無題

アースグランナーへの期待と不安

シンカリオンがこれほどヒットした理由は、鉄板モチーフの新幹線とか、ロボットアニメという競合が無いジャンルだったとか、色々あるだろうけど、作る側の熱量というかガチだったことは間違いなく一つの要因だろう。
1話目が保線作業から始まったのを見たときは心底ぶったまげた。いくら新幹線だからって、フツー1話目を保線から始めるか?と思わずのけぞった。
アースグランナーが第二のシンカリオンになるためには、このガチさ、熱量を込めることは必須だろう。
トミカ、車をモチーフにするのなら……ズバリ、フォードVSフェラーリのレベルでの描写ではないか。
アレをアニメ化すれば、きっと子供たちにも何かが伝わるはず……何かが……。

ただ、あくまでロボのデザインのみで言えば、アースグランナーがどこまでヒットするか疑問が大きい。
聞き取り調査を行い、子供は新幹線の先頭車両を顔として認識していることから、シンカリオンのデザインは必ず胸に先頭車両を配置したというのは有名な話。
日常生活の中で見かける新幹線がヒーローのデザインに組み込まれているから、シンカリオンに親しみを感じやすくなるという理屈。
アースグランナーは全て架空のマシンで構成され、トミカも実車ではない。アニメなので特撮と違って全部が絵。
デザイン的に日常とのつながりを見いだせず、映像的にも全てが作り物なので絵空事感半端ない。あえて表現すれば、アースグランナーにはホンモノがどこにも無い。

勇者シリーズの復活的な文脈で語られることが多いけど、それも疑問。
勇者シリーズはデザイン的にもアニメ的にも、日常とのつながりを非常に丁寧に描写していた。
モチーフになったビークルの意匠を配置したデザインのロボ。胸や頭にライオンやドラゴンが踊る横で、胸や肩に車や新幹線が共存している。これこそが真に勇者らしいデザインではないか。
「君んちにも宇宙人、いる?」のエクスカイザーに始まり、ロボとの交流が日常風景に溶け込み、1年かけて少しずつ成長していく様子は、勇者シリーズの醍醐味だった。
……と、勇者シリーズは、絵空事のアニメの中のどこかにホンモノが混ざっていた。

というのも、子供向けのアニメなら、視聴層である現実の子供にとっての日常とのリンクが絶対に必要になるはずだからだ。
映画ドラえもんが日常の問題から始まり、ドラえもんという架空の存在を介することで大冒険につながるのと同じ。
F没後は日常とのつながりがおろそかになり、完全な架空世界での架空の冒険話が散見された。
この点、特撮は映像自体はホンモノというアドバンテージがあるので、安易にヒーロー物をアニメにするとリアリティが数段落ちてしまう。
アースグランナーのあらすじを見るとバトルがメインのストーリーだし、ヒーロースーツを着ているし、ロボは100%架空のデザイン。不安要素のほうが大きいというのが、現時点での正直な感想かな。

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