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【SDGs NY①】*SDGs とは* サステナブルな世界に向けて今、考えること

(2020/6/15) 

(1)SDGsとは (サステナブル・デベロップメント・ゴールズ):

SDGsという言葉を聞いたことがあるだろうか? 日本では約27%がYESと答えている(2019年3月朝日新聞調査)その一方で、米国NYの企業間や個人の間では、SDGsという言葉が未だそれほど浸透していない。この日米の認識の差は、また後日の号で述べるとするが、今回第1回目の投稿として、SDGsとは何ぞや?という概念を、さっくりと述べておきたい。

「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標である。

このサミットで2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。その中核理念の「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいる。

SDGsは、地球社会が持続可能な成長と発展を続けるために、17のゴールと169のターゲットを掲げており、誰ひとり取り残さないことを目指し、世界各国が一丸となって達成すべき目標として構成されているのが特徴。

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        <写真:国連広報センター>

★(ご参考) SDGs17項目の具体的目標(ゴール)一覧★
国連サミットでは具体的な目標として下記分野での17ゴール(目標)を提唱。


1. (経済格差)  貧困をなくそう (No poverty)
2. (食料) 飢餓をゼロに (Zero hunger)
3. (医療・健康) すべての人に健康と福祉を (Good health and well-being)
4. (教育) 質の高い教育をみんなに (Quality education)
5. (社会平等) ジェンダー平等を実現しよう (Gender equality)
6. (水衛生) 安全な水とトイレを世界中に (Clean water and sanitation)
7. (エネルギー) エネルギーをみんなに そしてクリーンに (Affordable and clean energy)
8. (経済成長)  働きがいも経済成長も (Decent work and economic growth)
9. (産業基盤) 産業と技術革新の基盤をつくろう (Industry, innovation, infrastructure)
10. (不平等) 人や国の不平等をなくそう (Reduced inequalities)
11. (住宅) 住み続けられるまちづくりを (Sustainable cities and communities)
12. (意識改革) つくる責任 つかう責任 (Responsible consumption, production)
13. (環境・気候) 気候変動に具体的な対策を (Climate action)
14. (環境・海) 海の豊かさを守ろう (Life below water)
15. (環境・陸) 陸の豊かさも守ろう (Life on land)
16. (人権と平和) 平和と公正をすべての人に (Peace, justice and strong institutions)
17. (共同共生) パートナーシップで目標を達成しよう (Partnerships for the goals)
 <参照:United Nations. 国連開発計画駐日代表事務所、globalgoals.org>


(2)NYで初のSDGs首脳級会合開催(2019年9月)。国連で共同宣言。

2019.9_ SDGs共同宣言会議@NY

 「持続可能な開発目標」(SDGs)で初の首脳級会合が開催された
  ニューヨーク国連本部(20190924)・写真:SDGsパートナーズ) 


2015年に国連がSDGsを提唱して4年経過した時点で、SDGsの活動や各国の人々への意識理解の普及の進捗の遅れが目立った。

再度、共同宣言を行い意識を同じレベル目線にするため、ニューヨークで2019年9月に初のSDGs首脳会議が行われ共同宣言が行われた。国連グテレス事務総長は、「我々はあるべき姿からかけ離れてる」と述べ、持続可能でサステナブルな社会を目指すことを各国共通の意識として、改めてその意義と意味を強調。

共同宣言では、人権問題、貧困撲滅や女性活躍など多くの分野での進捗の遅れを憂慮、行動を加速する必要があるとした。国家間の経済格差が拡大していることについても危機感が示された。また、同宣言は、公平な平和活動と国際貿易が持続可能な世界実現の原動力になるべきとの各国が取り組むべき方向性を記している。


(3) SDGsと投資:グローバルな視点でSDGsが企業間で話題になっている理由とは:

世界ではそれに先駆けた動きがあった。きっかけは2006年、当時の国連事務総長であるアナン氏が金融業界に向け、責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したことである。これは、大規模な投資を行う企業・金融機関などの投資家が、プロジェクト案件や企業に対し投資をする際にESG [環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]を課題として反映させることということを指している。


つまり、投資家は企業への投資をする際に、その会社の財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうかを重視すべきだという点を国連が提唱したという点で大きな前進となった。これによって投資を受けるグローバル企業の間にも、もっとESGを考慮しようという動きが広まっている。

SDGsはいまや、グローバル化を目指す欧米企業にとって、サステナブルな企業価値とESG(環境・社会・ガバナンス)を掛け合わせて考える上での大きな指標になっている。

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(4)コロナ(COVID19)感染で多くの欧米企業が倒産する中―SDGsをベースに「企業改革」が急務

コロナ感染に世界が襲われている2020年上半期。今後の企業存続とその価値を目指す共通認識のキーワードとして、サステナブルなITデジタル(オンライン)化と、SDGs(17項目のうち特に環境・社会貢献・ 人と働き方)へ配慮という取り組みが注目されてきている。

これからの企業は「変化を非常事態」とするのではなく「常態」として取り組む変革力が必要、と名和高司客員教授(ハーバード・ビジネススクール卒。一橋大学ビジネススクール国際企戦略専攻・東京大学法学部卒)は指摘する。

<グローバル化に展開する企業の動き>
●NY5番街のフラッグ店をもつユニクロ(ファーストリテーリング)の柳井正社長が「Change or Die」(変革力か倒産か)という経営方針を掲げていること、

●欧米の大手企業では、コカ・コーラ(飲料)、アバンティウム(飲料)、H&M(アパレル)、グッチ(ファッションブランド)などの多くの企業が、「サステナブルな“常態”」(SDGs)を目指した取り組みを打ち出していること、
が顕著な動きとして挙げられる。

各社の共通点は、いずれも各企業のトップリーダーが、絶大なカリスマ性を持っているという点と、そのリーダー達が、まさにSDGs×企業価値を主幹として企業組成と価値を追求しているという点がみられる。

そして、SDGs17項目の中で、今もっとも欧米企業が取り組んでいる分かり易い目標は、【地球環境】への配慮や【教育】【人権平等】に対する取り組み事例が多くみられる。

今回2020年のコロナ危機を経て、変革力という動的能力(ダイナミック・ケイパビリティ)を実行するチカラのある欧米企業こそが、さらにコロナ危機を乗り越えて一歩先のニューノーマルな時代に成長していくであろう。



(2020/6/1) サステナNYの街角から

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執筆:古市裕子
国連フォーラムNY所属(本文は個人の見解)
SDGs NY(持続可能な)×事業再生・企業価値 支援
NY Marketing Business Action, Inc 代表取締役
US JAPAN Career Network (日米キャリアネットワーク)

(略歴)
NY市立大学大学院・政治経済学国際関係論修士課程卒。
1998年~2015年:ジェトロ・ニューヨーク(経済産業省貿易保険部NY)。
(⁂現在の NEXI 日本貿易保険)。 中南米各国カントリーリスク及び企業信用リスク調査に従事。当時「貿易保険」誌や「通商弘報」(METI刊行物)・「New American Policy」ジェトロ配信等にリスク分析レポを寄稿。

2015年独立起業。国連提唱SDGs×企業価値×キャリア支援の観点から、多数
日系企業のNYビジネス進出支援や市場調査、またキャリアコンサルタントとして次世代への日米キャリア支援も手掛ける。

オフィシャルサイト: https://sustainabusiness.ny-mba.com/

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