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鍛え方が違うと感じた話

いつもお世話になっている床屋さんに行ってまいりました。

結構年季が入っているお店で、自分が幼稚園の頃から営業しています。
(当時のスタッフさんたちはいませんが・・・)

いつも髪を切ってくれる女性は既に他のお客様を担当中でした。

いつも顔そりをやってくれるマスターと呼ばれる男性が髪を切ってくれることになりました。マスターが髪を切るところを見るのは初めてです。

おそらく70歳は超えていらっしゃると思われます。
マスターの出身地は千代田区麹町で国会議事堂の前に麦畑があったときに住んでいたそうです。以前、新聞の切り抜きを見せてくれました。
本当に麦畑の奥に国会議事堂がありました。

マスター曰く、昔はそこらじゅうに畑があったそうです。
渋谷も新宿も畑がたくさんあったとのこと。今ある姿からは信じられませんよね。

話を戻します。マスターはおそらく久しぶりに髪を切ったのではないでしょうか。最初はぎこちなく切り始めていました。
でも少しずつ感覚を取り戻すかのようにやっていってくれました。ちょっと震えていたのですが、安心しました笑

そんな中でやっぱり国会議事堂前に麦畑が広がっていた頃の昔の話が聴きたくなったのでお伺いさせていただきました。

小さい時は食べるものがなくて、「食べられるもの」はなんでも食べていたそう。
昆虫、ヘビの話は特に印象的でした。味は二の次でタンパク源を摂らないとねと笑いながら話すマスター。
山に入って、それらを仲間と調理していたと話を聞いたとき逞しいなーと感じました。
まだ小学生のうちからそんなことをできるなんて知恵があるなーと感心してしまいました。

中でも一番衝撃を受けたのはとうもろこしのお話でした。
コンプライアンス的にはNGなのですが、聞いたままお話しします。
犯罪にまつわるお話しです。不快な思いをする方もいらっしゃるかもしれません。
あらかじめご了承ください。

ラーメンが一杯80円か90円の時代。
当時電車は五円払えばどこまででも乗れたそうです。
男の子3人、女の子3人でいつも一緒に遊んでいたマスターたち。

いつもお腹が空いていたようで、その空腹をどう満たすか、真剣に考えていたようでした。
ある時、仲間がとうもろこしをどこかの農地から盗んできて、みんなで山の中で食べたそうです。
そのとうもろこしが美味しくて忘れられなかったマスター。

今度は「焼きとうもろこしにしよう」と提案し、とうもろこしを焼いて醤油をちょろっとかけて食べたそうです。
こちらも忘れられないぐらい美味しかったと話をしてくれました。

とうもろこしを盗んできて食べる…

古き良き昔の大らかな時代というかなんというか・・・
もちろん人のものなので窃盗です。
良くないことなのですが、もう少し話を続けます。

仲間と話して「このとうもろこしを売ろう」と決まったそうです。
もうギャングですよね。
小5ぐらいだったと聞いています。

どこから「とうもろこしを仕入れるか」となると当然どこかの畑から仕入れるのですが、一度行った畑には二度と行かない鉄の掟を作ったそうです。
組織的な犯行・・・

また、ランドセルに入れたり手提げに入れたりして一人10本持ってくるというルールも作ったのだとか。

そして行商をしに高級住宅地を転々したそうです。

「お父さんが体を壊して売りに来れなくなったから手伝っているんだ」
「お母さんが体を壊して売りに来れなくなったから手伝っているんだ」
「家の手伝いでとうもろこしを売りにきました」

いろんな売り文句を小学生ながらに考えてそれぞれが売ったそうです。
しかも毎回売り切って、シーズン中でずいぶん稼いだのだとか。
当時の小学生にしてはかなりお金を持っていたと教えてくれました。

原価は0円で1本10円で10本売って、6人で計600円の荒稼ぎ・・・。
移動費は掛かりますが、3回乗ったとして15円。
1人85円稼いでいます。
しかも一回売りに行った地域も二度といかないと決めて。

事実一度も捕まらなかったそうです。

当然犯罪なのでやってはいけないことです。
決して褒められたものではないですし、賞賛するものではありません。

ただ、かき集めた知識を使って、経験を積んで、どうすればお金を稼げるかということに知恵を絞って(悪知恵ですが)実行したというところは逞しいなと思います。必要に駆られてみんなで知恵を出し合っていて生きるための知恵がすごいなーと話を聞いていて感じました。

時代背景もあると思うのですが、自分とは鍛え方が違うなーとも感じておりまして・・・。

知恵があって生物としてタフだなとも感じております。

窃盗は何があってもいけないことですが、自分が体験したことのない話を聞いて、まるで映画やドラマを見ているような錯覚に陥りました。

(犯罪以外の方法で)知恵をつけていくにはどう行動していこうかなと考えさせられるお話でした。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

サポートしていただけたら、実験用具を買うか、実験用の薬品を買うかまだ決めていませんが、生徒さんたちと授業のために使いたいと考えています。