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【合体ロボにでたらめを】ユニトロボ アップルロブスター [ユニトロボーン]

でたらめなロボはあるか。

この瞬間、1体のでたらめなロボが誕生した。

りんごとロブスターの合体ロボ…

…「アップルロブスター」である!



・パッケージ

左手にりんご、右手にロブスター。そしてロボットのイラスト。この商品が変形合体ロボ玩具であると直感では理解できるが、理性的に考えれば意味不明である。
そもそも「2種の赤い可食物の組み合わせ」というお題から「りんごとロブスター」が選出された事例は人類史上初かもしれない。このふたつを同時に受け容れるポテンシャルをもつのはおそらくカレーだけだったはずである。だが、その極めて狭かった枠に堂々と参入したのは料理ではなく最新の合体ロボなのだ。

本品は簡易変形ギミックのため、説明書は裏面に記載されている内容で十分である。りんごとロブスターを組み合わせる意義を除けば、誰でも容易に理解できる仕様である。

・内容物

・りんご
・ロブスター

そりゃそうだ。これはりんごとロブスターの合体ロボなのだから。

・りんご

これはりんごである。

綺麗な丸いシルエットの表面を走るメカニカルな分割線が変形機構を想像させてくれる。底面に合体用のジョイントが飛び出しており、平面に置くと少し傾いてしまうのはご愛嬌。

…が、その傾きすらもどこか有機的な趣があるようにも感じられる。ホントに?
赤い部分はツヤのある成型色なのでトマトに見えないこともない。料理ならトマトロブスターの方が美味しそうだが、これは合体ロボなのでりんごでよいのだ。

↑おふどボと比較

狙っていたのか不明だが、サイズも大きめのトマトくらいである。あるいは小型のりんごと解釈すべきだろうか。

・ロブスター

これはロブスターである。


成型色はメタリックレッド。色合いは生物と料理のちょうど中間といったところか。

合体ジョイントは底面に隠れている。ハサミ部分の幾何学的な肉抜き穴がこれはこれでCGモデル風味でカッコいいかもしれない。

両腕がボールジョイントで動くほか、脚の付け根も一応可動する。ポーズ付けはオマケ程度。何気に爪の先のグラデーション塗装がリアルだ。

↑モンアツFWゴジラと比較。

このサイズならエビラの代役もできそう。

・合体!

手順はいたってシンプル。まずはジョイントを互いに噛み合うように合体させる。

すると頭・肩・脚が連動して展開される。

脚を伸ばしきってロックし、腰アーマーを整えて両腕を下ろせばアップルロブスター完成!

なお、戻す時は逆順で畳んでいけばOKだ。

・ユニトロボ アップルロブスター

これがアップルロブスターのロボ形態。なんというか、意外なほどカッコいいデザインである。

シルエットの尖りを活かした造形もさることながら、頭・肩・胸部・脛のステッカーによるレトロフューチャー的な模様が印象的な意匠として働いている。昔のオモチャっぽいかも。

後ろから見ると何が起こったのか一目瞭然。変形合体ギミックの動作は安定しており、グラつきもなくしっかり自立してくれる。ただし、腰のジョイントはそこまで強固ではないので雑に持ち上げると外れることも。

あちこちに部品のボリュームが伸びているすさまじいシルエットなのだが、どこか1箇所に偏るということもなくバランスのとれた人型ロボットとして成立している。

顔は正統派ジャパニーズロボとそうでない要素を半々くらいに掛け合わせたような造形。バラバラな物体にロボットという力強い調和の形を与えるユニトロボーンの商品コンセプトに沿ったものなのかもしれない。

ロブスター状態と同じく腕の付け根がボールジョイント可動。変形ギミックに重点を置いているとはいえ、ハサミの両腕を振り回せるのは豪快で視覚的にも楽しい。

・サイズ

いつも通りおふどボ&モーコンスポーンと比較。そこそこボリュームがあり、手で持った満足感も得られる。

・総評/ユニトロボーンとは何なのか?

まず、今回紹介したアップルロブスターは玩具として非常に手触りが良い大胆な連動変形、見栄えのいい派手なシルエット、さらに価格も2000円程度とそこそこ手頃である。軽い気持ちで買ってみて魅力に触れるというのもいいだろう。

この「ユニトロボーン」というシリーズはマシンロボの系譜に位置付けられている。ホントに?

とはいえこれにも納得のいく理由があって、アニメや特撮などのメディア展開と並行した版権キャラクター玩具ビジネス主体のバンダイにとっては貴重な「自社オリジナルのロボットブランド」がマシンロボなのである。(※勿論マシンロボのアニメ作品もあるがその話は置いておくとして)

「マシンロボ ムゲンバイン」に端を発する有形ブロックの組み替え合体ロボシリーズは販売形態を変えながら長く愛されていたし、その後継者たる「ムゲンヒーローズ」は顔面がカードという攻めたコンセプトで大いにコケて…この話も置いておくとして。

つまるところ、マシンロボとはバンダイなりの新しいロボット玩具開拓のやり方であると解釈できるのだ。
実際、近年低迷していたスーパー戦隊のDXロボ玩具はドンブラザーズで型を破って好調に売れ行きを伸ばしており、バンダイ全体としても子供向けロボット玩具に対する攻めの姿勢が窺える。

ドンオニタイジン以降、DX戦隊ロボは素直に出来が良くて格好いい、所謂"ウェルメイド路線"への転換が行われていくような気配がある。しかしながら、設計製造屋であると同時に企画屋でもあるバンダイの強みを活かした"アイデアのインパクト一強のおもちゃ"も捨てがたい。そこで生まれたのがユニトロボーンなのだろう。

「かっこいいのも変なのも作れる」という状態を維持し続けることはきっと今後のロボット玩具市場にも良い影響を及ぼしていくだろう。そして、バンダイの作るロボ玩具ならばどちらの路線でもそこそこ出来が良いことを我々は知っている。

ユニトロボーンは「でたらめをやめるつもりはない」というバンダイの意思表明だ。キャラクターの魅力もギミックの魅力も追求したい企業だからこそ、遊びの概念を開拓していくものとしてこの珍妙な林檎甲殻類ロボは生まれたのだ。

正直言ってユニトロボーンが爆発的に人気になるかは怪しい。とはいえ、一発ネタにしてはやけにクオリティが高くこだわりの込められた玩具であると感じられた。この感触は是非とも実際に遊んで体感してほしい。

あと、多分10年後くらいにヘンテコなロボ玩具として好事家の間で一定の評価はつきそうな予感がする。ホントに?

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