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1st演歌バッグにさよならを

先日これはまさに演歌バッグだったんだなと思う鞄を手放した。

*今更説明不要な、自問自答ファッション通信の「演歌バッグ」

私の1stシングルバッグは、Chloeのものである。28歳のときに買った。

入籍したものの仕事の都合で夫とは暫く別居婚だったのだけど、私が退職し夫の住むところへ引っ越すこととなった。
仕事は忙しくて、部署の女性は1人、毎晩23時とか24時に帰宅する生活。土日も容赦なく電話で呼び出され、残業代はなし。月に2回はある飲み会は午前4時まで付き合わされる。今思うとかなりブラック上司だったのだけど、そこからの卒業!縁もゆかりもない知っている人が誰もいない場所への引越し!そもそも結婚である。

よし、バッグを買おう。

ごくごく自然にそう思って、雑誌を頼りに色々考えた(自宅にインターネットを引いていなかった)。あの頃は好きなファッションやアイテムを切り貼りするのが趣味だったので、そのスクラップブックも大いに役に立った。最終的にクロエとバレンシアガとで迷った気がする。

クロエに決めて型と色を決めて、まず有楽町西武に見に行った(当時、私の中で最上級のデパートだった)。そこで出会ったモデルに一目惚れしたものの希望色がなく「松屋銀座に在庫ありますよ」と教えて頂き、その足で松屋銀座に向かい購入した。価格は128,000円。店員さんの白い手袋も、白地に薄いピンクでChloeと書かれたショッパーも、その袋がずっしり重かったことも、緊張感と達成感で家に帰るまでずっとドキドキしたことも、今でも覚えている。

買ってから3-4年くらいは大体いつも一緒だった。絶妙なグレージュの色、切り抜き??から覗くゴールド、コロンとした形、柔らかい革の手触り。全部大好きで、ワンピースやスカートにも、デニムにも何にでも合った。合わせていた。飛行機の中でフライトアテンダントさんに「クロエ可愛いですよね」なんて話しかけられたこともある。

それでも色々なバッグが流行り廃れる中で、やっぱりちょっと古いかな…と思うようになり、重いな…となり、いつしか手に取らなくなった。クローゼットを整理するたびに目には入るのだけど、手放す勇気がなく、布の袋に入れてそっと戻すことの繰り返し。

だけど、先日断服式でバッグを手にしたときに「あぁ、もう大丈夫だな」と思えたのだ。ただ静かに「ありがとうね」という気持ちになった。
だからさよならすることにした。

綺麗に拭いて、写真を撮って、こうやってnoteを書いて。今見てもやっぱり可愛いなあと思う。私の頑張ったで賞なバッグ。

残念ながら暫く2ndシングルバッグを買う予定はないのけれど、いつでも歌えるように、準備しておきたいと思う。私らしいステージに立つその日を楽しみに。



いい風がふきますように✤