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ISSB S1・S2について今やるべき4つの事とは

サステナビリティ担当者になって1カ月以上が過ぎましたので、そろそろ本格的に開示基準の勉強をはじめたいと思います。

本日はまず、JPXさんがYouTubeで公開してくださっている、第1回JPX/ISSBオンラインセミナー(第1部)「ISSB基準:よりいい意思決定のための、よりいい情報」を視聴してみました。


このセミナーでは、今年(2023年)6月に公表された「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(IFRS-S1)、「気候関連開示」(IFRS-S2)基準について、その制定の背景やミッション、目指すところなどを国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の小森博司理事がお話くださっています。

特に、セミナーの最後にお話があった4つのポイントが、今私たちがS1・S2についてどう考え、何をしていくべきかを端的に伝えてくださるものだったので、メモを取った内容を再構成してここでご紹介したいと思います。



①サステナビリティ情報開示は今後、CEO・CFO・CSOそして取締役会の役割へ

  • S1とS2は今後、(日本国内においてはSSBJの最終化→金融庁の手続きを経て)従来の任意開示・自主開示の範囲を超えて法定開示として運営されることになっていく

  • その時、最終的に目指す開示の姿は、マテリアルなサステナビリティが企業の将来のキャッシュフローや資本コスト、コーポレートガバナンスにどういう影響を与えるかを伝えるもの

  • 現時点では各社におけるサステナビリティの情報開示はCSRやサステナビリティ推進部門の業務だったかもしれないが、法定開示化以降はまさしくCEO・CFO・CSOそして取締役会の役割となる

  • このことを念頭に、社内で議論していってほしい。なおS1・S2はあくまで情報開示のツールであるため、これ自体を「目的化」しないようくれぐれもご留意いただきたい


②S1・S2は教科書やマニュアルではない

  • S1,S2はプリンシプルベース(原則主義)で作成している

  • つまり、これを教科書やマニュアルのように「従う」のではなく、(ここで禁止されていること以外は)企業の側で自由に、自社のシナリオを作り、投資家や資本市場に訴求するようにしてほしい


③今後2~3年をトライアル期間としよう

  • 日本で法定開示になるまで、早ければ2年、もしかしたら3年ぐらいかかるかもしれない。それまでの時間を有効活用してほしい

  • 色々なトライアル・試行錯誤を通じてノウハウを蓄積したり、機関投資家とのコミュニケーションをできるだけ取る中で自分達のマテリアリティの考え方や短期中期長期の時間軸が適切なものかどうかも十分な議論をしてノウハウを積み重ねたりしていただきたい


④S1・S2の英語版に親しもう

  • SSBJさんのほうで現在、S1とS2の英語版から日本語版への翻訳をしていただいているが、少々時間がかかると聞いている

  • そこで、日本語訳ができるまでの間にできればS1とS2を英語で読んでいただきたい。使われている言い回しや英語独特のサステナビリティの単語、英文の説明ロジックのようなものを身に付ければ、将来、グローバルの投資家に対して、英文で開示をされる時のお役に立つものと考える

  • とはいえなかなか難しいと思うので、社内で関係部署の方でチームを組んで輪番制をとったり勉強会を開催したりと色々トライをしていただければと思う



以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・35日目(Day35) でした。それではまた明日。


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