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生かしあうつながり(2022.11.22)

◍ 「夕陽が美しい季節・・・」と前号のたよりで書き始めたのですが、夕陽が美しい季節は続いているはずの秋なのに、夕陽のタイミングと私の作業の隙間が合わないのか、そもそも夕方の太陽の光が赤くなっていないのか(笑。それはないと思うのですが)、ここ最近、瀬戸内海を照らす、大きなエネルギーの夕陽にあまり出会えずにいます。

この一月ほど腰痛で、身体がすごく硬くなっていて靴下も履くのが大変だと意識してから、知り合いの針で痛みを和らげてもらい、そこから友人の整体でセルフメンテナンスまで教えてもらい(体が少し柔らかくなったから自分の手で足首を回したりできる!)、今は普通に草集めをしたり、ブタに餌をやったりできるようになりました。体をゆるめてもらったおかげで、疲れたら眠たくなるようになり、仕事を控えめにできるようになりました。仕事を終えて夕食の片づけが終わったら、お風呂掃除を兼ねた入浴までの間に寝てしまうくらい、今は体が私をコントロールしています。

疲れすぎる前に休む。これが持続可能な働き方なのでしょう。体がゆるむと、アイデアも降ってくるし、外にも意識が広がる。日々のちょっとしたセルフケアで体がどう変化するのか、身体と仲良くなれたらいいなぁと思うこの頃です。

▤ 生かしあうつながり

食の革命家と言われるアリス・ウォータースさんの新刊『スローフード宣言 食べることは生きること』出版社「海士の風」)を軽トラに積んで、作業の合間やブタを屠畜場に連れていくフェリーの中で少しずつ読んでいます。「早ければ早いほどいい」という価値観のファーストフード文化社会が私たちにどのような影響を与えているかを書いた前半と、もっと人間らしい暮らしを取り戻すために大切なことについて書かれた後半から成り立っています。

本のある章題「Interconnectedness」(相関性や連動性を意味する)を「生かしあうつながり」と訳した、翻訳を担当した小野寺 愛さんの想い(グリーンズgreenz.jp)が「まさに!」とブタを飼ってそのお肉を売っている私が普段感じていることだったので共有しようと思います。

人も、野菜も、魚も、どんな命も、単体では生きることができません。アリスも、「食でいえば、食べ物を育てる人は収穫をする人につながり、収穫をする人は輸送する人につながり、輸送する人は販売する人につながり、販売する人は料理をする人につながり、料理をする人は食べる人に… つまり、皆がつながっています」と書いていますが、育てる野菜だってそもそも、受粉させてくれるミツバチたちや、土壌に暮らす無数の微生物や菌に支えられて育っています。

『greenz』一日3回、食べることでつくられる文化がある。アリス・ウォータース『スローフード宣言』レビュー
https://greenz.jp/2022/11/01/wearewhatweeat/?fbclid=IwAR22InXI-eRIA9lvBBRwS40A3PzwzDCfcDOG21iZ5dVDgQc5pfmuYBeCpcA

Interconnectedness=自分は、他者や自然と互いにつながりあっている。一度そこに気づくことができたら、暮らしかたは自ずと変わっていきます。
その『生かしあうつながり』の章で、アリスさんも同じようなことを書いています。

私たちは皆、自分には自分だけの意思があり、それぞれの欲望や欲求にしたがって動いていると思っています。しかし、(略)互いに結びついているし、刻々と動き続けるつながりに導かれ、影響され、支えられてもいます。(略)私たちは皆、他者や自然と「生かしあうつながり」の中で生きています。一度そこに気づくことができたら、自分の中である種のチカラが解き放たれます。日々の暮らしに、お互いに、そして世界に対して、責任を感じることができるようになるのです。 

アリス・ウォータース著『スローフード宣言 食べることは生きること』

私はブタを育てているときは、ブタの餌になる食材を分けてくれる農家さん、お素麵屋さん、おうどん屋さん、醤油屋さん、ビール屋さん、飲食店、給食センターの方たちから食材をいただきながら、近況を聞いたりして、お互いのことを情報交換しています。夫からは餌集めから戻ってくるのが遅くて、夕方のブタの餌やりが暗くなる~!!とよく言われるのですが…。

そんなつながりのなかで、仕事に関係なくても「あの人どうしているかな?」と気になったり、「これはあの人に届けたい!」とイベントの情報やたくさん手に入った食材を持って行ったりもします。周りの人たちも、私たちやブタのことを気にかけてくださっているのを感じます。このように、小さなつながりが広がっていって世界の平和や調和になっていくと信じています。