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記憶の曖昧さを知った

「記憶を呼び起こすとは、想像することで、回想ではない」
友人のカウンセラーに教えてもらった。
「私達は記憶を辿り、昔のことを回想しているように思っていますが、
実は当時の記憶に「想像」という新たな経験を、どんどん上書きしているのです。」

とても驚いた。繰り返し思い返すことで、常に新しい記憶に塗り変えられているということなのか。

彼は今、スクールカウンセラーをしている。

子どもたちの辛い経験を「記憶の上書き」を行うことで
トラウマから解放してあげねばならない、と言う。

例えば、登校中に怖い経験をした子供の場合には、
携帯している防犯ブザーを実際に押し、大きな音を鳴らすことで
周囲の親や大人が気付いて助けてくれることを、知る。

また例えば、エレベーターなど密室に恐怖を感じる子供なら
一人で操作させ、上階で親が待機をし、安心で安全であるという
経験を与える。

こうして、記憶に新たな上書きの要素を追加し、克服していく。

トラウマの克服には、早いうちから長いスパンでゆっくりと経験を積み重ねることが重要なのだそう。

確かにそうだな…と思う。

辛かったり、腹が立った体験は、その衝撃や怒りが強かったり深かったりするほど頻繁に思い出し、忘れることなく深まっていくような気がする。
 それはきっと、記憶を上書きすることで傷を広げ、もしかしたら
更に、えぐっているのかも知れない。
 そうするほどに、治りは遅くなるだろう。

トラウマの克服は早いほうがいい、というのは、そういうことなのか、と
とても良く理解した。


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