神村恵《消えない練習》@ミルクイースト パブナイト―イン・タヴァン・エールハウス

「ミルクイースト パブナイト―イン・タヴァン・エールハウス」は、CAMPと同時代に存在し、2014年3月に閉校した四谷アート・ステュディウムで学んだアーティストたちが中心となって運営しているオルタナティブスペース「milkyeast」で行われたパフォーマンスイベントである。上演作品のひとつである神村恵の《消えない練習》は、2000年代に入りみるみる引き裂かれていった芸術のコンテキストやルールが、今でも丁寧に保存されていたことが確認できた作品だった。床や壁を移動しながら同じ動きを愚直に繰り返す彼女自身がいつしかナビゲーションとなり、曖昧模糊とした空間の位置と方向を確定していった。先人が積み重ねて構築してきたパフォーマンス/身体表現の形式、現在与えられた場所と状況を引き受けて、ルールを紡ぎだし、時間と空間を余すことなく使い切る。自分の都合や信念でルールを変更せず、「芸術はルール=法を守る」ものだと《消えない練習》ははっきりと示していた。身体は様々な世俗的な制度によって縛られ表現は画一化するが、身体がルールにより自らを制限することで、むしろ制度から離れ個別的な運動を創出する自由を獲得するだろう。立憲主義を蔑ろにして安保法案が成立した2015年夏に行われた自由を守る練習は、間抜けな国家にそっぽを向いてコツコツとつくられたイベントとともに、目撃した人たちの記憶からけっして消えないだろう。

-----

タイトル:《消えない練習》

時間:25分

振付・出演:神村恵

音楽:Chilli Willi and the Red Hot Peppers "We get along"

  エリック・サティ "Tapisserie en fer forgé"

-----

タイトル:ミルクイースト パブナイト―イン・タヴァン・エールハウス

日時:2015年8月14日(金)、15(土)

場所:milkyeast

出演:神村恵、Whales(高橋永二郎主宰)、ラストソングス(鈴木謙一+上村聡+鈴木将一朗)、O,1、2人(外

島貴幸+吉田正幸)

企画:坂川弘太+外島貴幸

制作:梶原あずみ|運営協力:印牧雅子

フライヤーデザイン:松本直樹

主催:ミルク倉庫+ココナッツ


*この文章は、CAMPが設立された2006年から現在までの間で「面白い」と思う作品、イベントなどを紹介せよという課題に対して書いたものである。<CAMP> 9周年パーティー「Q」2015.09.30 @HIGURE にて掲示された。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

2
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。