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〈無料〉 問題がありすぎるエアライン 日本航空 【英国でJALパイロットが乗務直前に逮捕】 運航乗務員の滞在地での飲酒24時間前制限は必要か?

このnote記事は全文無料です。


はじめに

酒とエアラインといえば…

ちょうど一か月くらいまえに
ANAのパリ支店長が出張で
搭乗していた自社便の機内で
「なみなみワイン」を六杯も
飲んで泥酔し、こともあろうか
なんと隣の客に暴力をふるい
怪我をさせたというあの事件
を覚えている人も多いと思う。

この時はANAの「なみなみワイン」
サービスは危険だという視点から
飛行機と飲酒関連のnote記事を書きました。

で、ANAの社員の機内泥酔暴力事件
のことは書いておきながら、
JALの副操縦士が飲酒操縦しようとして
ロンドンで逮捕されるという前代未聞の
事件のほうだけスルーするわけにも
いきませんね。

きっとわたしがこの件についてどう書くか
興味を持っている方も多いのではないか?
ということで今回note記事できっちり
取り上げることにします。

まずは

前代未聞の事件のあらまし

JALのお詫び

いろんなネットニュースの記事から
見えてくる事件の概要をまとめると
今回の事件はこういうことらしい。

英国ロンドンのヒースロー空港で
JALの運航乗務員をSHIPまで送迎してくれる
バスの運ちゃんが乗ってきたパイロットが
めっちゃ酒臭いことに気付き、すぐに
空港担当者に通報。駆け付けた警察官に
その場でアルコール検査をされ
その結果、副操縦士の呼気から通常の
10倍のアルコールが検出されまして
このJALの副操縦士はお縄に…というのが
この事件のあらましである。


バスの運ちゃんGJ

まずこの事件の第一報をネットで
目にしてわたしが最初に抱いた感想は

JALの副操縦士バカじゃねーのでも
やっぱりJALは駄目だな、でもなく

「バスの運ちゃんGJ(グジョブ)!!!」

であった。

出来ることならこの運ちゃんに
感謝状を渡したいくらいである。

酔っ払い操縦で事故るかもしれなかった
JAL機に乗っていた数百人の乗客の
大事な大事な命を守ってくれてありがとう
運ちゃん!である。

なんでここまでバスの運ちゃんを
絶賛するかというと
わたしが飛行機の安全運航を守る
べき立場のほうだったときに

エラーチェーンというのは
どこかで誰かが大事故になる前に
気が付いたら「勇気」をもって
切らねばならぬ

という教育を徹底的に受けてきたから

専門教育を受けたものとして
この流れをみると、今回空気を読まず
勇気をもって通報してくれた
このバスの運ちゃんの行動は
ヒューマンエラーマネジメントの
研修の際の見せる教材ビデオで
再現ドラマ化して使っていいくらい
お見事なエラーチェーン切りだった。

運ちゃんGJすぎ
JALはこの運ちゃんを安全運航に
協力してくれた大切な人として
ちゃんと感謝すべきである。


空気読んじゃう身内はチェーンを切れない

バスの運ちゃんGJだった今回の件
空港の担当者に
「JALの運航乗務員が酒臭い」
と通報したのがバスの運ちゃんだった
という事実はとても大きい。

なんでエラーチェーンを切れたのが
SHIPまでパイロットを送迎する
バスの運ちゃんであったか?
という事実を視点を変えて

「これって運ちゃんにしか切れなかった
エラーチェーンなんじゃないの?」


という方向で紐解くとかなり「どす黒い」
背景がついつい浮かんできてしまう。

っていうか、この運ちゃんが
当該運航乗務員と一緒にいた時間て
いったいバスの中の何分間だったのだろうか

それとも何かい?
このGJだったバスの運ちゃんは
実は全英鼻効き選手権の優勝者で
人間が感知できない臭いも瞬時に
かぎ分けられるみたいな
特殊な能力の持ち主だったとか?
(んなことある訳ないわな)

と考えるといろいろ不思議なんですよ
GJ運ちゃんより長い時間行動を共にしてた
二人の機長はなんで気付かなかったの
ってことが。

大体CREWが空港まで行く流れはこんな感じ。

運航乗務員はステイ先のホテルで
三人まとめてピックアップされる
(客室乗務員とは待遇格差があるので
ホテルは別のことが多い)
人数が多ければ大き目のバスだが
コックピット三人だけとなると
そんなに巨大ではない車で
ヒースロー空港に行っているはず。

一緒にヒースロー空港に移動した
二人の運航乗務員(機長二名)
同じ車の中でこの副操縦士の
酒臭さに気が付かないのって
とっても不思議なことである。

このひとたちは風邪でもひいてて
当該副操縦士の通報されるレベルの
酒の臭いがわかんないほど
鼻がつまってたのかしら?
でもそんな鼻づまり風邪っぴき体調なら
乗務に支障が出るのでありえないか?

いやーこれってなかなか
「ミラクル」な状況ですよね。

ニュースの記事を色々読んでみると
この通報されてからの検査で逮捕に至った
副操縦士はJALが乗務前に通常行っている
アルコール検査は不正をしたか何らかの
方法ですり抜けていたとのこと。

エラーチェーンが切れるチャンスが
これだけ一杯あったにもかかわらず
全ての場面でエラーチェーンを
切りそこない、とうとうSHIP寸前まで
酒酔い操縦士が到達しかかっていた
とおもうとすっごい恐ろしいなと
なんかお腹のあたりがスーッと
冷たくなる感覚をおぼえた。

このケースってバスの運ちゃんだけが
JAL外部の人だったからこそ空気読まずに
エラーチェーンを切ることが出来た。
という見方も可能性としては
ある気がするのだ。

裏を返せば身内は自分かわいさや
色んな大人の事情を考慮してしまい
あえてエラーチェーンを切らずに放置した
という可能性もあるのかなと
穿った見方をしてしまう。

大ベテランのキャプテンがダブルで
一緒にいながらこのザマって情けない話

そしてほんとに副操縦士の異変に
気が付けてなかったとしたらどんだけ
ボケてるキャプテン二人なんだよ
と突っ込みたいぞ。

PICとしての監督責任どうなってんの?


