東洋経済1

人生100年「稼ぐ力」を身につけよう

お知らせです。本日発売の週刊東洋経済では「人生100年時代の稼ぐ力」というタイトルで39ページの大特集が組まれています。是非ご参考にされてみてください。恥ずかしながら小職もインタビューされました。


■自分に合った「テーマ」はこうして見つけよう

1.自分の過去を振り返れば「強み」が見える

講師デビューする場合に、考えなくてはならない最も重要なこと、それはあなたの「テーマ」です。あなたが、聞き手に対して一体何を伝えたいのかということです。この時点で、既にある程度は考えているという方もおられるかもしれませんが、ここで、一般的にどのような「テーマ」があるのかをみていくことにしましょう。


●最も多いスキル獲得型セミナー
これは、ビジネスに関わる種々のスキル能力を向上させるもので、セミナーや研修会と呼ばれるものです。 
たとえば、コミュニケーション能力向上セミナー、コーチングスキルセミナー、プレゼンテーション能力強化セミナー、ファシリテーション能力向上セミナー等であり、主として毎日のビジネス上で使う実務能力を向上させるセミナーです。
他には、専門分野の知識や技術の向上を目的としたセミナーがあります。
財務会計能力向上セミナー、プログラミング能力強化セミナー、システムエンジニア向けセミナー等でスペシャリストを養成するものです。


●昔からポピュラーな語学系セミナー
近年、ますます企業において語学能力は求められるようになってきています。英語、中国語、韓国語、フランス語等が、比較的多い講座です。個人向けと企業の社員向けのものがあります。この語学系については、良くご存じのとおり昔から都市部や駅近くに多くの語学教室が存在しています。また最近では、翻訳者を育成する教室も見られるようになってきています。
したがって、この語学系で講師デビューしようとすれば、会話能力や翻訳能力が極めて高いか、あるいは珍しい言語について高い能力を持っている場合には、可能性も出てきますが、現実的には大手語学系教室が一手に集客している状況にあります。希望する場合は、大手の語学系教室の講師募集について情報を集めることが必要です。


● 自分磨き系セミナー
これは個人向けのセミナーが中心となるものです。ビジネスマナーセミナーや好印象をトレーニングするプレゼンスセミナー、ファッション&スタイルセミナーなどユニークな内容のものが増える傾向にあります。もしあなたが、特殊な知識や技術、例えば、どんなタイプのお客さまにも必ず好印象を与える「おもてなし」の心とスキルを持っている、誰もが認める秀でたファッションセンスと知識を持っている、誰にでも瞬時に好かれるスキルを持っている、人前でも決してあがらないノウハウを持っている、人の心を読み取るスキルがある、必ず習慣にできるノウハウを持っている、大災害から必ず逃れられるリスクマネジメント能力を持っている等々、これらの秀でた能力を持っているのならば、すぐに講師デビューできます。自分磨きセミナー市場は、ユニークな知識やノウハウが、個人にウケる市場でもあります。


いかがですか。あなたの得意な分野、強い分野、資格を持っている分野、大きな興味関心のある分野がありましたか?これまで携わってきた仕事の中で、習得した知識や技術、スキルやノウハウをよく思い出しながら考えてみてください。あなたのテーマ=強みは、あなたの過去にすでに生まれてきているはずです。



2.知識や経験はアタマの中から「言葉」にしてこそ価値がある

あなたが、どれだけ豊富な経験と深い知識を身につけていようと、アタマの中に入ったままの状態では、まだ「テーマ」として整理ができていないと言えます。  
それらを「言葉」に変換して外に出していく作業をしていくことで、あなたのアタマの中の知見は、価値ある「商品」に変化するのです。
まずはアタマから取り出す作業が必要になるのです。それは文章にしたり、図にしたりすることで価値が目に見えるようになります。


「知識をコンテンツにするなんて大変そうだ」とか、「オレには、とてもできそうもない」などと心配される方もいるかもしれませんが、まったく心配する必要はありません。実はとても簡単なのです。例えば昔、昆虫の「オオクワガタ」ブームがありましたが、その頃に「オオクワガタ」の飼育法や養殖法などの書籍が数多く出ました。
この珍しいオオクワガタを、単に「飼育する」のではなく、「養殖する」というノウハウや知識というのは、養殖している人のアタマの中だけあったものです。 
仮にあなたが、オオクワガタの養殖者であれば、ここ1年間であなたが実際にやってきた養殖作業を、すべて具体的に書き出せばいいのです。これだけです。


実際に、どういう時期に、どんなツールを使って、どんなこと作業するのか、その際にどんなことに注意すればいいのか、具体的には、6月になったらオス1匹とメス2匹をペアリングさせる、8月になったら産卵木を取り出す、割りばしを使って幼虫を取り出す、幼虫はすぐに菌糸ボトルに入れる、3ケ月毎に菌糸ボトルを新しいものと交換する、3本目で蛹化する、2ヶ月後に成虫を取り出す、という具合に素人でも真似することができるように具体化、文章化するのです。つまり、自分がやってきたことを順番に具体的に列挙すればいいということです。 
それを人が見ても分かりやすいように書き並べていくことで、あなたの頭の中にあった「知識」が「コンテンツ」に変換されるのです。そして「商品化」するのです。


