四暗刻ちゃん

全てフィクションです

四暗刻ちゃん

全てフィクションです

マガジン

  • 女の話

    身の回りの、女の話

  • 1日14hはたらく限界アラサーリーマンのすごしかた

    1日14時間働く人に贈る美容、サプリ、家電、その他人生をお届けします。ただの商品レビューです。

最近の記事

テレビの話

「このままでいいよ。テレビ見ないし」 引っ越して数ヶ月、そんな感じで過ごしていた。 なにかがおかしいな、と違和感を抱えながら… なぜか自慢げに「テレビ見ないんだよね」「テレビとか無いわ」と言ってくる人がいるけど、正直かなりどうでもいい。 お前、何にも勝ててないからな。 私の場合、テレビを見ないと言っても全く見ないわけではなくて、1日のうち1時間くらいBGMとして流していたりする。 一定のトーンで喋りつづけてくれるNHKのニュースとか、盆栽がどうとか、そんなんである

    • 世界が滅亡するまで残り1週間

      ついに気が狂いそうになり休みを貰った。 世界が滅亡するまで1週間あったら何をするか * 古い友人に会いにいく 大学時代の友人に遥々会いに行った。 あらかた事情を話すと、上司に言われたようなことをシンプルに指摘された。 遺伝子の違いしか感じない女。 酷似した環境で育った私たちは、同じように母を亡くし、社会性のない兄弟を持っている。 取るに足らない違いなのだ、 だから、私たちは同情しない * 彼女と別れ、適当に調べた旅館に行くことにした。 折角だし温泉に

      • 友人と思っていた話

        帰りの電車で、友人を作るために奮闘しているという話を聞いていた。 社会人になってしまうと友人を作るハードルが途端に高くなる。これはコミュニケーション能力の問題じゃない。 むしろコミュ力の高まりとともに、会話の反射速度も上がる。 面の皮ばかりが厚くなって、話せない内容が増えていく。 会ったばかりの人と話せる内容なんて、 趣味の上澄みか、世間話、休日の過ごし方くらいである。 年齢や居住地のなどの個人情報はアウトだし、何がハラスメントになるか分からないし。 上澄みの話を

        • 寝起きの話

          2年ぶりに会った友人を目の前に、ネギの炒め物をつつく。毎朝5時に起きて活動開始するらしい。 「朝、目は開くけど、30分は体が動かないんだよね」 7時半に目を開けて…8時半に起き上がる 身体を硬くし、どこかのアナウンサーが豆知識を披露しているのをじっと目を閉じたまま聴く 寝ても寝ても眠たいのは起きたくないからで、別に睡眠時間は関係ないからね。 「四暗刻は、寝起き ブスそうだよね」 は?寝起きはブスだろ 「ブスの中にも良い悪いがあるじゃん」 「ないよ ブスはブス

        マガジン

        • 女の話
          6本
        • 1日14hはたらく限界アラサーリーマンのすごしかた
          1本

        記事

          あなたになりたい

          「そんなもんさぁ、なれるもんなら四暗刻になりたいよ」「俺も」 既に出来上がっているおじさんとおばさんが言う。私は酔っ払っておらず、銀杏を食べている。 「なってもいいことないですよ」 「あるよ!背も高いし」 背て… 「四暗刻ちゃんと結婚したい」「俺も結婚したい」 「えっ 絶対嫌です 大丈夫です」 「なんで…?」 「あなたがたは、私のことを好きではないからです」 「は?好きだよ!!?」 「一緒に住みたい!!!!」 「うーん、お世話は私がやった方がいいです

          あなたになりたい

          道端のマスクの話

          エレベーターの中にマスクが落ちていた。 道の端の方に落ちたマスクをよく見かける。適当に鞄に入れて、端から落ちてしまうのだろう。 朝駅に着くまでに3マスクくらい発見する時もある。 「マスク落ちてるとさ、」 最上階から1階まで降りる間、無口な後輩に話しかける。 「マスク落ちてるとさ、人間が何らかでマスクに変えられちまったのかと思わない?」 「いや………」「思ったことはないですね」 そう… 「靴下はなんで落ちてるんでしょうか」 「住宅街はともかく…ビジネス街に靴下

          道端のマスクの話

          飽き性な叔父の話

          私が叔父の家に滞在したのは小学5年生の時、土地柄か見栄なのか、それはもう豪華絢爛で、コナンに出てくる「今にも殺人が起こる館」みたいな住居だった。 寝室から食事をする部屋まで遠く、廊下は夏でもひんやりとしていた。 最後の晩餐みたいな長い机の端っこに座って、朝食が運ばれてくるのを待つ。 洋室に置かれた屏風はかなり洒落ていた。 椅子は10脚並んでいたが、私たちは端っこに座っていた。この長い机に人やモノが埋まることはない。 暖炉を使うことも、ないらしい。 余白が多い家。

          飽き性な叔父の話

          もしもの話

          「この仕事できなくなったら何する?」と向かいでパスタを食べる人が聞いてきた。 「リアルに40くらいで引退ですもんね」 「クレープ屋かな」 「私は、お花屋さんがいいな」 「公務員になればよかったかなぁ〜」 「この服で公務員できますかね?」 ムラサキ色のパーカーにAZTREK 90Sを履いていた。 「捕まるかもしれない」 捕まるの!? 「好きな服着て仕事したいって思って今の仕事してるんだけどさ」 「お金ないと好きな服買えないんだよ」 「初めて入った会社が襟付

