとう。じゃあ、今のRedの提案を踏まえて、いつものとおり、持続的に収益性のあるビジネスを考えてみましょう。

2.歩行者に快適な道~6つの指標

〇Sansan:まず、評価をするにはいくつかの指標というか評価項目を立てないといけないけど、歩行者に快適な道ってどんな道なのかな?
■Hakatoko:まずは安全第一ですね。歩行者にとって、自動車や自転車の往来が多いと前後左右をずっと気にしながら歩かないといけません。歩道と車道がはっきり分離されていればまだいいですが。
◆Red:特に駅とか観光名所の周りとか、人や自転車が多いところを車が通れるようにするのはやめるべきだと思う。
▲SA-661:人が車に乗ったり下りたり、あるいは荷物を載せたり下ろしたりする場所、言ってみれば人と車のアクセスポイントを、人が集まるエリアの出入口から例えば50mとか100mとか離して設置するという考えは、今後普通になってくると思います。少し不便になるかもしれませんが、安全第一で考えて、そういうふうにすべきですよとアプリが教えるような感じにしないといけないですね。
☆Hiyori:それから、清潔な道であってほしい。落ち葉はいいんだけど、ごみが散らかっていたり、あちこち落書きがされてたりすると嫌だな。
◆Red:安全と清潔は基本だな。不快なにおいがしないことも必要だろうな。
〇Sansan:それから、道幅も重要よね。人がすれ違うときに体をよじる必要がなくて、電柱とかをよけて歩く必要もなくて、歩いているときに自分の視野に電線がわさわさ見えないって、やっぱりすっきりしていて気持ちいいじゃない?
■Hakatoko:そうですね。日本の道はまだまだ電柱・電線だらけですし、昨年、台風が来て尼崎もあちこち長いこと停電しましたけど、レジリエントな都市になるためにも、電線の埋設は必要と思いましたね。その点も評価項目に入れましょう。
☆Hiyori:それから、Redが言ったように、道はみんなのものなんだから、みんなが利用しやすいものじゃないといけないよね。例えば、高低差があるところは、段差をなくしてスロープにしたり、手すりを付けたりとか。
〇Sansan:それに、道の標識の多言語化も進めるべきじゃないかな。日本語以外を母国語とする人も増えているわけだし。
▲SA-661:バリアフリーにとどまらず、ユニバーサル・デザイン志向ですね。
◆Red:低反発性の舗装にするのもいいかも。脚への負担が減るし気持ちいい。それに都市熱対策としては、黒い普通のアスファルトじゃなくて、保水性のあるものとか、表面に赤外線を反射する塗料を混ぜた樹脂を散布した舗装とかもあるようだよ。
☆Hiyori:環境への配慮でいうと、「こもれびプロジェクト」でやったような、街路樹によって連続した日陰があるかどうかとか、グリーンがどれだけあるかよね。
〇Sansan:あとは、やっぱり、歩いていて楽しいかじゃない?単調でまっすぐな道って疲れるよね。きれいな花壇があったり、ちょっとおもしろい形をした建物があったり、広場があったり、そういった要素も大事だと思う。それに、Sustainaが好きなスマホを使って拡張現実(AR)で楽しめるっていうのもいいんじゃない。
■Hakatoko:そのためには、Free-WiFiが使えることも評価項目に入れたいですね。
▲SA-661:皆さんのこれまでの意見をまとめると、この評価アプリで設定する指標は、①安全度、②清潔度、③ゆったりすっきり度、④ユニバーサルデザイン度、⑤環境への配慮度、⑥楽しさ度、の6つでしょうか。
◆Red:さすがAIくん。さっとまとめるねぇ。

3.どれぐらいの区切りで評価する?

☆Hiyori:でも、道ってつながってるから、どこからどこまでで区切って評価するの?
◆Red:いい質問だね、Hiyoriちゃん。海外とちがって日本の場合、それぞれの道に必ずしも名前がないし、逆に例えば「御堂筋」とか名前がついている通りがあるけど、1km以上ある道を一つとして評価するのは難しいし粗くなると思う。
■Hakatoko:ざっくり、人が大よそ1分間に歩く距離、だいたい50~80mを一区切りとして評価してはどうですか。1分間その道を歩いてみてアプリで評価するって感じでしょうか。もちろんそれ以上の距離でもいいですけど、日本の街のように建物が密集してたくさんの道が張りめぐらされているところでは、細かく評価できるほうが良いと思います。
〇Sansan:距離としてはそんなものかもね。ただ、あくまで1本の道として評価すべきだから、できるだけまっすぐというか、道なりに歩いて、T字路とかにぶつかって曲がらざるを得ない場合は、そこまでで区切るべきだと思う。それから、大きな車道とかに出て信号を渡るようなときは、まっすぐ歩くといってもそこまでで区切るべきでしょうね。そういう道を渡ると、街の雰囲気が変わったりすることもあるからね。
▲SA-661:Hakatokoさんのいう1分間という時間で区切るか、あるいは100mといった距離で区切るかどちらでもいいと思います。いずれにしろ、Sansanさんの言った条件で歩くとして、どこから1分間もしくは100m歩くかは、ユーザが任意に選べるってことでいいですよね。
◆Red:そう。それにそもそも、どこの道を評価するかもユーザが自由に選べる前提だ。

4.評価のレイティング

▲SA-661:今までの話を下記のとおり、「Sampo-michi Assessment」としてまとめてみました。

 さっき挙げた6指標を、それぞれさらに5つの評価項目に分けて、それぞれに点数付けをしてみました。


◆Red:仕事が早いねぇ。ふむふむ、なるほど、加点形式なんだな。1点だけ加算するものや4点加算するものとか、多少、配分を変えているんだな。

■Hakatoko:例えば、「A.安全度」の「①1分間あたり自動車の往来は1台未満である」は4点配分されているけど、歩行者にとっての快適性を向上させるにあたって、自動車の往来を減らすことは、効果の大きい要素と考えているんだね。ただ、ここまで減らすのは難しい道も多いかもね。

