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なぜ、思考の整理はダイソーの100円ノートが良いのか?

最近、ダイソーの文房具のクオリティが上がっていると思うのは僕だけでしょうか?高級家電メーカーの”ダイソン”ではなく、100均ショップのあのダイソー(DAISO)のことですよ。今回は、思考の整理家である僕がダイソーの「思考の整理用ノート」についてご紹介したいと思います。

1.整理の基本は「手書き×見える化」

その前に、思考の整理をするときの基本をまずは確認しておきましょう。

以前、僕はいくつか基本のお話をnoteでもご紹介してきました。頭の整理のはじめの第一歩目は、「手書きで見える化」することです。頭の中に浮かんでいる情報や選択肢を書き出すことで、物理的にも頭の中が見える状態になります。見える状態になりさえすれば、あとは感情を挟まずパズルを並べ替えてつくるようなゲーム感覚で整理がしやすくなります。

書き出す際は、スマホではなくノートかメモを使って「手書き」にしましょう。

手書きの効用について東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏が脳の活動を調べたところ、手書きの場合は脳の前頭前野が活発に働きますが、PCやスマートフォンを使って文章を書いた場合は、ほとんど働かなかったとのことです。

また、順天堂大学医学部の小林弘幸教授氏は、手書きの日記をつけると自律神経が整い、心身をコントロールできるようになるという説も話されています。

以前、僕自身もノートへの手書きが良いか、スマホでのメモでも良いかの最終決着という切り口のコラムを書きました。こちらもぜひご参照ください。

というわけで、まずは頭の中が見える状態にして、整理する素地を作るためにも手書きしましょうというお話です。

2.ダイソーの2種類の思考の整理ノートとは?

物理的にも頭の中を見える化した後は、紙の上で整理していきます。ここでいう、整理とは分類分けのことです。ランダムに並べられた情報を眺めていても、頭の中が結局、堂々巡りしてしまって整理には遠く及びません。以前、「3ステップ式脳内整理術」という投稿でも情報の「仕分け」の大切さをご紹介しました。

難しいのはここからで、書き出した情報をどう「仕分け」していくかという点です。ここでダイソー製のノートは2種類の分け方をテンプレート化した商品として売り出しています。

「SMARTWORKING」というシリーズで、①マンダラチャート式、②マトリクス式の「仕分け」方式を採用しています。シンプルにいえば、マンダラチャート式でやるべきことのアイデアや具体策を整理(発散)し、マトリクス式で何が一番重要なのか絞り込むための整理(収束)ができるようになっています。

グレーの表紙が「マンダラ式」、黒の表紙が「マトリクス式」です。

両方ワンセットで使うのも良し、整理用途に応じていずれか一方を使うのも良し。シンプルに2つの仕分け方式を使いこなすだけでも、思考の整理力が身につきます。

3.マンダラチャート式とは何か?

ここでマンダラチャート式(マンダラ式)とは何かの基本を押さえておきます。マンダラ式とは「3×3」で9分割に仕分けされている形式です。

主な用途は、アイデアを発散する(広げる)ことです。しかも単にアイデアのリストアップするのではなく、細分化することで実効性があるアイデアのイメージがしやすくなることに特徴があります。

使い方は9マスの真ん中に大きな目標や整理すべき大テーマを記述します。次に、まわりに必要な要素を8個に細分化して外側のマスに書き出していきます。これで1つの整理表が完成します。外側に細分化した要素は、さらに次の9マスを使って細分化していけば、単なるアイデアにとどまらずに何をすればよいのか行動が明確になります。

著名人で言えば、大谷翔平が高校1年生の時に、野球部監督・佐々木洋さんから教わり整理したことで有名です。

※出典 ダイヤモンドオンライン『大谷翔平の「目標」にダメ出しする理由』
原田教育研究所社長 原田 隆史氏提供分から引用

アイデア出しにとどまらず、目標設定、行動計画、キャリアプランなど多様な場面で使える点がメリットです。大谷翔平というスーパースターを生み出すほどの実績は、思考の整理法として大変有効なことを物語っています。

4.マトリクス式とは何か?

今度は、マトリクス式の基本を押さえておきます。マトリクス式とは、縦横線を引いて紙を十字に区切って4つの領域に整理する形式です。

主な用途は、選択肢の絞り込みによって決断(意志決定)するとき、優先順位をつけるときに有効です。

代表的なマトリクス例は、「(1)実現度・効果度マトリクス」、「(2)緊急度・重要度マトリクス」です。これは僕自身も普段使いの思考整理法として使っています。

「(1)実現度・効果度マトリクス」

いろいろとアイデアを出したものの、うまく整理できない場合にこのマトリクスに整理するとしましょう。たとえば、「①簡単に実現して効果が大きい選択肢」は真っ先に残し最優先で、「④実現は難しいし効果が小さな選択肢」は真っ先に捨ててください。取り組むだけ時間がもったいないからです。さて、議論が割れるのは②と③です。

僕の考えは、②には「実現は難しいが効果が大きい選択肢」を優先します。心理的には、すぐにできそうな「③実現が簡単で効果が小さい選択肢」を選びたくなるものです。しかし、実現はすぐできても効果がなければ意味がありません。あくまでも、効果が大きいことを起点に整理していきましょう。

