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#04【NZ旅行記】女子サッカーW杯ときどき珈琲

サッカーと珈琲をとことん楽しむ旅行記。
#01 はこちら。

首都ウェリントンを離れ、オークランドに向かう。

昨夜の試合会場リージョナル・スタジアムが見えた。
NZ航空 機内サービスの珈琲とクッキー。
珈琲に温めたミルクを注いでくれる。

女子サッカーといえば、アメリカ!

アメリカ代表は、強く、かっこよく、女子サッカー界のリーダー的なイメージがある。

初めて女子サッカーワールドカップが開催されたのが1991年。2019年までの8大会でアメリカは、優勝4回、準優勝1回、3位3回の成績だ。男子サッカーでいうなら、ブラジル代表のような位置付けだと思う。

せっかく現地でワールドカップを観るなら、アメリカ代表を、そして、女子サッカーのアイコンともいえるミーガン・ラピノー選手を見たいと思っていた。

ちょうど、日本vsスペイン戦の翌日にアメリカの試合があり、スケジュールも移動も問題なさそう、ということで、オークランドにやってきた。

オークランドの街並み

オークランドに着くと、アメリカの試合を観に行くのだろうと一目で分かる人が大勢いた。様々な年代のユニフォーム、U.S.A.と書かれたトレーナーやキャップ、国旗をモチーフにしたマフラーやスカーフ。見ているだけで楽しい。子どもからおじいちゃん、おばあちゃん世代まで幅広い年齢層のファンを見かけた。

はやる気持ちを抑えて、一旦ホテルに荷物を置き、バスでスタジアムに向かった。

ポルトガルvsアメリカ

試合会場のイーデン・パークは、ニュージーランド最大のスタジアムで、ラグビー、とりわけオールブラックスの聖地と呼ばれている。その理由は、オールブラックスがこのスタジアムでラグビーワールドカップの決勝を2度戦い、2度優勝しているから。そのような伝説のスタジアムで試合を観れるだけでワクワクする。

スタジアム外観は、これしか撮っていなかった

スタジアムに近付くにつれ、アメリカサポーターが増えていく。ポルトガルサポーターに比べると圧倒的に多いし、装いが皆ステキ!
星条旗をモチーフにすると、絶対に可愛くなるし華やかだ。赤白の横縞と青、星の組合せは、なんかずるい。思い思いの服装で、みんな楽しそうなのがいいなと思った。

一方、私たちのようにどちらのサポーターでもなさそうな人も意外に多かった。休日のショッピングセンターに居そうな人たちが、そのままスタジアムにやってきたという感じだった。

大会公式のU.S.A.ニットマフラーを買おうと意気込んでいたが、FIFAのストアは昨日と打って変わって大行列で、目当てのマフラーは完売していた。
何でもいいからアメリカのグッズを買いたかったが、この行列に並ぶとキックオフに間に合わなくなりそうだったので、諦めてキッチンカーの列に並んだ。

キッチンカーで買ったハンバーガー

まもなく試合が始まろうとした頃、斜め前方にアメリカサポーター3人組がやってきた。3人とも同じ髪型(かつら?)、サングラスという出で立ちで、大きな横断幕を手すりから垂らして素早く結びつけた。裏から透けて見える感じだと人物が描かれているようだった。
国際大会では幕の掲出は厳しく、政治的なメッセージ、試合に関係ない人物は禁止とされている。

それは誰?
アメリカ女子サッカーの功労者?

女子サッカーの歴史を知らなさすぎて、その人物が誰なのか分からなかった。

しばらくすると、IDカードをぶら下げたスーツ姿の女性がすごい勢いでやってきて、ものすごい剣幕で注意した。
3人組が、やおら幕の紐をほどき始めた。絡まって取れません……というふりをしているようにしか見えなかった。それは紛れもなく「サポーターにおける遅延行為」だった。

その直後から試合終了まで、彼らの横に警備員が配置された。

キックオフ後、わりとすぐに「USA!USA!」とスタジアム全体でコールが沸き起こった。アメリカサポーターと共に「USA!」とコールして盛り上がりたいという小さな夢はすぐに叶った。
たいくつな展開になると観客席でウェーブが始まるのはワールドカップあるあるだが、同じように「USA!」は何度もコールされた。

なんか……、思っていたアメリカと違う……。

グループEは、アメリカとオランダが勝ち点4で並び、ポルトガルが勝ち点3で3位だった。アメリカはポルトガルに敗れた場合、グループリーグ敗退となる可能性もあり、負けられない戦いのはずだったが、決勝戦にピントを合わせて調整中なのかと思うようなコンディションだった。何本もシュートを放つもなかなか決まらずにいた。

この日一番スタジアムが沸いたのは、今シーズンで引退を表明しているラピノー選手が交代で入った時だった。ピッチ脇に立つだけで、こんなにも会場全体を熱狂させることが出来る選手はなかなか居ない。その熱量は彼女の功績と比例しているのだろう。

ラピノー選手が入った後も、状況は変わらなかった。

後半アディショナルタイム、ポルトガルに最大のチャンスが訪れた。ポルトガルサポーターが一番元気になった瞬間でもあった。
ポルトガルの選手が強烈なシュートを放ち、ゴールに吸い込まれていくように思えたが……、ポストに弾かれた。

アディショナルタイムに何かが起こりそうな雰囲気はあったが、試合は0-0で終了し、アメリカが2位でグループリーグを突破した。

グループステージ ポルトガル0-0アメリカ
観客 42,958人

試合後ボーっとピッチを眺めていたら、試合中ずっと警備員に監視されていた3人組に写真を撮ってと頼まれた。そして「お前も入れよ」と夫が呼ばれた。

謎の3人組と夫

アメリカサポーター、ファンが作る自由な空気は、心がほぐれる感じがした。大げさだけれど、お風呂につかったような感じ。
同じような居心地の良さが、アメリカの女子サッカーリーグにもあるのかもしれないし、だから足を運ぶ人が多いのかもしれない。
WEリーグが開幕した頃、「若い女性にたくさん来て欲しい」というメッセージがちょっと辛かった。自分は新しいファンだけれど、年齢的に対象外で申し訳ないと感じたから。
アメリカサポーターを見ていると、そんなことを気にする必要はないし、好きなように楽しめばいいと思えた。

いま目の前にあるサッカーを全力で楽しめたらそれだけで最高!

珍道中は、#05 へつづきます。


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