皿を割りたい

一度だけ家の皿を割った
部屋の廊下が陶器の破片ばかりになった
あの時はなににぶつけたらいいか分からなくて
皿を割ろうと思った
一枚割ったとき、罪悪感でいっぱいになった
「お皿を割ってしまった」

彼と喧嘩した
持って帰ってもらう用の袋にお揃いのお茶碗とコップをいれていたけど、皿を割っているうちにぶつかって割れた

すごく悲しかった

それから割っていいものを選別して割った
おむすびをにぎるときに使っていた少し深い皿

わたしはそのとき、割る皿を選ぶ冷静さがあったようだった

皿を投げつけるのは気持ちがよかった
悪いことをしてるのは分かっていた

彼が来て、破片を片付けていた

わたしは破片で自分の手首を傷つけていた

「こんなことさせてごめん」って彼が泣いてた

わたしは今、ふとしたときに皿を割りたくなる

皿を割りたい