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【写真】サイアノプリント備忘録

サイアノプリント(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%86%99%E7%9C%9F
青写真(あおじゃしん、英: cyanotype)は、サイアノタイプ、日光写真ともいい、鉄塩の化学反応を利用した写真・複写技法で、光の明暗が青色の濃淡として写るためこう呼ばれる。非銀塩写真の一種である。

落合さんの影響で以前からオルタナティブ・プロセスの写真技法に興味があり、2021年にやりたいことの一つにしていた。年末に差し掛かったところで、こちらの記事(https://note.com/eto_silversalt/n/nd6e0b093fe70)を参考にさせていただき製作をした。

初回の作成ということもあり、いくつかのパターンに分けて実験的に取り組んだ。失敗も多いが、コツが掴めてきた。完成度は感光材の塗り方に大きく左右される。

以下、備忘録。


ネガ作成

Adobe Lightroomで作成

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・操作方法
 プロファイル:モノクロ
 ポイントカーブ:左右逆転

ネガは陰影部の解像感を確かめるため、シンプルにネガポジ反転したものと、白を持ち上げたものの二枚を作成した。(結果、あまり変化の確認できないレベルだった)
写真の選択については解像感と階調とを確認したかったため、雲のある晴れ空と建物のテクスチャや木々のある写真を選んだ。

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用意するもの

・感光材…Nikitea サイアノタイプ インク セット [並行輸入品]
・水
・アルミホイル…前日に作成した印画紙の保護用
・ビニール手袋…100円均一
・フラスコ(溶液を計るもの)…ヨドバシカメラで適当に調達

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・印画紙…ピクトリコデザインペーパープラス
・印刷したネガフィルム…ピクトリコ PICTORICO
TPS100N-LTR/20 [ピクトリコプロ・デジタルネガフィルムTPS100 216x279mm 20枚入り]

節約とA4用紙に印画するため、ネガを二枚に切って使用した。

印画用バット*2…水洗用、オキシドール用 A4が収まるものにした

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刷毛…感光材の塗りが仕上がりを左右するのでケチらない方がよさそう
・アクリル板*2…露光時にネガと印画紙を挟むためのもの ネガと印画紙をしっかり挟めればよい
・アクリル板を挟むもの…100均 アクリル板は曲がっているので四点で挟むと良い印象 印画紙を乾かす際にも使える

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オキシドール(500ml)

製作工程

感光材インクセットに製作手順が記載されていたので翻訳を載せる。
英語のほうはカメラの英語スキャンを利用したため正確さに欠ける可能性があります。

> 内容物:パートA(フェリシアニウムカリウム)&B(クエン酸超アンモニウム)
このセットには、紙に約65枚の8インチ(24cm)xI0(30cm)インチプリントを作成するのに十分な化学物が含まれていますまたは、素材の吸収性に応じて、50枚の布に8"x10"のプリントを印刷します。

> ・指示
> 1.両方の容器に水を入れてStock SolutionAとBを作成し、粉末が完全に溶解するまで振ります。最良の結果を得るには、使用する前に24時間待ってください。Stock Solutionは長く保存できます。
> 2.落ち着いた照明で、等しい量のSolutionAとsolutionBからサイアノタイプ感光材を作成します。増感剤は2~4時間だけ安定するので必要な量だけを混ぜてください。
> 3.増感剤を紙または布をコートし、暗闇の中で乾燥させます。
> 4.乾燥したら、日光の中で露出を行います(条件に応じて3~30分)、または紫外線光源の下では、被覆表面に物体またはフィルムのネガの*を配置する画像を作成します。
(注:一般的に、露出不足よりも露出過剰の方が好まれます。適切な露出後のプリントはプロンズ色に見えるはずです。)
> 5.冷水のトレイでプリントを処理します。水を変えて、それが鮮明になるまで定期的に少なくとも5分間洗ってください。そして空気乾燥してください。約24時間後、最終的な濃い青色に酸化します。プリントを最終的な色に瞬時に酸化するには、洗浄後の過酸化水素の希釈液に浸し、次いですすぎそして乾燥させる。サイアノプリントは保存性があります。しかしながら、リン酸塩または高酸の環境にさらされると、黄空が発生する可能性があります。サイアノタイブは常に非リン酸を使用して洗濯する必要があります。汗と手の油がさまざまな場合は、洗剤、およびプリントを慎に取り扱う必要があります。気色を引き起こします。

