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成功はシンプルから始まる理由

成功するための原理原則とはなんだろうか?こんな命題に数々の先人や書籍が挑んできました。成功の定義が人によって異なる以上、原理原則を統一的に語ることはナンセンスだと思います。しかしながら、個人的には一貫して一つのものがあります。それは、「シンプル」というものです。

冒頭のヘッダー画像は僕の個人サイトの画像です。実はこれ、僕の座右の銘にもしているほど大切な言葉なのです。今日は、「シンプル」がいかに大切かについてお話したいと思います。

1.偉人は皆シンプルにこだわる

偉人という言葉も誰をイメージするのかで定義が難しいものです。そこで、太古の昔の人物ではなく、近年イメージしやすい方からシンプルさの学びを得たいと考えました。

まずは、以下の4人の偉人の名言をご覧ください。

** 「成功はシンプルから生まれる」** 
by セルゲイ・ブリン(Google共同創業者)
**「シンプルにするっていうのは、複雑である事よりずっと難しいんだ」「シンプルを生み出すには思考をシンプルにしなければならないからだ」「しかしそうする価値はある」「そこに到達できれば、山をも動かせるからだ。」 ** by スティーブ・ジョブズ (アップル創業者)
** 「バカな奴は単純なことを複雑に考える」
「普通の奴は複雑なことを複雑に考える」
「賢い奴は複雑なことを単純に考える」 **
  by 稲盛和夫 (京セラ・KDDI創業者)
** 「本当に大切な1%に集中すること」
「シンプルに考えなければ何も成し遂げられない」 **
  by 森川 亮 (元LINE社長、現C CHANNEL社長)

この4つは常に僕がノートに記述し、持ち歩くほど大切にしている”バイブルワード”です。

考えてみると、偉人たちは皆、実にシンプルにこだわっていることに気づきます。企業でいうと、経営の成功の要諦は?と聞かれて「シンプル化です!」と答えても、きわめて地味な話で抽象度も高いためメディアではあまり語られないのでしょう。

報道するビジネス系メディアも、もっと派手な商品開発やマーケティング施策、M&Aなどが中心で、「シンプル化」の話を報じることはほとんど見かけません。

ただし、前述したように偉人たちは「シンプル」というものを仕事や経営のど真ん中に置き、大切にしていたという事実だけは受け止めたほうがいいのではないでしょうか?

2.なぜシンプルが大事なのか?

それでは、なぜシンプルが大事なのでしょうか?

理由は、本質を見極めるため。
もっといえば、自分を信じるため。

これが理由ではないかと僕は読み解いています。

なぜなら、僕たちの脳は放っておくとあらゆる雑念が入ってきます。大量の情報、多面的な思考、他人の意見、世間の風潮、そこに自分の心のモヤモヤ、ヤキモキが入ってきます。すると、頭の中にゴミがたまり、何が本質かが見えにくくなります。

本質が見えにくくなると、良質な「決断や意思決定」が難しくなります。

さきに挙げた偉人は、みなビジネスリーダーです。特にビジネスリーダーの仕事で大切なことは「決断/意思決定」することです。もちろん、新規事業、資金調達、人材採用など多面的に仕事が降りかかってきますが、その根っこは全て「決断/意思決定」です。

だからこそ、ビジネスリーダーは「決断/意思決定」をいかに効果的にしやすくするかの環境づくりが大切なのです。環境づくりとは脳内をシンプルにすることに他なりません。

一説によると、先に挙げたスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)、マークザッカーバーグ(Facebook創業者)などは日常生活の中から服を選択するという行為をやめていたそうです。

その理由は、良質な「決断/意思決定」をするためには、毎日、「今日はどんな服を着て行こうか?」などと本来力を入れるべきこと(「決断/意思決定」)以外のテーマで脳への負荷をかけたくない。そんな意向からいつも同じ服にしたというお話です。

もちろん、「服を選ぶのをやめる」というのは極端な行為だとしても、これほどまでにシンプルにこだわり、良質な「決断/意思決定」によって大きな成果を出そう(世界に大きなインパクトを出そう)としていたのでしょう。

3.シンプル化とは単なる単純化ではない

シンプルにする行為とは単純にする行為(単純化)というわけでは必ずしもありません。たとえば、新商品のプレゼンを世間にリリースする際、単純で平易な言葉づかいをすれば必ず商品がヒットするというものではありません。

重層構造を持つ組織よりも、階層を減らし単純化した方が絶対に機能的で組織の力が最大限引き出るとは限りません。もちろん、スピード化の点では階層を減らした方が望ましいものの、全ては企業の事情により異なります。

