鈴木心写真館、松陰神社前の小さな旅。#5 「106 MEN'S SALON」

104号室が106になったわけ

世田谷通りに面した、コーヒースタンドとヘアサロンが隣接する、日本では珍しいタイプの店。鈴木心写真館も出店前に内見に来たことがあるこの大きなマンションの一階部分では、長らく写真屋が営まれていた。

今年6月20日に新たにオープンした「106」。この場所を盛り上げるのは、若き女性店主ふたり。そのひとりである高野さんは、メンズカットを専門とするヘアスタイリストである。

流行<ライフスタイル

メンズサロンということで、今回は鈴木のカットを。「バイクでヘルメットかぶるんですよね」「整髪料は使われてますか」とヒアリングしていく姿から、「流行よりもライフスタイルを伺って、それに対して提案していきたい」という彼女のポリシーが垣間見える。

メンズカットを極めれば

「理容科もある珍しい専門学校に通っていたんですが、当時恩師に『メンズカットを極めれば、ヘアカット上手になる』と言われたんです」これをきっかけにメンズカットの道を目指すことに。この店を持つまで働いていたサロンにもメンズ専門チームがあり、それを理由に就職を決めたという。

遊びに来られる場所へ

入社1年半でスタイリストデビューし、銀座と青山で丸6年間働いてきた。「カフェやグッズ展開したり、髪を切るというだけじゃない場所を作りたいと思った。働いていたサロンも好きでしたが、ブランドイメージ優先で自由にはできないから」と、独立した理由を話す。「メンズサロンの存在を知らない人に知ってもらえるのも嬉しいし、髪を切らなくても友達に軽いノリで遊びに来てもらえるのも嬉しい」

20代での独立

「あんまり迷わないんですよね」迷いなくハサミを入れていく高野さん、その生き方にも迷いがない。「無駄なことが嫌い」独立するなら30歳を超えてからというような常識も、彼女の前では何の意味もなさない。早かろうが遅かろうが、そんなことは関係ない。たとえ松陰神社前でなく、別のどこであっても、新しいスタイルを開拓していくのだろう。

やりたいことはもっとあったけれど

「別注なんです。バーバーじゃないので、赤と青のオーソドックスなものは避けて。これならオーケーかなって」と笑う高野さん。理容や美容の世界におけるルールは守りながらも、店を“自分の部屋化”している。内装は、解体やレンガ張りも自分たちで行ったという。「やりたいことはもっとあったんですけど、進めながらアップデートすればいいかな」と、あくまで前向き。

父と。

当初、出店を両親に反対されたというが、内装業者を紹介してくれたりしたのもまた彼女の父親だった。「父は長く行きつけの床屋さんへ行っているので、切りに来てはくれないです。遊びに来てくれたことはあるんですけど。こちらも来てくれとは言っていないんですけどね」と、照れ笑いする。

「自由に時間をコントロールできる楽しみのほうが大きい」

これまで働いてきたのとは異なるエリアへの出店も、「地域にお客さんがつくものだと思っているし、この場所で広げていきたかったので前のお店のお客さんを呼んできたりということもしていないんです」と、あっさり。

機会があればパティシエもやってみたいといい、「美味しいものが作れたら幸せかなあ、くらいのものなんですけど。興味が出たらなんでもいい。特に執着がないんです」と笑う。「好きかどうかよりも、必要とされているその思いに答えたい。近くにいる人たちを幸せにするほうを取りたいと思った」

104号室だけれど

「あまり意味がありぎてもなと。ニュートラルに見てもらえる名前のほうがいい」と付けた店名は、104号室という場所に「6」の持つ“第六感”的な意味合いを絡めたという。ロゴデザインはNYにいる仲間によるもので、交友関係もフルに活かしている。また、音楽に関わる友人も多い。「入りはクラシック。学生時代にさまざまなジャンルのものを聴き、都内のライブハウスに出入りしていた頃の仲間が活躍しているんですよね」

音楽がつないでいく

同じ場所でコーヒースタンドを営む民部田さんとの出会いも、音楽がつないだ縁だった。音楽と美容、なにか似たところがあるのではと投げかけると、「商業的な音楽が嫌いなんですけど、それは美容の世界に置き換えても同じかもしれない。インターネットなどで他人のカットを見て、それでお客さんを帰らせていいの?と思うことがよくある。私にとって、切らせてもらった髪型は作品と同じだから」とストレートに答える。

走り続ける、振り返らないで

「陸上部で長距離走をやっていたのだけど、そのときから自分との戦いをしているのかもしれない」とつぶやく。今もなお、美容の道を自分のペースで走り続けている彼女。それは、きっとこれからも。(記事:末松早貴 写真:鈴木心、高木亜麗)

106 MEN'S SALON(イチマルロク メンズサロン)
東京都世田谷区若林3-15-3 若林ハイホームA棟104号(Google Map

メンズサロンの入口にあるカウンターで佇む、彼女の正体は……?詳しくはこちらの記事をどうぞ。

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松陰神社前の小さな旅

鈴木心写真館のある、松陰神社前。小さな旅するように歩いてたのしめる、街のスポットをご紹介。

コメント1件

元々「4」だったのを「6」にしたロゴデザインなんですね。カッコいい。
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