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予告編、ヘリコプターマネーでなぜ悪い。その2.座礁資産対策としてのバランスシート分割

バランスシートの分割、徳政令にはもう一つ目的がある。
それは、座礁資産対策である。
たとえば、電力会社の火力発電施設、原子力発電施設は、風力、太陽光発電の普及によって存亡の危機にある。
このままでは、投資が回収できず、火力発電施設、原子力発電施設は座礁資産になる可能性がある。
下手をしたら、電力会社が債務超過になりかねない。

また、市中金融機関は、原子力発電関連の施設などに多額の貸付を行なっており、原子力発電所が再稼働できなければ、貸付金等が回収できない可能性もある。
原子力発電所再稼働やリプレイスという方針は、そのような背景から出ていると思われる。

しかし、これは望ましいことではない。日本に再生可能エネルギーを普及させるために、座礁資産対策は待ったなしである。以下、考えていきたい。

なお、前回と異なり、日銀の国債引受に頼らない仕訳で、問題を解決したい。

まず、電力会社の固定資産のうち、座礁資産部分を旧円に振替える。
電力会社
(火力、原子力発電関連固定資産)4.3兆旧円/(火力、原子力発電関連固定資産)4.3兆新円

(核燃料)0.7兆旧円/(核燃料)0.7兆新円

次に、電力会社は、金融機関等の長期借入金等について、政府に徳政令の申請を行い、申請が受理されたら、次の仕訳を切る。
金融機関は長期貸付金等を旧円に振替る。
(長期貸付金等)5兆旧円/(長期貸付金等)5兆新円

電力会社は、長期借入金等を旧円に振替る
(長期借入金等)5兆新円/(長期借入金等)5兆旧円

金融機関等は、電力会社に債務免除の通知を行う。
電力会社の仕訳。
(長期借入金等)5兆旧円/(債務免除益)5兆新円
金融機関の仕訳。
(債権償却損)5兆新円/(長期貸付金等)5兆旧円

そして、電力会社は、債務免除益によって座礁資産をバランスシートから外す。
電力会社
(債務免除益)4.3兆新円/(火力、原子力発電関連固定資産)4.3兆旧円
(債務免除益)0.7兆新円/(核燃料)0.7兆旧円

金融機関は、債権償却損によって、貨幣創造を行う。
(現金預金)5兆新円/(債権償却損)5兆新円

これによって、金融機関は、5兆円の貸付金を取り戻すことができる。

貨幣創造については、何らかのルールの制定が必要だろう。

債務免除益、債権償却損は資本取引の結果生じたものであり、税務上、益金や損金にならない。

以上で、座礁資産は処分され、金融機関も電力会社向けの債権が焦げ付くことはない。
また、電力料金の引き下げも可能になる。

電力会社のほか、化石燃料企業、自動車メーカー、下請けの部品メーカーなどにも座礁資産が発生する可能性が大きい。

たとえば、電気自動車が普及すれば、自動車のエンジンや変速機などのメーカーや部品メーカーに多額の座礁資産が発生する。

業界団体が、政府に要請して、政府が政令で、座礁資産の発生する固定資産を、たとえば「エンジン製造設備」という具合に、ピンポイントで座礁資産を旧円仕訳することを認めるのが良いかもしれない。

なお、はしがき1、では、日銀の国債引受を行なって、JR東海のような企業の徳政令を考えた。
あえて、国債を引受た場合の無効化仕訳を説明するために、仕訳を切った。
もちろん、日銀の国債引受なしに、徳政令の仕訳を切ることも可能である。

参考までに示しておく。

まず、政府に徳政令を申請し、受理されたら、6兆新円の固定資産を旧円に振替る。
(固定資産)6兆旧円/(固定資産)6兆新円

企業の長期借入金等と金融機関等の長期貸付金等を、旧円に振替る。
企業
(長期借入金等)6兆新円/(長期借入金等)6兆旧円
金融機関等
(長期貸付金等)6兆旧円/(長期貸付金等)6兆新円

金融機関等は、企業に債務免除の通知を行う。
企業の長期借入金等の免除仕訳。
(長期借入金等)6兆旧円/(債務免除益)6兆新円
金融機関等の長期貸付金等償却の仕訳。
(債権償却損)6兆新円/(長期貸付金等)6兆旧円

企業は、企業の固定資産を、債務免除益で消す。
(債務免除益)6兆新円/(固定資産)6兆旧円

金融機関等は、債権償却損で、貨幣創造を行う。
(現金預金)6兆新円/(債権償却損)6兆新円

一連の仕訳で、企業の固定資産が消え、金融機関等は6兆新円の現金預金を得ることになる。

私からの提案であるが、徳政令や、旧円国債を発行できる法律を制定して、「バランスシート分割に係る会計基準・取扱要綱」を定め、公認会計士の監査を受けるとしたらどうだろうか?

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