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脳震盪

こんばんは。先日クラブからリリースがありましたが、4度の脳震盪により引退することになりました。

脳震盪が危険という認識は広まってきていると思いますが実際どうなの?というところは知られていないことの方が多いと思うので脳震盪を経験した自分だからこそ書ける脳震盪のリアルについてシェアしていきたいと思います。
スポーツ現場に関わる指導者、トレーナー、ドクターの方の参考になれば幸いです。

先に言っておきますがめちゃくちゃ長いです。

経過から現在の状態

脳震盪を起こしてから1ヶ月以上たった今の状態ですが、最近やっと日常生活で頭痛が出ることはほとんどなくなったという感じで、つい最近までは一日通して頭痛が出ない日は全くない、15分以上の長めの歩行ですら頭痛がでてしまう状態でした。

日常生活で頭痛は出なくなりましたが、運動はまだまだできていません。
・ランニング、下半身の筋トレ❌
・上半身の筋トレは相当余力を残した状態でなら可能
・ウォーキングは問題なし

こんな感じで少しでも負荷が上がるとまだ頭痛が出てしまいます。急にこんなに運動をしなくなると日に日に不健康になっていく気がして少しストレスが溜まります。

身体の変化

・持久力
特に1回目と2回目の時に感じましたが持久力が急に落ちます。脳震盪で持久力が落ちるという情報を調べても見つからなかったのでもしかしたら自分だけかもしれませんが相当持久力が落ちました。しかも中々戻らない。

脳震盪1回目(2021年11月20日)
脳震盪2回目(2022年4月30日)

この2つのグラフは最大酸素摂取量(持久力の指標)を表しているものですが、1回目の脳震盪(2021年11月20日)、2回目の脳震盪(2022年4月30日)の後にどちらも大きく低下しています。しかも元に戻るまで時間がかかっています。1回目に関しては冬の長期オフでめちゃくちゃ走り込んでやっと元に戻りました。2回目は2ヶ月かけても戻らず、元に戻る前に他の怪我で長期離脱しました。

・身体のバランス
感覚的なところで言うと、体のバランスが一気に崩れる感覚がありました。

2回目の脳震盪を起こしてからは常に首周りから肩甲骨にかけて張っている感覚がずっとあり、サッカーのプレー中は動きづらくなっている身体を無理やり動かしてプレーしている感覚でした。思い通りに身体が動かないってこういうことなんだなとか思ってました。

特に3回目の脳震盪(2023年11月12日)を起こしてからは既に崩れていた身体がより一層崩れてしまい、身体のいろんな場所が痛み出し、ほとんどプレーができませんでした。試合に出場した2試合(天皇杯予選2回戦とその前のトレマ)も足首とふくらはぎに痛みを抱えていてテーピングをガチガチに巻いた上に痛み止めを飲んでプレーしていました。そんな状態で良いプレーができるはずもなくどちらの試合でも途中で替えられています。

ここは持久力や筋力のように可視化できないものだと思うので特にATの方で選手のリハビリを管理する際には意識してあげてほしいなと思います。

・眼の機能
ピント調節機能が落ちました。最初はシンプルに目が悪くなったのかと思い眼科に行ってコンタクトの度を上げようとしたら上げる必要はないと言われました。
遠くにある看板がぼやけて見え、はっきり見えるようになるまで1秒ほどかかったり、副審をやっている時にボールの移動に対して見る場所が変化しプレーがはっきり見えるようになるまで時間がかかるのでやりづらさを感じていました。

復帰までの流れ

ここからは実際に脳震盪を起こした時のリハビリの流れを書いていきます。

一応JFAが定めている復帰プロトコルでは最短で1週間で復帰できることになっていて、実際プロサッカー選手では1週間で復帰している選手もいますが彼らの回復力が凄すぎるだけで個人的な感覚だと普通は1週間で復帰は不可能だと思います。実際3回リハビリしていますが1週間で復帰はできませんでした。
W杯直前に脳震盪を起こして1週間後にハイパフォーマンスを見せていた遠藤航は僕からしたら本当に考えられないです。

JFAが定める復帰プロトコル

ここからは1,2,3回目のリハビリの流れを書いていきます。

1回目はあまり覚えていませんが、3週間くらいかかった気がします。当時1年生でまだトレーナーの人と信頼関係を築けていなかったことや、脳震盪への知識がなかったこともあり適当に自己流でリハビリして頭痛が出てを繰り返していた記憶があります。1回目だったのでそれでも3週間程度で落ち着き復帰もできました。

2回目はリーグ戦開幕の2週間前でチーム内で定位置を確保できていなかったので焦りながらリハビリをやってしまい、逆に復帰までの時間がかかってしまいました。
文だと読みづらいと思うので箇条書きで書きます。

