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#211:フレーム問題とPMの勘

AIにはフレーム問題という課題があるらしい。

フレーム問題

AIで何かしら課題を解決する場合、その課題に関連するものと関連しないものを分けて、関連するものだけに限定化(フレーム化)するのは難しいそうだ。

例えば、自動でお風呂掃除するAIを開発する。
(なぜお風呂掃除…?)

風呂掃除に使う洗剤や洗う道具、洗い流す水の量など、お風呂掃除に関連する事柄について、予めセットしておけばできるだろうか

しかし、お風呂の栓を抜くのを忘れていてお湯が溜まっていた場合はどうだろう。あるいは、お湯は抜いていても、そこで子供がかくれんぼしていたら?ペットの猫が寝ていたら?

まあ少し考えると分かるのだが、関連する状況の変化は無数に挙げられる。それらを全て予期して計画するのは難しい。

その状況に応じて、適宜フレームを切る(その時点で関連する情報を絞り込む)しかない。

(いや、もう自動洗浄ありますけど…↓)

(例の選択が少しイマイチだったが、気を取り直して続ける…。それにしても、お風呂掃除の自動洗浄はとても気になる)

人はなぜ判断できるか?

その状況に応じて、適宜フレームを切るのは、人ならできる。(できない場合もあるが…)

本によると、興味関心という情動によって絞り込むらしい。(まだ科学的裏付けはまだない)

どうやら、人には興味や関心の対象があるものが浮き上がって知覚されるらしい。

私のイメージは、パワーポイントで特定の図を最前面に指定すると他の図や表記は背景になり目立たなくなる。この最前面へ指定する機能が自動的に働くのが人の情動によるものらしい。

勝手な自己解釈

情動と言われてもピンとこないが、要するに、英語ではemotionであり、喜びや悲しみ、怒り・恐怖・不安などの感情や生理反応である。

人だけでなく、動物にも情動があり、その生理反応に従って動くことで、生物として生存競争を勝ち残る要素とも考えられる。

情動で恐怖を敏感に察知できれば、その都度、生き残る適切な判断を下せる。

逆説的に言うと、AIレベルの論理的な判断力が備わっていても、その判断に必要な情報を適切に絞り込めなかったら(情動を持たないと)、恐らくは生存競争に勝てないかもしれない。

PMの口癖

この話を読んで思い至ることがあった。

仕事でよく関わるベテランのプロジェクトマネージャー(PM)の人たちの口癖である。

「何かそれって気持ち悪くない?」
「分かるけど、その進め方ちょっと怖いなー」
「うーん、それは少し緩いね。変な気がする」

全部ロジカルな言葉ではない。

気持ち悪い、怖い、緩い、何か変…。情動的。

言われた方のメンバーは大概キョトンとしてることが多いのだが、一方で、横で聞いてる私は割と共感する場面がある。

百戦錬磨のPM達には長年の経験から培った勘が備わっている。その勘や直感がロジックより先にこれは何かおかしいぞ、と囁くのである。

大概それは的を得ている。

彼らは上記の発言の後に、論理的におかしい点を導き出して、具体的なアクションをメンバーに指示する。勘の後にロジックを揃える感じ。

AIに仕事を奪われるという議論はよくあるが、PMの領域では勘の働くAIが開発されるまではヒトの活躍する時代が続くのかもしれない。

長文をお読みいただきありがとうございます。


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