> Notes
・サイアノプロセスは、1842年にジョンハーシェルによって開発されました。JacquardのCyanotypeセットはハーシェルの用いた正確な様式の利用します。
・この反応により、シアンブルーの顔料であるフェリシアン化鉄(プルシアンブルー)が生成されます。
> 詳しくは、www.JacquardProducts.com をご覧いただくか、QRコードをスキャンしてください。*どんな画像でも簡単に写真用のフィルムネガに変換することができます。
> ネガは、ジャカード社のソーラーファストフィルムなどの透明なフィルムメディアに、あらゆる方法でプリントすることができます。
> 注意:粉塵を吸い込まないようにしてください。
> 使用後はよく手を洗ってください。ルパート・ギボン・アンド・スパイダー社(Rupert, Gibbon & Spider, Inc,

以下英文
> CONTENTS: Part A (Potassium Ferricyanide) & Part B (Ferric Ammonium Citrate)This set contains enough chemistry to make approximately sixty-five 8"x 10" prints on paperor fifty 8"x 10" prints on fabric, depending on the absorbency of the substrate.Instructions1. Fill both containers with water to create Stock Solutions A & B. Shake until powderis fully dissolved. For best results, wait 24 hours before using. Stock Solutions havelong shelf lives.
> 2.In subdued lighting, mix equal parts Solution A and Solution B to create the c>sensitizer. Mix only the amount you immediately need as the sensitizer is stable just2-4 hours.
> 3. Coat paper or fabric with the sensitizer and allow to air dry in the dark.
> 4. Once dry, make exposures in sunlight (3-30 minutes, depending on conditions) orunder a UV light source, placing objects or a film negative* on the coated surface tocreate an image.(Note: overexposure is generally preferred to underexposure.The print should look bronze incolor after an adequate exposure).
> 5. Process prints in a tray of cool water. Wash for at least 5 minutes, changing the waterperiodically until it runs clear, and allow to air dry. Over about 24 hours, the print willoxidize to its final deep blue color. To instantly oxidize the print to its final color,submerge in a dilute bath of hydrogen peroxide after washing, then rinse and dry.Cyanotype prints are archival. If exposed to phosphates or high pH environments, however,yellowing may occur. Cyanotype fabrics should always be laundered using non-phosphategents, and prints should be handled with care, as sweat and hand oilscause discoloration.
> Note
sthee cyanotype process was developed in 1842 by Sir John Herschel. Jacquard's Cutilizes the exact same formula Herschel used.notype reaction produces the cyan-blue pigment ferric ferricyanide (alsoPrussian blue), a pigment found in many high-end watercolors, oil and acrylic paints.More InformationThere are many methods for toning and altering cyanotype prints using simpletreatments and common household reagents such as baking soda or black teamore information, visit www.JacquardProducts.com or scan the QR code*To easily transform any image into a film negative for making photts, visit Jacquard's online Negative Generator at www.Jor scan the QR code (left). Negatives may be printed through any inonto transparent film media such as Jacquard's SolarFast Film.CAUTION: Avoid inhalation of dust. Wash hands thoroughly after each use.RUPERT, GIBBON & SPIDER, INC,P. O. Box 425, Healdsburg, CA 95448 USAV-200.442.0455 / +1 707.433.9577ㆍwww.jacquardproducConforms to ASTM D-4236-94[增造]GYLYAXA0OOOANegativeGeneratorQACOCA