実現性は、人・金・時間などの条件を加えれば後でいくらでも上げることが可能になるからです。

「(2)緊急度・重要度マトリクス」

やるべきことの優先順位を緊急度と重要度で整理する方法は、時間管理術の世界でよく語られます。僕も実際にこのマトリクスで優先順位をつけてtodoリスト化しています。

整理の考え方はこうです。「①緊急度が高く重要度が高い選択肢(タスク)」は、有無を言わず最優先で取り組む選択肢として扱いましょう。次に「④緊急度も重要度も低い選択肢(タスク)」は真っ先に選択肢から除外して大切なことのみに集中できるようにしてください。

一方、「②緊急度は低いが重要度が高い選択肢(タスク)」とは難しい日本語表現ですね。世の中には、すごく急いでないけど大切な仕事もあるものです。

例えば、新商品の開発、マニュアル化、研修、人間関係づくりです。これらがなくても今日明日に生活や仕事が行き詰まることはありません。だからといってないがしろにでもできないですよね。決して先延ばしせずに②も重視してください。

「③緊急度は高いとされるが、実は重要度は低い選択肢(タスク)」はクセモノ扱いです。どういうことかといえば、〇月〇日までに急ぎで報告書を作れ!とう指示を受けたとしましょう。でも、それって必要?そもそも何のため?などと目的を確認していくと意外に重要でないケースもあります。報告書は前例主義の作業というだけで、それより10分でもミーティングした方が次の展開を考えやすいのでは?と解釈していきます。

これら2種類のマトリクスをつかいこなすだけで、意思決定から行動計画まで幅広く、実効性がある思考の整理が可能になるのです。

5.発想・意思決定・行動の3点セットで整理

ダイソーがどういう意図のもと、この2種類の仕分け方式を商品化したのかは現時点では不明です。しかしながら、僕の思考の整理ロジックからすれば、理にかなっています。

「3.マンダラ式」で発想や選択肢の幅を広げ、「4.マトリクス式」で意思決定から行動の優先順位づけまでを行います。このような使い分けをするのであれば、単なる思いつきや一過性の感情の高ぶりに終わらず一貫して整理が可能になります。言い方を変えれば、どの段階においても頭のゴチャゴチャを予防し、シンプルに本質を捉え続けることが可能になるということです。

もちろん、3点セットを一気通貫する「2冊づかい」は面倒だという方もいるでしょう。その場合は、課題に応じていずれか単体の「1冊づかい」でも良いでしょう。

また、マンダラ式やマトリクス式が必ずしも整理の際にジャストフィットしないのでは?そう感じることもあるでしょう。ノートの枠組みに合わせて整理することが目的ではなく、あくまでも枠組みの形式は手段にすぎません。

そのため、自分にとってジャストフィットする整理方式を持っているのであれば、無理してこのノートを使わず自分のやり方に自信を持ちましょう。

もし思考の整理の型を持ってないという場合は、まず今回ご紹介しているノートから始めてみることをお勧めします。”思考の整理家”を名乗っている僕の場合は、様々な思考の整理パターンを頭の中にすでに持ちあわせています。

しかしながら、そんな僕でもマンダラ式やマトリクス式など2種類に絞って整理することは、雑念に惑わされずシンプルに本質を捉えやすくなるため、このノートが有益だと考えています。

6.思考の整理は枠組みが全て

思考を整理する行為に、頭の良し悪しはまったく関係ありません。一般的なビジネススキルの有無やもちろんセンスなどもまったく関係ありません。整理の「枠組み」(フレームワーク)のパターンをどれだけ知っているか?これだけです。

たとえばゴミの仕分けをするときに、可燃物と不燃物、ビンとペットボトルの仕分けなど高度な知識は不要なはずです。燃えるものと燃えないゴミに分けるというルールを知ることが大事なだけです。これは思考の整理(仕分け)でも同じことなのです。

そのため、今回のマンダラ式とマトリクス式の基本的な枠組みをまずは使いこなし、次に他の整理の方法もオプションとしてストックしていくスタンスをもってください。あれもこれもと、知的好奇心を満たすために世間で言うビジネスフレームワークを頭にインプットしすぎないことです。単にビジネスフレームワークを知っているという状態から、代表的なものを活用できるようにシフトしていかなければなりません。

今回は、ダイソー製の代表的なノートのご紹介をしてきました。頭が良い人は頭の中だけで整理しようとしますが、リスクが伴います。それは、どれだけ頭が良くても頭の中の情報が目に見えない状態のままでは、「ゴチャゴチャ・モヤモヤ・グルグル」してしまうというリスクです。

このリスクを回避するためには、はじめから枠組みが見える状態で印刷されているダイソーの2種類のノートを使いこなすことです。これが、リスクを低減し、整理しやすくなる特効薬にもなりえます。

枠組みが初めから印刷されているノートの場合、人間が持つ「隙間や空間を穴埋めしたくなる心理」を活用して、”整理書き”しやすくなるからです。

ここに投じる金額は100円、2冊でもたった200円の投資です。

7.まとめ

思考の整理は、基本的な思考整理ステップを押さえておくこと。

次に、代表的な仕分け方法を押さえておくこと。

最後に、枠組みを活用したノートで”整理書き”すること。

こうして自分のスキルやセンスに頼らず、思考の整理習慣が身につきやすくなるのです。整理することでシンプルに本質がつかめれば、雑念にとらわれずスピーディーかつ最大にあなたの可能性を引き出すことにつながる、そんなことを信じてこれからも思考の整理方法について説き続けたいと考えております。

著者・思考の整理家 鈴木 進介


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