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#231:今年のお手伝い

とある長野のりんご農家にお手伝いに行き始めて、かれこれ15年以上経つ。

当時の会社の後輩の故郷がりんご農家をしていて、その手伝いに訪れたのが最初のきっかけ。


はじめの方は

当時20代であった私やその会社の後輩、他の同僚としては、ゴールデンウィークに会社仲間で一緒に行く小旅行気分だった。

東京から長野まで約3時間くらいのドライブ。山や木々など自然は豊かで景色も良いし、空気も澄んでいる。

1日外で身体を動かして農作業を手伝えば3食宿付きでありながら、農業ボランティアということでお金はかからない。あまり金銭的に余裕のない20代のゴールデンウィークの過ごし方としてはちょうど良かった。

それがいつしか

数年通うと、その季節には必ず長野に向かうようなルーティンとなっていた。

毎年5月のゴールデンウィークはりんごの花摘みをして11月の連休はりんごの収穫を手伝う。

そのサイクルが出来あがると、普段仕事をしている時から、もうそろそろりんごの季節だなーとソワソワしながら待つ自分がいた。

特に最初の会社では経理系のシステムを担当していたため、4月の本決算、10月の中間決算という時期に仕事の山場を迎える生活だった。

それを乗り越えた後、ちょうどりんごの手伝いに行くタイミングとなるため、それを目標にして仕事を何とか頑張っていた気がする。

そして、何とか仕事をやり切って、無心でりんごの花摘みをしながら綺麗な山脈を眺めると、仕事に忙殺されて荒みきっていた心が少しずつ解けていく感じがした。

りんご園からの景色

あー、なんか本当にどうでもよい小さなことに追い回されていたなーとつくづく感じながら。

第二の故郷

そうして毎年通っているうちに、結婚して子供もできて、それでも夫婦でも子供を連れてでも毎年通っていた。

子供はその農家は親戚のおじさん、おばさんだと思っている。またりんご園を走り回ったり、秋には田んぼの稲刈りを手伝いつつ、バッタやカエルを捕まえるのに専念したり、色々な経験をさせてもらっている。

稲刈りと子供たち

農作業や自然にも心は癒されるのだが、そうして長年通って近況を報告しながら他愛ない話をする食事の時間は何より貴重だったりする。

転職して仕事が変わっても、他にも普段の生活で変化があったとしても、そこで会話する時には何ら変わらず同じように話す。そのことで、あー仕事が変わっても自分は根本的に何も変わってないんだなー、と妙に納得する。

使い古された言葉ではあるが、これが自分にとっての第二の故郷なんだなーと実感しつつ。

今年の手伝い

そんな感じで毎年は家族で年2回ほど通う頻度だったが、今年に関しては単独で2ヶ月に一度は手伝いに通った。(3月から合計5回ほど)

子供も中学に上がり手が離れてきたこともあって、土日を持て余すようになったことが理由のひとつである。

朝から夕方まで身体を動かして外で作業して、夜にぐっすり眠るということだけでもこんなにリフレッシュできるものか、と毎回痛感する。

帰りにはりんご園から近いところにあるサウナ付きの公衆浴場でゆっくりお風呂に入ったり、サウナで汗を流すと普段味わえない静かで深いリラックスを感じられる。

なかなか見知らぬ土地で農業ボランティアをするには勇気がいるとは思う。ただ、私以外にもこの農家や他の農家へお伝いに来ている人も大勢いるので、もしご興味あれば自治体のページなどから検索してみることをおすすめします。


長文をお読みいただきありがとうございます。

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