シンプル化とは、ムダや雑念を不要な情報・機能をそぎ落とし、「本質をあらわにする作業のこと」です。そのため、単に単純にするというだけでは本質が浮き上がらないか、付加価値も見えてこないリスクがあります。

自社や自分にとって何が重要で何が重要ではないか、これを仕分けすることによって、はじめてシンプル化が可能になります。

たとえば、経済新聞やニュース記事を見て単に「要約」することは単なる”単純化”です。企業の事例なら、記事の中から不要な情報をそぎ落として、成功の鍵だけを「抽出」することが”シンプル化”という違いがあります。

「仕分け」の大切さは以前のnoteにも投稿していますので、そちらもご参照ください。

4.シンプル化は思考の整理が鍵

「シンプル化は、仕分けをすることで本質を抽出する作業でもある」と先ほどお話をしました。

このことに気づいたのは、僕が起業2年目でまだ食えない時代まで遡ります。25歳で起業した際は、パソコン教室の展開やインストラクターの派遣業を手掛けていました。その後、業績悪化で事業をクローズしてから”コンサルまがい”のことを始めましたが・・・

26歳で「僕はコンサルです!」と名乗ったところで、”ノウハウなし、経歴なし、コネなし、カネなし”の4重苦ですから、「若い兄ちゃんに誰が経営の相談をするねん!」とナニワの経営者によく門前払いされていました。(当時は、大阪出身のため大阪で起業)

そこで、競合他社(コンサルタント)を分析したのです。たいていは、特定分野で業績や経歴を積み重ねているか、独自の理論で展開しています。真っ向勝負しても到底太刀打ちできません。

ところが一つだけ弱点がありました。

それは、他社の提案はみな”小難しい”ということです。

素晴らしい実績と経験からくる理論や提案内容は立派に見えても、それが顧客課題にジャストフィットするかといえば、「どうも玉虫色に見えて実行して結果が出るのか不安」という顧客の声をたくさん聞いたものです。

そこで、僕は逆張りで「シンプル化」の特徴を出そうと考えました。いろいろと顧客に小難しい話を提案せずに、「一番の課題はコレ、対策はこの1点をまずは深掘りしましょう、そうすればこれくらいの時期にこのような成果が出ます」という切り口にシフトしました。

すると、驚くほどシンプル化の切り口が顧客に刺さり、受注連発の快進撃が始まっていったのです。僕が食えるようになった突破口は「シンプル化」を愚直に追求していったことだったのです。

それ以来、高度な理論を振りかざさず、もちろん単に単純化した話をするわけでもなく、クライアントの思考を整理して本質を共に見極めていくスタンスを大切にするようになりました。

この過程で、クライアントから「鈴木さんは、コンサルではなく”思考の整理家”だよね」と評価をいただき、今の思考の整理の追求につながっています。

5.井上ひさしに学ぶシンプル化の要諦

劇作家の「井上ひさし」さんは素晴らしい言葉を発せられています。

** 「難しいことを、やさしく」
「やさしいこを、深く」
「深いことを、おもしろく」**

この言葉を聞いたときに、衝撃が走りました。

この言葉ほど、仕事で使えるシンプル化を的確に語っている表現はないのでは?

単純化でもなく、そうかといってシンプル化にもとどまらず、シンプル化した後にどう昇華し行動につなげていくのか。そんな風に僕は解釈しました。

シンプルにしただけではなく、それを深く具体的にする、行動も深めていかなければ日々の仕事にはなんのインパクトももたらさない。さらに、最終行はいいですね、「深いことを、おもしろく」するというユーモアのスパイスを入れている箇所です。

この「おもしろく」という言葉は、笑顔を忘れずに自分を追い込みすぎてストレスをためないようにね!というニュアンスを感じます。あるいは、「面白い=独自性」があるという解釈もできます。シンプルに捉え、具現化し、最後は独自性に昇華していくこと。

井上ひさしさんの言葉の背景となる想いは知る由もありませんが、僕なりの解釈を付け加えることで、シンプルライフに潤いができる。そう感じました。

6.まとめ

放っておくと、僕たちの頭はゴチャゴチャし、良質な「決断/意思決定」ができなくなります。

仕事からプライベートに至るまで、シンプルにすることは人生に潤いを与えてくれる「決断/意思決定」につながる。

そう信じ、シンプル化にはこだわっていきたい(いや、こだわるべき)と思います。

著者・思考の整理家 鈴木 進介



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