企業は対外的なアピールのための罰より有効な対策を

今回の事件のニュースが流れた時に
すぐさま思いました。

幼稚なJALは運航乗務員の
ステイ先での飲酒を
全面禁止にするだろうなと

案の定、飲酒ルールを
乗務12時間前から24時間前に
きびしくするとのこと。

これだと2泊4日ステイの長大路線以外
ほとんど全ての地で
実質飲酒は禁止ということになる。
でもこれって正しい対処法なんだろうか?
わたしは違うと思うけど…。

こういう不祥事があると企業って
世間様が
「航空会社の社員は浮かれポンチでタダで飛行機に乗って海外に行って楽しい思いをしやがってむかつく」


という嫉妬感情に苛まれているに
違いないという思いから

「世間の皆さんの代わりにこいつらは厳しく罰しておきます、連帯責任で全員たのしいことは禁止しておきますのでどうぞ許してね」


とやるのが既定路線だ

このよくありがちな企業の
「(世間の皆様への見せしめのために)罰しておきました」
からの
大衆の「ざまあみろ」と溜飲を下げる流れって
今回のこのケースでは有害にしか
ならんのでわたしは大反対だ。

なぜならこの問題は全員を
連帯責任で禁酒にしたところで
解決しないので。

本当に安全が大事で
乗客の命を守る事が優先なのであれば
実利のある対策をすべき。

今回の件は逮捕された副操縦士が
異常な量の酒を摂取してることからも
わかるとおり、自分がパイロットである
自覚がない無責任な行動に出た
超特殊な個人のありえないケース。

組織の中から想定外の違反する人が
出たからと言って、みせしめのような
連帯責任を負わせ、その他全員の
ステイ先での行動を抑制し自由を奪い
仕事の後に息抜きをさせないような
縛る方向はまったく悪手と言ってよく
得策ではないとおもうのだ。

だって本来罰されるべきやった本人
もうお縄になってて
なんなら二度と戻ってこないのに
残りの常日頃責任感をもって業務に
あたっている大多数の真面目な社員たちを
こういう雑な規定で罰して
何になるんですか?とおもうので。

明らかに罰すべき対象を誤っているのだ
こういうやり方は最悪である。

今回の件で見直したり改革すべきは
JALのチェックシステムや体制には
なんの落ち度もなかったのか?だったり

どうみても異常な量の酒を自制できず
ステイ先なのに無責任に飲んでしまうような
メンタル不調の運航乗務員を
生み出した原因は会社にはないのか?
等の徹底調査でしょ。

プレッシャーの大きい業種だと
だれもが認識してる操縦士の
メンタルケアを会社はちゃんと本気で
ていねいにやってたんですか?
って話も出てきて当然だと思う。


世論で加担しないことの重要性

そしてもうひとつ重要なこと。

そう我々乗客側も
「24時間前から飲酒は禁止」という
あきらかに企業のアピールっぽい罰を
「当然だ」とか「ざまあみろ」
みたいに嬉しがって受け入れ肯定してると
「いつか自分の首もしめるよ」ってことは
自覚しておいたほうがいい。

何故なら何かを不自然に禁止されてる
状態の社員たちが良い仕事を
するわけがないからだ。

良い仕事をできない状態にされた
社員たちが運航する飛行機に乗ることは
乗客にとって直接的な不利益なのである
そこんとこは忘れてはいけない。
これ暗黒の未来しか見えないよ。

無責任に
「24時間前で禁酒とか当然だよね」
なんて言ってちゃいかんのだよ

そんな歪な罰を肯定することは
不幸ループに加担することになる
と「はっ」と我に返らないと。

そもそも仕事の後の息抜きを禁止するような
規定が正しく機能するわけないのだ
どこかで破綻する時が来る。

せっかく大事故に繋がりかねない
エラーチェーンを切ってくれた
バスの運ちゃんがいるのに
そのせっかく切ったチェーンを
世間さまがわざわざまた繋ごうとする
なんてどうかしてるわ。

働く人たちのメンタルを病ませる方向に
プレッシャーをかけるような状況に
われわれは絶対に加担しては
いけないとおもう。


酒は悪くない

お酒飲んで今回のような
事件をだれかが起こすと
「酒が悪い」って錯覚して
しまいがち

実際に何も考えず慌てて酒を
規制してしまうJALのような企業がその
大衆の愚かな「錯覚」を増長させている。

こう言うのこそ酒より害悪だなとおもうのだ。

よく考えてみて欲しい
酒は悪くない。
悪いのは適切な酒の量を
自分でコントロールできず
法を逸脱した「ひと」のほうなのだ。

それが証拠にもし酒が悪いんだったら
今回の件で英国は国での飲酒を禁止に
しないとおかしい
でも英国では酒は特に逮捕されず
捕まったのは副操縦士のほうである。

あたりまえだ。

酒は悪くないのだから。
酒を規制しても
問題は何も解決できないと
われわれはそろそろちゃんと
気付くべきだ。
いつまでも酒に対して幼稚な考えを
持ち続けていては酒問題は解決しない
大人になろう。

酒は悪くない、そこんとこは
くれぐれも間違ってはいかんのだと
今回の件でも余計に思うのである。


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