          本気を出せない男

          「あの、キャシャーンみたいなマスクあるじゃないですか」 電車で7駅ぶん立ったままやり過ごす。私たち以外の乗客みんな、マスクをつけていた。 「キャシャーン?」「あれ花粉しか防げないんですって」 (キャシャーン?) 「Amazonで売ってるマスク、手数料5000円だって」「ハンパねえ」「手縫いですか」 「俺は…」 「コロナウィルスにそんな本気出せないッス」「対岸の火事です」「申し訳ないですが…」 (えっ いいよ謝らなくて…) (あと、本気出

          本気を出せない男

          寿命をあげたがる女

          昼休み、麺を啜っているとふと、立てかけられた写真と目が合う。 通称「遺影」、辞めた人をチェキで写したものである。みんなピン写でピースしている。 「山田さん、元気ですかね……ずっと元気でいてほしいな…寿命あげたいな……」「わかる こういう人こそ長生きすべき」「使い道ないし健康だから全部あげたい」 どうか、どうかみんな健康で長生きしてくれ…君たちの笑顔は最高だ… 寿命が任意でプレゼントできればいいのになぁ 「そういえば今年後厄なんだよね」 「抜けるんで

          寿命をあげたがる女

          暇なもんで

          水掻きの部分まで、手を念入りに洗う。真剣すぎて背後に立っていた人に気がつかなかった。 「髪、インナー以外も全部染めてるの?」 「ハイ 全頭青を入れてますね」 「…すごく ちゃんとしてるなぁ」 「そうですねまぁ 暇なんで……」 暇なんでとしか言えなかった。 化粧をしたり髪を整えたり、爪を塗ったり、これって暇だから以外にあるんですかね? 何事も、わずかの暇をほんの少しずつ作るんだよ。 心の余裕をかき集めることに慣れてる人間は強いぞ

          ブロッコリーの茎の話

          「えっ ここも食べるんだよ 食べないの」 ブロッコリーの茎を端によけて置いておいたら、横から声をかけられる。彼女に出会ってからブロッコリーの茎を意識的に食べるようになった。 「そうなの?」 「そうだよ!美味しいよ」 森の部分だけを細切れにしていたから、まな板が緑色だ。 偶々夕食を作るタイミングが同時になると一緒に作ってそれぞれの皿をシェアしていた。 実家ではブロッコリーが食卓に出たのはシチューのときか、洋食の付け合わせくらい。 あまり出現しなかった

          ブロッコリーの茎の話

          フォースを感じよ

          私がお願いして図形を作ってくれた人と、あーだこーだ言いながら調整していく。 「オッ………」 「感じる………!!」 「!? 何をですか」 「立体を」 ああ… 「…まだちょっと密集してますね 立体やめますか」 「うーん」 「…感じますか?」 「えっ バカにしてる! ?」 自分が言ったくせに… この人はよく「感じる」らしくて、今朝から足が痛いと騒いでいた時も 「組織が…何かおかしくなっていくのを感じる…」と言っていた フォースを感じすぎじゃない? かくい

          フォースを感じよ

          はたらく傭兵のためのフルメイク(コスメ編)

          2020年、俺はインターネットに恩返しをすることに決めた… ので、書きます。 以下、私のプロフィールです。 ・胃痛、頭痛、生理痛の三重苦を十字架として背負う30手前の女 ・PC冬ディープ、インナードライ この記事は、生活習慣が不規則になりがちな長時間労働者向けです。14hと書いてますが、13hでも15hでもそれ以上でも誤差です。 ゆめかわ肌とか、ちゅるん発光とかそういう次元の話ではなく、「退勤時に顔が死んでいない状態」「疲れをなるべく表に出さない」をゴールとしてい

          はたらく傭兵のためのフルメイク(コスメ編)

          背が高い男が好きな女

          10数年ぶりに会った同級生は立派に、それは立派にやっちまっていた。 5年付き合った男に浮気をされ、別れてからというもの迷子になっているのだという。 多くを確認せずに取り急ぎ付き合ってみるのだそうだ。 だから、職場も知らないまま別れたりもする。 身長は小数点以下まで知っているというのに… 大抵の30手前の女は、今までの経験から叩き出したセオリーをぶつけていくものだと思っていたが、 「どういう人がいいの?」 「う〜ん、背が高い人」 「えっ」 その場にい

          背が高い男が好きな女

          サプライズが好きな男と嫌いな女

          「付き合っている男がどうにかしてサプライズをしようとしてくる」 「仕掛けていいか、薄く確認してくるのがウザい」 「ヤダって言ってんだけど」 目の前の女はポテトをグサグサとフォークで刺しながら怒っていた。 私はそれを聞いて、(室内のあらゆる場所でクラッカーを鳴らすのもそれに入るのかな…)と考えていた。 当の彼氏はサプライズが好きらしい。 他人を巻き込んだりするようなタイプの… 一方彼女は、第三者が関与するサプライズが苦手なのだという。 よくありがちな、店員がケーキ

          サプライズが好きな男と嫌いな女