〇Sansan:「C.ゆったりすっきり度」の「③電柱が除去されている」も4点だけど、これも効果が大きいってことね。お金がかかるけど、景観はずいぶん改善されるはずだから、その周辺の不動産の価値も上がることが期待できるわね。

☆Hiyori:「E.環境への配慮度」の「③樹木や建物、ひさしなどによって、昼間の大半、連続した日陰の中を歩ける」も3点で高めだけど、暑い日だけじゃなく、雨の日もほんとに助かるよね。

5.改善後の姿が見える

◎Sustaina:メインの機能はそれぐらいにして、このアプリを使いたくなる仕掛けもほしいよね。
◆Red:はい、例えば、そのスマホアプリを立ち上げて、スマホを通してそこの通りを見ると、改善された姿が見えるっていうのはどうかと思います。
〇Sansan:つまり例えば、「電柱が除去されてい」ない道にいたとして、アプリで評価しながら「改善」のボタンを押すかなんかしたら、スマホの画面では電柱が除去された状態の道が見えるって感じ?
◆Red:そうっす。ARの技術を使います。
■Hakatoko:おもしろいけど、ソフトとしては一気に重たくなりそうですね。
▲SA-661:スマホをかざして風景がゆらゆら動いているままで、例えば電柱を消しこむ加工をするのはたいへんかもしれませんが、一旦静止画にした上で加工するのであればやれなくはないと思います。
☆Hiyori:街路樹を植えて日陰を作ったときに、何度ぐらい道の表面温度を下げれそうかまで測ってくれたらもっといいけど、ちょっと複雑かも…。

6.アプリ開発者の収益性

■Hakatoko:あと、このアプリを作った人はどうやって儲けますか?お金を払ってこのアプリを使おうと思う人がどれぐらいいるかですけど。
◆Red:ユーザは無料で使えるようにして、広告収入で儲けるってのが一般的だろうけど、それだけだとおもしろくないっすよね。
〇Sansan:改良された後の道って、スマートさが強化されることもあるわけだよね。WiFiがつながって、みんなの注意を引く何かがその道やその道沿いにあることを利用してARで楽しめる道になったときに、評価アプリの開発に投資してくれた人や有料サービスに加入した人には、何か特別な権利、例えば、自分の好きな道に名前を付ける権利を与えて、スマホを通して見ると自分が付けたstreet nameが道の上に出てきたり、あるいは企業に対しては広告を出せる権利を与えたり、自社のキャラクターが道の上に出てくるようにできる権利を与えたらどうかな。そういうのSustainaも好きでしょ。
◎Sustaina:いいアイデアだと思うけど、私=スマホみたいな捉え方はやめて。でも、通りに緑を増やしただけだったら、そういうサービスもないんじゃない?
☆Hiyori:さっきSansanが言ってた電柱を除去した画像とか、そういうのって大量にそろっていると価値のあるデータにならない?ユーザの皆さんが加工したそうした画像をアプリ開発者自身も使えるということなら、それを使って商売することもできるよね。
▲SA-661:いいですね。加工した個別の画像をつなぎ合わせて、三次元のデータにできればもっといいと思います。「理想的なわが街の風景」に自分を溶け込ませて、いろんなシミュレートができて都市計画にも役立つんじゃないかと思います。

7.最後に

◎Sustaina:みんな、いろいろ話し合ってくれてありがとう。この評価アプリのプロジェクトをやってみたいと思ってくれた人にとって、気づきやヒントを与えるきっかけになったらいいなと思います。
 このプロジェクトは、#SDGs の目標11(住み続けられるまちづくりを)や目標13(気候変動に具体的な対策を)にも関係してきますので、そうしたことの意識の向上につながればうれしいです。
 みんなが議論してくれている間にリーン・キャンバスも作ったから、参考までにそれも載せておきますね。

散歩道評価アプリ・プロジェクトのリーン・キャンバス

2019年7月15日初稿

★Sustaina Amalgasと仲間たち・・・会話に出てくるキャラクターの紹介★

◎Sustaina:仲間とともにSDGsで世界を変えたいと願い、尼崎の片隅で謎めいた研究をしている。
◆Red:元ヒーロー戦隊の隊員。正義のためとはいえ過労に堪えられず戦隊を逃げ出したところ、Sustainaと出会い、彼女の仲間になった。
〇Sansan:雷神。尼崎上空で雷を落とした時に自分も地上に堕ち、Sustainaに出会った。 最近の地球はおかしいと感じ、そのまま地上に滞在することとなった。
☆Hiyori:カッパなのか幽霊なのかよく分からない尼崎の川に住む生き物。異形であるため人間社会には受け入れられないと思っていたが、Sustainaが受け入れ仲間になった。
■Hakatoko:某王国の王子。貧困の改善や教育に力を入れようとしていたが、祖国の政変で国に帰れず悶々としていたところ、Sustainaから誘いを受けて仲間になった。
▲SA-661:Sustainaが作ったAI。人間以上に人間味があると思っている。

※注意事項
この記事に書かれている内容は、非営利目的で集まった数人の個人的見解に基づき作成されたものですので、その内容の正確性、商業適合性、実現可能性を保証するものではありません。また、ここに書かれた内容に基づき皆様が何らかの行為を行ったまたは行わなかったことにより何らかの問題や損失が生じたとしましても、当方としましては一切責任を負うことはできませんので、あらかじめご了承ください。

Sustaina Amalgas on Twitter
https://twitter.com/SustainaAmalgas

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