この「知識」を「コンテンツ」に変換する方法は、すべての知識に使えます。まずは、あなたが「その知識」を使って成果を実現するまでに至る作業を、実際にやっている通りに時系列で列挙していくのです。この作業で、頭の中にある関連知識が、文字というコンテンツになって出てくるというわけです。


また、長年「炭焼き」をされてきた方が、実際に「講師」デビューしています。今日では本来の家庭用燃料としての使い道が終えてしまった観のある「炭」ですが、炭という本来の使い方としての需要が無くなっても、その炭を作りだすというプロセスを知りたい、自分で作ってみたいという人が増えてきていました。自然ブームの一端だったかもしれません。かくて「炭焼き教室」「炭焼きセミナー」が繁盛したのです。この場合、元炭焼き職人の方が立派な「講師デビュー」をしたことになるわけです。


「和紙づくり教室」も以前から人気がありますし、最近ではご存じのとおり「スイーツ教室」は大人気ですね。この場合、現役を退いた元ケーキ職人さんが自宅等で教室を開き、「講師デビュー」を果たしたということです。


自分がやってきた過去を振り返ってみることが講師デビューのネタを発見することにつながる近道です。その「モノ自体」としての本来の目的での需要は無くなっていても、裏側にあるプロセスを知識として人に教えることができるものは探せば他にもいろいろとあるはずです。今日では逆に商品としての寿命がすでに終わったものほど、懐かしさや癒しとして人気があるのです。


このように既に持っている「知識」をベースにして「講師デビュー」する際の最大のメリットは、「過去の経験を活かせること」です。これまで経験してきたこと、培ってきたことがそのまま使えることです。


過去に素晴らしい体験をしたことのある人や、ある事柄に対して深い知識を持つ人には、このようなデビューの仕方は容易です。最も根幹となるコンテンツがすでにあるからです。「講師デビュー」することが、あなたの持っている知識や技術の「発表会」になるということです。



3.あなたのテーマは、あなたの足もとにある!

では、一番肝心なことを決めていきましょう。あなたが「講師デビュー」する際の「テーマ」です。あなたがどのようなテーマで講演するのか、セミナーを開催するのか、ということです。
あなただけの「オリジナル・テーマ」を見つけるという作業は、じつは簡単なのです。新しく何かを考えるということではないからです。


「ええっ!そんな講演テーマになるようなものはないよ」と思われたかもしれません。あなたがこれまでに経験してきた事柄や獲得してきたスキル、知識というのは、あなた本人にとってみれば当然当たり前のものでしかないでしょう。しかし、他の人からみれば、それは「当たり前」の知識や経験ではないということです。


例えば、先に述べた「オオクワガタの養殖法」、これは昆虫オタクしか知らない知識でしょう。飼育までは誰にでもできますが、稀少なオオクワガタを養殖して増やすというのは、オタクの範疇です。もし将来再び、「オオクワガタ・ブーム」がやってきたら、この「オタク」は、立派に「講師デビュー」できるはずです。
稀少で高価なオオクワガタを養殖して増やしたいという人が出てくるからです。


また、「糖度の極めて高いミニトマトの作り方」を知っている家庭菜園オタクがいるとします。家庭菜園をされるほとんどの方は、「ミニトマト」を植えるそうです。でも実になるのは、酸っぱいミニトマトばかりだそうです。従って、たくさん収穫できるわりには、あまり食べないで残ってしまうということになります。
ここで、「糖度の極めて高いミニトマト」を作れる人がいれば、その栽培法を聞きたいという方はたくさん出てくるはずです。すると、この栽培法を知っている方は自然に「講師」という立場になるわけです。
むずかしいことではなくて、身の回りに近いことのほうが、それに関する知識やノウハウを聞きたいという人がたくさん出てくるものです。


ある知識は、あなた本人、あるいは同じ会社の人間なら、だれでも知っている「常識」であっても、社外の人にとっては、それが「謎」であるということもしばしばあるのです。携帯電話会社の人にとっては、こういう場所では携帯がつながりにくいということが常識であっても、社外の人には「なぜ、つながらないの?」になってしまうということです。それがわかれば「へえ~」となるのです。


交通渋滞が、いつ、どの辺りで発生するのかを知っている専門家や企業の人にとっては常識でも、一般人にとってはそれが「謎」なのです。それがわかれば、渋滞を避けることができるわけです。あなたにとっては、1円の価値もない常識が、他の人にしてみると受講料を払ってでも知りたいことなのです。


あなたのアタマの中にある知識や経験は、あなた本人にしてみれば「無価値」であるけれども、他の人からみれば「価値」ある知識や経験になるということです。従って、そこにあるのだけれど見えない、わからない、となってしまうのです。その結果、自分では「講演テーマ」になるようなことは、「何も無い」と思ってしまうのです。


本当はあるのだけれど、あなた自身が「こんなことは当たり前だから価値があるはずがない」と思いこんでしまっているのです。ですから「テーマ」を探している時は、自分が持っているこの知識は、他人にとっては、どんな価値があるのだろうか、という観点から捉えてみることが大切なのです。



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