最初の1週間
・復帰プロトコルを一日1ステージのペースで1週間で復帰しようと計画するもステージ4(ポゼッションメニュー)で頭痛が出て翌日以降は対人以外のメニューでリハビリするも頭に違和感が出て休むべきか迷いながらもリハビリしていた。

2週間目
・引き続きランニングを中心にリハビリしていたがペース走やインターバルなど強度を上げると頭痛が出ていたので低強度の運動のみ、この週の週末にIリーグ開幕戦があった。

3週間目
・開幕戦を見て思ったよりチームがあまりうまくいってないのを感じ、焦らなくてもすぐにチャンスは来ると考え割り切って自分のペースでリハビリすると決めた。
この週も低強度のジョギング、動き確認程度のアジリティ、パスコンのみ。この週は頭痛なし。

4週間目
・週初めに少し強度を上げてインターバル、サーキット系のメニューで追い込み頭痛が出なかったため、週半ばからポゼッションまで参加。頭痛なし。

5週間目
・完全復帰

等間隔で段階的に強度を上げるよりもちゃんと低強度の運動を時間をかけて蓄積させてから強度を上げる方がスムーズに復帰できそうだなとこの時に感じました。
例えば2週間かけてリハビリを計画するなら最初の10日間は割り切って有酸素運動のみ、残りの4日間で完全復帰までの段階を踏んでいく、みたいな感じで。

参考にしてみても良いかもしれません。

3回目は天皇杯予選のちょうど4週間前だったので3週間で復帰し1週間前のトレマで調整して公式戦を迎えるというスケジュールで行い、各ステージで3日ずつかけて復帰プロトコルをこなすという計画でチームのドクターと話していました。
復帰に3週間かけられるので2回目の時ほど焦ってはいませんでしたが、結論から言うとこのスケジュール通りに進めることはできませんでした。

最初の1週間
・月〜水は絶対安静、木曜からウォーキングやバイクを行おうと計画していたが、通学時に15分自転車を漕ぐだけでも頭痛が出てしまい、金曜までステージ1で土曜からステージ2に移った。
・ステージ2の有酸素運動もジョギングやウォーキングだと多少目線ががブレることで頭痛が出そうだなという感覚があったため頭を固定して行えるエアロバイクを選択、この時は頭痛なし。

2週間目
・前の週の土日バイクを漕いで頭痛が出なかったのでジョギングを開始するも頭痛が出たため、火曜〜木曜までジョギングは行わずバイク、金曜からジョギングを再度開始し頭痛なくこなせた。
・2週間かけてステージ2までしか進んでいない(しかも何度か頭痛が出ている)ので焦り始めていた。

3週間目
・この週の練習試合に短時間でも出たかったため、月.火でペース走とパスコン、水曜にポゼッションまで参加、金曜にフルメニュー消化で計画。
月.火のトレーニング後に頭痛が出ることはなかったが、火曜の夜に頭痛と吐き気などの症状が出てしまい、3日ほどそれが抜けなかったため、この週はほとんどトレーニングできず。
・病院にも行ってMRIを再度撮るも異常はなく、出来る範囲で強度を上げていくように指示される。

4週間目
・前の週の練習試合に出られなかったが、練習でアピールすれば試合に出れるかもしれないと信じ、3週間目に立てた計画をそのまま遂行。
・意外と頭痛なくこなせた為金曜の練習から完全復帰。出場はなかったが公式戦もベンチ入り。

こんな感じで自分はそれぞれ1ヶ月程度リハビリにかかっています。
プロトコル上だと1週間で復帰できるからと復帰のスケジュールを1週間で考えるのは少し無理があると思いますし、メンタル的にも良くないかもしれません。



今回は脳震盪を経験したからこそ書ける脳震盪のリアルについて書きました。完全に経験ベースで書いているので全ての人に当てはまるとは限りませんが、参考程度になってもらえたら嬉しいです。

脳震盪関連で何か聞きたいことや相談などあれば手助けできるかもしれないので連絡ください。

Q&A

Q脳震盪の治療でおすすめの薬などあるか

A自分は脳震盪の治療で薬を処方されたことがないのでわかりませんし、そもそも自分は医者でも薬剤師でもないので安易に薬をおすすめすることはできません。
ただ、大学3年生の時に受けた授業で脳震盪の治療においてクレアチンというサプリメントを摂ると良いと習ったので試しても良いかもしれません。個人的には効果をあまり感じませんでしたが。笑

https://www.futuremedicine.com/doi/epub/10.2217/cnc-2016-0016

↑脳震盪に対する治療もしくは予防策に対するクレアチン摂取に関してまとめた論文です。

注意点としてはクレアチンは水を引き込む性質があるので摂取し始めると水を引き込んで体重が増えます。リハビリ期間は消費カロリー普段より少なくなることで体重が増えやすい状況になると思うのでそれに加えてクレアチンまで摂取すると復帰後に大幅に体重が増えてしまう可能性が高くなるので個人的にアスリートにはあまりオススメしません。

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