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Kentmere 100を増感してISO400のフィルムにする

イギリスのKentmere(ケントメア) 100というモノクロフィルムを試しました。それも、そのままではなく感度を上げて。いわゆる増感というやつです。

増感をすると粒子が荒れたりコントラストが高くなると言われていますが、さて、ケントメアはいったいどんな写りになるのか。

今回はケントメア 100をISO感度400のフィルムとして使ったというお話です。

Leica M3 - Summicron 50mm F2 1st
Kentmere 100 pushed to EI 400
D-76 1:1 - 24℃ 18分

Kentmere 100 pushed to EI 400

増感した例の前に、まずはISO100のまま使ったときの写真をのせておきます。

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トラディショナルタイプらしくほどよい粒状感。同じISO感度100でも、富士フイルムのアクロスとは全然違う。アクロスの方がもっとシャープでキメ細かい印象。

COLOR SKOPAR 35mm F2.5でスナップ初め

階調はKodakのTRI-XやILFORDのHP5 PLUSの方が豊かな感じ。質感もちょっとドライかな?ケントメアどことなく乾いた写りに感じます。このあたりは好みや意図によって使い分けでしょうね。

ILFORD HP5 PLUSというモノクロフィルムを試した

それではここからISO400に増感です。こちらは夜なので被写体自体、コントラスト高めです。そのへんは差し引いて考えてもらえると助かります。

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1〜2枚目は青山にある洋書のお店。

このときの時間は19時すぎ。完全に日は落ちてましたが増感をすればISO100のフィルムでもいけます。増感をしたわりには粒子も粗くないし、好きな写りです。

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それとこの日はもう1つ実験をしていて、シャッタースピードを少し遅めにしています。

いつもISO400で夜スナップをするときは1/50なのですが、今回は1/25。ミラーショックのないレンジファインダーならこのスピードでも集中すればいけると踏みました。絞りはすべてF2〜2.8ですね。

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ズミクロンのピント面は今でもシャープで、とても60年前のレンズとは思えない。M3に装着したときの見た目も美しい。

M3にはズミクロンを付けっぱなしにして、このままモノクロ専用機としておくのもいいかなと思い始めています。

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キャットストリートにあるGalaxyの体験ブース。大きな建物なので見たことある人も多いんじゃないでしょうか。この写真はシャドウ部に階調が残っていましたが、思いきって真っ黒に。今はこういうのが好み。

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原宿〜渋谷間はどこを切り取っても自転車があるなぁ。

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シャッタースピードが1/25だと歩く人はだいぶブレますね。

このブレ、個人的にはカラーだと気になるのですがモノクロにならむしろOK。雰囲気のあるシルエットが描けます。

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そして渋谷へ。アスファルトの質感とモノクロフィルムの粒子はいつもながら相性が良いと思います。センター街やスクランブル交差点はスルーして、渋谷駅西側の飲屋街へ向かいます。

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煙と油の匂いに「はぁ...焼き鳥食べたい」となりながらシャッターを切る。シャッタースピードが遅いぶん焼き手の動きが伝わりますね。

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最後はストリートミュージシャンを撮らせてもらっておしまい。ありがとうございました。

*2020/02/28 追記

なんとこのnoteづたいに写真に写ったドラマーさんとコンタクトを取ることになりました。すごい時代や〜



こんな感じで近頃モノクロフィルムで夜のスナップするのが楽しいです。暑さもだいぶ落ち着いてきて、スナップには最適な季節です。

光源の多い繁華街の夜はISO400でもじゅうぶんかな。ケントメアだけでなく、アクロスとか手持ちの低感度フィルムを積極的に増感していくのもありですね。増感するとフィルムの個性もより出てきそうですし。

問題は現像時間が長い(今回は18分...)ことと、ケントメアの場合はISO100と400で価格差がないことでしょうか。B&Hではどちらも3.95ドルなので、いろいろな環境で撮る可能性があるなら400を選んでおくのが無難かもしれません。

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TRI-Xを段階的に増感してみたnote。

TRI-X(400TX)をISO400〜3200まで増感してみたレポ

ILFORDのDELTAはこんな感じでした。

COLOR SKOPAR 35mmを夜のスナップで試してみる

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