作成パターン

実験にいくつかのパターンで作成した。

1~4までは前日準備分。感光材をたっぷり塗り、アルミホイルを被せて保管。
1.ネガ:通常、露光:10m、オキシドール、感光材多め
2.ネガ:通常、露光:10m、オキシドール、感光材大量
3.ネガ:通常、露光:25m、オキシドール、感光材多め
以降、露光時間を25mに固定
4.ネガ:通常、露光:25m、オキシドールなし、感光材多め
以降、印画紙を当日作成。感光材を薄めに塗り、ドライヤーで乾燥(暗室ではない)させ、紙を被せて余分な感光材を吸収させた。
5.ネガ:白持ち上げ、露光:25m、オキシドール、感光材薄め
6.ネガ:通常、露光:25m、オキシドール、感光材薄め
7.ネガ:通常、露光:25m、オキシドール、感光材薄め、時間の経過した感光材を使用した。塗りにムラがないように注意した。
8.ネガ:白持ち上げ、露光:25m、オキシドールなし、感光材薄め
9.ネガ:通常、露光:25m、オキシドール、感光材薄め、水洗時間を5分しっかり行った。

結果

●1~3 感光材多め
前日に感光材を多めに塗り、露光時間10mで作成したもの。
かなり液体が溜まっている。

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これらは見事に失敗。
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3.

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要因としては、一日置いたものの感光材が乾ききっていなかった。紙または布で挟んで十分に水分を吸いとるべき。
また、露光時間も少なく、印画がされていない。かつ、水洗時に乾燥していない感光材が流れて大きく滲んでしまう。
3.のとおり、露光時間を多めに取ると印画が滲むことがわかった。

●4 露光時間を増やす
前述のことから、以降は露光時間を10m→25mに変更し、印画が安定してきた。

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しかし、感光材が定着がしておらず、こちらも流れてしまう。

●5、6 感光材の量を減らす
以降は当日に印画紙を作成。その際に感光材を塗る量を減らした(縦横往復1回、縁で適度に刷毛に含まれる感光材を落とす)
結果、かなりくっきりしてきた。


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両者で鮮明さが異なるが、白を持ち上げたネガのほうが定着していないのでネガによる要因ではない。

しかし、オキシドールで洗浄する際に感光材が滲んでしまう。この問題は今回は終始改善できなかった。

●7.
予定よりも感光材が余ったのでにシートを被せて数時間後に使用してみた。
刷毛ムラが少ないように注意して塗布したところ、刷毛跡が一番少なく印画された。周りの刷毛の模様ははっきり出したいので、しっかり塗りつつ、刷毛を抜く角度などは要練習。

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日に当てた直後、上半分と下半分にムラがあったのは日照条件の変化か(後半曇っているような気がした)オキシドールに浸すと日照直後の印象よりも綺麗に印画された。
また、オキシドールに浸す時間を短くしたが、滲みは継続。

●8.オキシドールに浸さない
これが周囲への滲みがなく一番綺麗な仕上がりだった。こちらは刷毛跡のムラが確認される。

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●9.水洗をしっかりと行い、オキシドールに浸す
15:00ごろ雲がかかってきて直射日光に当てられなかったためか、全く印画がされなかった。
ここで注意事項をよく読むと、オキシドールに浸した後の洗浄を怠っていたことに気が付いたので試してみた。しかし、滲み具合は変わらなかった。

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次回への課題

・オキシドールに浸す際、紙に気泡が出来る。浸すのは一瞬でいいのかもしれない。または紙の問題?
・オキシドールに浸した後に現れる、感光材が枠外に黄色く滲んでしまう現象が解消できなかった。感光材を一日しっかり乾燥させると改善されるかもしれない。
・感光材を塗り過ぎず、しかし筆のムラが出ないようにする必要がある。

作業風景等

・当日の日照状況
11月23日 所々に雲が被る
家の方角や季節による日没時間の変化で作業可能な時間が異なる。

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・感光中

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・感光直後

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・水洗中

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初めてのオルタナティブプロセスだったが、自然現象と対話しながら制作する感覚がとても楽しかった。
反省点を踏まえ、より良い仕上げにしたいと思う。
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勉強不足故に、誤った工程や改善すべき点があればご指摘いただけると嬉しいです。

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